夫と妻の双方がエイズウイルス(HIV)に感染した夫婦に対する体外受精を、荻窪病院(東京都杉並区)が来月にも実施する見通しになった。同病院の倫理委員会で9日、計画が承認された。
夫の精子からHIVを除去することで、新たなウイルスの妻への感染を防ぎ、赤ちゃんへの感染の危険も最小限にする狙い。ともにHIV陽性の夫婦への体外受精は世界初だという。
担当の花房秀次血液科部長によると、治療を受けるのは東海地方に住む20代の夫婦と関東地方の30代の夫婦。
20代夫婦は、血液製剤で感染した夫から妻が感染し、ともに抗エイズ薬を服用中。夫は精子の機能に問題がある上、薬が効きにくい耐性ウイルスが検出されたため、妻に耐性が広がるのを防ぐ体外受精の実施が妥当との結論になった。
30代夫婦はともに成人前に血液製剤で感染。免疫状態は良好で抗エイズ薬はまだ服用していないが、夫の血液中のウイルスが増え始めており、この活動的なウイルスが妻に感染するのを防ぐ措置が必要と判断された。体外受精か人工授精の実施を検討するという。
花房部長は「治療の進歩で感染者も長期生存が望めるようになり、今回のような希望は今後も増えるだろう。実施には慎重な検討が必要だが、安全性が少しでも高められるなら積極的に手助けすべきだ」と話している。





