塩野義製薬は4月1日付で、がん疼痛克服推進部を新設する。4月から施行される「がん対策基本法」をにらんで、医師などに対して、痛みを取り除く緩和ケアの啓発計画などをつくるマーケティング機能を持つ組織を立ち上げる。
同社はオキシコンチンなどの抗疼痛剤を販売しているほか、制吐剤など、がん関連製品の研究にも力を入れており、疼痛分野をコアとする。同推進部は経営戦略統括責任者が管轄するが、配属者数は明らかにしていない。
WHOは、がん性の痛みに対して、積極的にモルヒネなどを投与するよう指針を出しているものの、日本の医療現場では同剤に対するアレルギーもあって、思うように進んでいないのが実情。
がん対策基本法
年間30万人以上ががんで死亡する中、患者がどこに住んでいても、本人の意向を尊重して適切ながん医療が受けられるよう体制を整備することなどが基本理念となっている。
同法は、国に対し、具体的な目標や達成時期を定めた「がん対策推進基本計画」の策定を義務づけているが、計画の策定にあたり、がん患者や家族、学識経験者で構成する「がん対策推進協議会」(厚生労働省内に設置)の意見を聞くよう明記したのが特徴。計画の内容や達成状況は、インターネットなどで速やかに公表することも求めている。
がん医療に関する情報収集や、患者・家族への相談支援体制の整備についても明記。患者の治療経過などのデータを一元的に記録・管理する「がん登録」については、法律には記されなかったが、付帯決議に推進の必要性が盛り込まれた。
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