新型インフルエンザの対策ガイドライン:厚生労働省

厚生労働省の専門家会議は26日、人から人へ感染する新型インフルエンザが発生した際に被害を最小限に食い止めるための対策ガイドラインをまとめた。服用後の異常行動が問題になっているインフルエンザ治療薬「タミフル」については、「現段階で方針に変更はない」とし、治療の第一選択薬とする位置づけを維持した。

また、今年1月に示したガイドライン原案では、人の移動制限などにより初期段階でウイルスを発生地域内に抑える「封じ込め」策を早期対応戦略の柱としていたが、同省の専門家会議の委員らから「現実的でない」などの意見が相次ぎ、患者の家庭や学校、職場など施設内の予防投薬が柱に据えられた。

ガイドラインは、世界保健機関(WHO)による6つの警報段階のうち、人から人への感染が確認された4段階以降の対応策を定めたもので、早期対応戦略、医療体制、事業者・職場、一般家庭・市町村の対策など13のテーマに分かれる。

最初の患者が見つかったら入院隔離し、家族や接触した人に抗ウイルス薬を集中投与。患者と接触した人の行動も制限したうえで、発症から72時間以内に自治体が国と協議し、交通封鎖や学校の臨時休校を伴う地域封鎖に踏み切るかどうか判断する。

発生初期に住民から発熱に関する電話相談を受ける「発熱相談センター」を保健所などに設置。自治体は、医療現場で患者と非感染者の接触を避けるため、医療機関や公民館に発熱の疑いのある人を診察する発熱外来を設ける。

国が準備しているワクチンは1000万人分しかないため、医療従事者や消防士、警察官など治安維持関係者、電気、水道などライフライン関係者、議員、国家公務員など危機管理に携わる者、報道機関など情報提供に携わる者に投与を限定する。

発生後に製造するワクチンも当初は不足する可能性が高いため、(1)医学的ハイリスク者(2)小児(3)成人(4)高齢者−のうち優先投与の順位を検討する。この際は、ウイルスの性質や、「死亡を抑えること」か「国の将来を守ること」のいずれに重点を置くかなどが判断材料となる。

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