重い病気をもつ新生児の治療方針を家族と医療関係者が話し合うためのガイドライン(指針)について、「現在使っている」とする新生児医療機関の医師は、3割にしか達していないことが全国調査でわかった。
指針は、医療が進歩する中、重症新生児の延命治療をどう考えるかという「終末期医療」の道筋などを示したものだが、多忙などを理由に普及が進んでいない実態が明らかになった。
広島大の横尾京子教授(周産期看護開発学)らが27日、さいたま市で開かれた学会シンポジウムで発表した。調査は今年2〜3月に実施。全国の主要な新生児医療機関262カ所を対象に、医師と看護師の責任者に質問紙を送り、回答を得た。回収率は53%だった。
指針を「現在使用していて、今後も使用する」と答えたのは医師の29%、看護師の12%。「現在使用していないが、今後は使用する」は、医師の50%、看護師の58%だった。
また、指針が「役立つ」と答えたのは医師で86%、看護師で90%。役立つし、使いたいが、使えていない現実が明らかになった。
指針は、田村正徳・埼玉医大教授(小児科)を主任研究者とする厚生労働省研究班が、04年にまとめた。最新の医学的情報に基づいて判断することなどを定め、特に、生命維持治療を控えたり中止したりする場合は、医師だけでなく看護師や心理士など他の医療スタッフも同席し、父母と十分に話すことを求めている。
対象の病気を明示していないが、心臓などに重い障害を起こすことが多い「18トリソミー」などで話し合いがもたれている。
この結果について、田村教授は「米国の施設に比べ、日本は医師や看護師が少なく忙しい。父母の心を支える心理士らも少ない。ゆっくり話し合う部屋がない場合もある。指針が実行できる社会的支援策が必要だ」と語る。





