終末期患者「延命施さず」病院の56%

がんなどで終末期を迎えた患者に対し、人工呼吸器を取り外す、当初から装着しないなど、延命措置の中止や差し控えを行ったことのある病院が56%に上ることが、全国の医療機関に実施したアンケート調査で明らかになった。

今年3月、富山県・射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を取り外され、死亡した問題が発覚したが、延命措置の中止・差し控えは国内で幅広く行われている実態が浮き彫りになった。ただ、延命措置の中止・差し控えの是非を巡っては回答した医師たちの意見が割れ、揺れる医療現場の一端ものぞかせた。

調査は国立保健医療科学院の協力を得て、今年5〜6月、全国の病院(病床数100床以上)から無作為に抽出した約600施設に、大学など特定機能病院を加えた計685病院に対し、「延命措置の実態」に関するアンケートを送付。有効回答を寄せた240病院について分析した。

この結果、134病院が「延命措置の中止・差し控えを行った」と回答した。中止・差し控えを行った医療行為で最も多かったのが「人工呼吸器の未装着、取り外し」で71%。
設問からは取り外し単独の数字は不明だが、自由記述などで「取り外したことがある」とした病院も多く、人工呼吸器を取り外した射水市民病院のケースは例外ではないことがわかる。

呼吸器以外では、「昇圧剤や抗生物質などの薬剤投与」の中止・減量が70%。「輸血など血液循環」「人工透析」の中止はそれぞれ35%、34%で、様々な方法で延命措置の中止・差し控えが行われていた。人工呼吸器を含めたすべての医療行為を中止する、としたのも3%(4施設)あった。

こうした措置に関する決断のきっかけは、「患者の家族の希望」(89%)が最も多く、「医師の医学的判断」(70%)が続いた。
決断したのは「医師個人」が46%とトップで、「治療チームで決める」(37%)を上回り、医師が独自の裁量で行っている場合が多かった。
これに対し、決定の過程の透明性を確保するため、院内に設置された「倫理委員会」で決めるとしたのは、わずか4%だった。

延命措置の中止・差し控えの是非については、「法的に問題ある」と「法的に問題あるが、医療行為としては問題ない」がそれぞれ26%。「全く問題ない」も20%に上った。

こうした現状を踏まえ、延命措置の中止を含む終末期医療に関する「全国的なルールが必要」と回答した病院は7割を超えた。このうち6割は、国などの「指針」(ガイドライン)を求めていた。

関連記事:終末期医療、延命中止「法的枠組みを」:厚労省研究班報告書