糖尿病を合併した高脂血症患者:より厳格な 血圧管理が肝要

日本人を対象に高脂血症治療薬を使った大規模な疫学研究「J-LIT」のサブ解析で、糖尿病を合併した高脂血症患者は血圧管理をより厳格にすべきだという論文が、日本高血圧学会の学会誌『ハイパーテンション・リサーチ』に掲載された。

J-LITは、日本人の高脂血症患者約5万人に高脂血症治療薬「リボバス」(一般名シンバスタチン)を6年間、1日5r〜10r投与し、血清の脂質値と虚血性心疾患の発生率との関係を探った。この中には糖尿病患者6、000人以上が含まれていた。今回のサブ解析は糖尿病合併の高脂血症患者の血圧管理の大切さを重ねて明らかにした。

解析結果によると、脳・心血管系疾患の発症率は糖尿病合併の高脂血症患者群で26.8/千人・6年、非糖尿病合併例の高脂血症患者群で15.4/千人・6年と、糖尿病合併の高脂血症患者群が有意に高率だった。

また収縮期血圧が130oHg以上の糖尿病合併群と非合併群は、どちらの群も130oHg未満の非合併群よりも脳・心血管系疾患の発症リスクが有意に高かった。

拡張期血圧が80oHg以上の合併群と非合併群も、80oHg未満の非合併群より発症リスクが有意に高かった。
どちらの血圧群でも脳・心血管系疾患の発症リスクは糖尿病合併群が非合併群を上回った。

サブ解析の結論は、糖尿病を合併した高血圧患者の降圧目標は130/80oHg未満という現行の治療ガイドラインを支持する結果になった。

高脂血症
高脂血症とは、血液中の脂肪(普通はコレステロールや中性脂肪)が正常値を超え、からだに悪影響を招く状態を高脂血症といっています。この際、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールは低値を示し、これも動脈硬化の危険因子となります。

高脂血症は自覚症状がないため、日常生活に支障をきたすことはありません。しかし、そのままの状態で放置しておくと、血管壁に脂肪が沈着して動脈硬化を引き起こす原因になります。

原因
中高年に見られる大部分の高脂血症は、遺伝的素因に加えて食生活の偏りからおこってきます。コレステロールの多い食品や、甘いものの食べ過ぎなどのエネルギーの過剰摂取と運動不足による肥満は、肝臓で造られるコレステロールや中性脂肪を増加させます。
肥満した人に高脂血症が多いのはこのためで、高脂血症を引き起こす最大の原因は太りやすい生活習慣と言えます。

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