各地で医師不足が深刻化する中、全都道府県の約8割が「産科医不足」に、約7割が「小児科医不足」に直面していることが30日、共同通信社の調査で分かった。へき地や離島などの医師不足を挙げた都道府県も半数を超えた。
診療科・地域の医師偏在が全国的に広がっている実態が裏付けられた形。2008年度から始まる大学医学部の入学定員増だけでは「解決につながらない」とする意見も目立ち、国は自治体への財政援助や医師派遣体制の構築など、幅広い対応を迫られそうだ。
調査は10月、各都道府県の医療行政担当者に面会し、聞き取りをした。
都道府県が抱える最も大きな課題を自由回答(複数可)で尋ねたところ、診療科別で不足しているのは産科医(38都道県)、小児科医(32都道府県)、麻酔科医(11道県)の順だった。
「へき地、島しょ部、山間部などの医師不足」は24都道府県。「休日、夜間の救急と産科は隣の医療圏に行かなければならない」(愛知県東三河北部)、「人が住む28の離島のうち15が無医島」(鹿児島県)などの影響があった。
厚生労働省など4省が8月に決定した医学部の入学定員増(東北地方など10県で、毎年10人ずつ10年間)が問題解決につながると考えているのはわずか12県。
つながらないとする主な理由は「卒業後に産科や小児科を選択するか不明」「医師養成には時間がかかる」など。「地域医療の面白さや役割を知ってもらうための教育」(島根)、「小児科や産科の診療報酬見直し」(東京、愛知、広島)などを組み合わせれば、医師不足解消につながる、との意見も多かった。
医師不足は、04年度に始まった「医師臨床研修制度」で民間病院での研修、勤務が増え、人員不足に悩む大学側がこれまでのように各地の病院に医師を派遣できなくなったことが一因。中でも産科・小児科は、過酷な勤務や訴訟の増加でなり手が少ないといい、休診する病院が増えている。
厚労省は都道府県に対し(1)卒業生の地域定着を目的とした奨学金制度の創設(2)産科医、小児科医の集約化−などを求め、支援するとしているが「財政的に厳しい」(鳥取)、「奨学金を返還されると、他に移ってしまう」(栃木)などの不安も上がっている。
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