糖尿病の新しい診断基準が施行

5月に開催された第53回日本糖尿病学会年次学術集会での決定を受け、11年ぶりに改訂された糖尿病の新しい診断基準が7月1日から施行されました。

当面はJDS値

今回、最も大きく変わった点は、診断基準に「HbA1c」が追加されたことです。国内における診断データを利用して、網膜症の出現や血糖値の診断基準値との関連性に基づいた検討を行った結果、その基準値は「HbA1c 6.5%以上」(JDS値:6.1%)となりました。

HbA1cは特定健診糖尿病実態調査国民健康・栄養調査などにも広く活用されていますが、従来の診断基準では、@空腹時血糖値126mg/dL以上、A75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上、B随時血糖値200mg/dL以上――のいずれかが認められる場合に糖尿病と診断され、HbA1c値はあくまでも「補助的な項目」でした。

HbA1cが診断基準に「格上げ」された背景として日本糖尿病学会は、@糖尿病とHbA1cに関するエビデンス(科学的な根拠)が飛躍的に集積されてきたこと、Aすでに普及しており、検査も行いやすく、測定精度も向上していること――の2点を挙げています。

今回の診断基準を採用するにあたって問題となったのが、海外のHbA1cの診断基準との整合性でした。日本国内における診断値にはJDS値が使われていますが、それ以外の国では米国基準のNGSP値が使用されています。そのため、日本は薬剤の臨床開発など国際共同研究の場に参加できない状況が続いていました。

この状況を改善するために、新しい診断基準では従来のJDS値に互換値となる0.4を加え、NGSP値に相当する新たなHbA1c値への移行を推進することが決まりました。

ただ、NGSP相当値への早急な移行は、施設や患者の混乱を招く恐れがあるとして、臨床現場においては十分な周知が行えるように、当面の間は従来通りJDS値を使用します。そして、日本糖尿病学会が別途告示する日時をもって、臨床現場でもNGSP相当値に切り替える方針です。

新診断基準にHbA1c値が加わったものの、糖尿病の診断に血糖値が必須である点は変わりません。患者が「HbA1c6.5%以上(JDS値:6.1%」のみを満たすだけでは糖尿病と診断できず、HbA1cと同時あるいは再検査で血糖値を測定し、血糖値も診断基準を超えて糖尿病型であった場合に初めて糖尿病と診断されます。

1回目の検査でHbA1c値で糖尿病型と診断され、再検査で再度診断されても、血糖値が糖尿病型でなければあくまで「糖尿病疑い」にとどまります。また、血糖値のみ糖尿病型の場合、糖尿病の典型的症状、または確実な糖尿病網膜症が見られれば糖尿病と診断されます。

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