産学協同で地域の技術開発を進める文部科学省の「知的クラスター創成事業」の一環として、浜松医科大光量子医学研究センターなどの研究チームが9日、内臓のポリープなど患部の大きさが測れる内視鏡と、内視鏡手術で内視鏡の位置が3次元データで表示できるナビゲーションシステムを開発したと発表した。世界でも例のないシステムで、同センターは診断の精度や手術の安全性が高まると説明している。
患部の大きさが測れる内視鏡の開発は、同センターの寺川進教授、静岡大情報学部の中谷広正教授、フジノンなどが取り組んできた。
従来の内視鏡の先から2本のレーザービームを発し、人間の眼球と同じ原理で、内臓壁との距離や患部の大きさまで測定できるようにした。
内視鏡から送られてくる映像には目盛りがつけられ、例えばポリープの大きさが何ミリか一目瞭然(りょうぜん)で分かる。
患部の大きさが正確に測れることで、「これまで医師の経験や勘に頼りがちだった患部の大きさの認識が明確になるため、病気の進行状況把握や手術の準備が容易になる」(寺川教授)という。
この内視鏡は来年度にも実用化できる見通しだという。
一方、新しい内視鏡手術用ナビゲーションシステムは、同センター、同学部、パルステック工業、アメリオなどが開発した。とくに蓄膿(ちくのう)症の治療などで、鼻の奥にある「副鼻腔」を手術する際に有効だという。
これまでは手術の際、副鼻腔の近くの視神経などを誤って傷つける医療過誤も起きているが、このシステムを使うと内視鏡と一体になった手術器具の位置がパソコンの画面に映し出されることから、執刀医は画面を見ながら安全を確認できる。
従来のシステムは患者の顔面につけた点で位置を示したため、患者を固定し、器具の位置合わせに15分もかかった。新システムでは、手術前に撮影した頭蓋骨内部のCTスキャン画像と、手術中に3次元スキャナを使って取り込んだ顔面、手術器具の画像を組み合わせる。
患者が動いても、画像を補正して副鼻腔内の手術器具の位置を正確に示すことができるため、位置合わせも3分以内で済む。
今後は1、2年で認可を受け、実用化にこぎ着けたい考え。研究チームは「副鼻腔以外の手術にも応用が広がる可能性がある」(同センターの山本清二助教授)と期待を寄せている。
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