順天堂大学の研究チームが、アスベストの吸入が原因となるがん「中皮腫」に関する大規模検診に乗り出す。東京都内の労働者約4万人を対象に、5年間継続して検診を実施し、中皮腫の実態解明や早期診断法の開発を目指す。来週にも開かれる同大倫理委員会の承認を経て、来月の検診開始を目指す。これだけ大規模な検診実施は全国でも初めて。
中皮腫は胸部や腹部の臓器を覆う膜に発症するがんで、発見しにくく進行が速い。治療が難しく、早期に発見しても5年生存率は4割にとどまる。潜伏期間が長く、国内では今後、患者増が予想されている。一方、発症の仕組みなど実態はよく分かっていない。
検診の対象は、建設業など職場でアスベストを吸い込む可能性が高い労働者約4万人。現在、中皮腫を発症していない「健康な人」が対象になる。今年から5年間、少なくとも年1回の定期健康診断で、中皮腫になると増える血中のたんぱく質の濃度を調べるとともに、胸部エックス線検査などのデータを集める。
検診を通じ、中皮腫患者を早期に見つけると同時に、「中皮腫予備群」とみられる人への精密検査を実施し、経過を調べる。これらのデータから、中皮腫の兆候や発症初期の病態の把握▽職業上アスベストに接する人の中皮腫発症頻度▽早期発見に必要な検診の間隔▽精度の高い診断法−−などの解明・開発を目指すという。
同大は、全国初のアスベスト・中皮腫外来を開設したほか、中皮腫特有の血中たんぱく質を測定、診断する簡易キットを開発している。研究チームの樋野興夫・同大教授(病理・腫瘍学)は「中皮腫の実態を早急に解明し、対策を立てる必要がある。検診データ蓄積によって、中皮腫の早期診断システムを確立したい」と話している。
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