メルクとシェリング・プラウが高脂血症治療薬を共同開発へ

米製薬大手メルクシェリング・プラウは26日、コレステロールが原因の高脂血症の治療薬を開発すると発表した。新薬の開発は巨額投資になっており、得意な技術や資金を出し合うことで製品化を速めるとともに、開発のリスクを分担する狙いがある。

2005年の売上高で世界7位のメルクと16位のシェリングが共同開発を計画しているのは、コレステロール吸収阻害剤「ゼチア」にファイザーの高コレステロール血症治療剤「リピトール」を組み合わせることで血中コレステロールの濃度を下げる新薬。資金調達や開発に伴うリスクを分担し、有望市場での占有率を高める。

コレステロールを減らして心臓病などを予防・治療する薬は成長が見込める製品の一つで、米調査会社IMSによると06年は世界で320億ドル規模とみられる。
両社は2000年に提携し、共同出資会社を設立。呼吸器分野の新薬開発などで協力してきた。今回の案件をテコに連携を一段と深める。

ゼチア
コレステロールの腸管吸収を阻害する初めての高コレステロール血症治療薬です。ゼチアとスタチンの併用投与は、肝臓でのコレステロール合成と腸管でのコレステロール吸収の両方を阻害するため、相互補完的LDLコレステロール低下作用を有意に示すことが臨床研究によって実証されています。
高コレステロール血症患者において食事・運動療法への反応が不十分であった場合、LDL(悪玉)コレステロールや総コレステロールを低減させるために、食事療法に追加して単独投与やスタチンとの併用投与によりゼチアを使用します。

リピトール
今日最も広く用いられているスタチン系の薬剤の一つです。肝臓におけるコレステロールの合成に関与する酵素の作用を阻害することによって、コレステロールの産生を抑制する薬です。
スタチン系薬剤は、肝臓内のコレステロール量を減らし、血中のLDLというコレステロールが主成分のリポタンパクを肝臓内へ取り込み、その代謝を促進するので,血中のLDL,すなわちコレステロールの量を減らし、高コレステロール血症の治療に用いられます。
この薬には血中のトリグリセライド(中性脂肪)を低下させる作用も認められています。

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