ES細胞:研究資金の支出拡大 米大統領が初の拒否権

ブッシュ米大統領は19日、難病治療などへの応用が期待されるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への連邦資金支出を拡大する法案への署名を拒否、米下院に差し戻した。法案の承認拒否権行使は大統領就任以来初めて。ブッシュ大統領は同法案を「医療上の恩恵を求めて無辜(むこ)の人命を奪うものだ」と強く批判した。

同法案は、不妊治療で使われなかった受精卵から作られたES細胞を使った研究にも連邦資金の支出を拡大する内容で、18日に連邦議会を通過、成立署名のため大統領に送付されていた。拒否の無効化には上下両院で3分の2以上の賛成による再可決が必要になる。

ブッシュ大統領は01年、保守層の反発が強いヒトES細胞を使った研究への連邦資金支出を認めたが、対象を既存の細胞株に制限している。大統領は19日、自らの政策は「科学上の必要と良心の要請を調和させたものだ」と主張した。
一方、ヒトES細胞研究推進派の議員らは拒否権発動を「治療を求める何百万人もの難病患者の希望を否定する行為」と非難した。

ES細胞(胚性幹細胞)とは
動物の発生初期段階である胚盤胞の一部に属する内部細胞塊より作られる幹細胞細胞株のこと。
生体外にて、理論上すべての組織に分化する全能性を保ちつつほぼ無限に増殖させる事ができるため、再生医療への応用に注目されている。またマウスなどの動物由来のES細胞は、培養細胞の遺伝子に様々な操作が可能であり、更にそれを胚に戻すことで、生殖細胞を含む個体に参加させることができる。
このことを利用して特定遺伝子を相同的組み換えにより個体レベルで意図的に破壊したり(ノックアウトマウス)、マーカー遺伝子を自在に導入したりすることができるので、基礎医学研究では既に広く利用されている。

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