網膜の中心部にある黄斑は「ものを見る」機能の中心的な役割を果たしていますが、この黄斑の異常で視力が低下する「加齢黄斑変性」の発症に関係する遺伝子を、九州大の研究グループが発見、研究成果を米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(電子版)」に公開しました。

この遺伝子が特定のタイプだと、発症のリスクが約1.4倍も高まるとのこと。研究グループは「今回発見された遺伝子を調べれば、加齢黄斑変性の発症リスクを事前に把握できるため、病気の早期の発見・予防が期待できる」としています。
加齢黄斑変性は50歳以上に多く見られる病気で、視野の中心が暗く見えたり、ゆがんで見えたりします。厚生労働省によると、日本では成人の失明原因の4位、またアメリカでは1位となっています。
研究グループは、日本人患者約1500人と正常な約1万8千人の遺伝子を比較し、発症には「TNFRSF10A」と呼ばれる遺伝子の塩基配列の違いが関与していることを突き止めました。患者に多く見られるタイプでは、遺伝子が特定のたんぱく質と結合し、網膜の炎症などを引き起こしやすくしているとの結果が出ました。
加齢黄斑変性の早期発見のためには、定期的な検診が大切です。何故なら自覚症状があるときにはかなり病気が進んでしまっているからです。この病気は見ようとするものの真ん中が見えない、ゆがんで見える、ハッキリ見えないというのが特徴的な症状ですが、普段私たちは両眼でものを見て生活しているため、片眼に症状が出ても、もう片方がそれをカバーしているため、なかなか気がつかないのです。片眼で新聞やパソコンの画面を見て、上記の症状に該当する場合は眼科を受診するようにしましょう。