食欲促進ホルモンとされる「グレリン」に、インスリン分泌を抑制する作用があることが、自治医大医学部(栃木県)の矢田俊彦生理学教授らの研究で判明した。
マウス実験でグレリンの分泌を減らすとインスリンの分泌が活発化し、血糖値の上昇を平均30%以上抑えられた。28日付の米国の糖尿病学会誌「Diabetes(ダイアビーテス)」で発表した。
矢田教授らはグレリン抑制の薬剤開発を通じ、糖尿病治療の臨床化を目指す。
実験は20匹のマウスを使って実施。グレリンと結合する性質を持つ受容体アンタゴニストでグレリン分泌を「抑制」したグループと、「非抑制」のグループに分け、通常餌と高脂肪餌の2種を与え血糖値を比較した。
その結果、「非抑制」マウスは通常餌で1デシリットル当たり300ミリグラムだった血糖値が、高脂肪餌では400ミリグラムと30%以上も上昇。
一方、「抑制」マウスは200ミリグラムから210ミリグラムと5%弱の上昇だった。「抑制」のインスリン分泌量は「非抑制」の約1.6倍だった。
また、膵臓(すいぞう)周辺の血液を調べ、グレリンは膵臓からも分泌されることが分かった。グレリンの分泌源は99年の発見以来、胃とされていた。
従来の糖尿病治療は、薬物でインスリン分泌を促してきたが、膵臓に負担がかかった。グレリン分泌を直接的に調節できれば、より負担の少ない治療が見込める。また、膵臓機能低下などを原因とする糖尿病治療にも対応できるという。
矢田教授は「マウスの耐糖能力を変えた実験を続け、身体的な負担が少ない治療薬の開発に取り組みたい」と話している。
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