東証マザーズ上場で細胞医療支援事業のメディネット(横浜市、木村佳司社長)は二十八日、免疫療法の研究開発を手掛けるバイオイミュランス(札幌、富樫裕二社長)と業務提携し、がん治療に有効な免疫細胞加工技術の共同開発に着手すると発表した。体内の免疫システムをつかさどる「ヘルパーT細胞」を増やし免疫力を高める国内初の研究という。
メディネットは医療機関向けに一九九九年から、がんの免疫細胞療法に必要な機能を持つ体内細胞の培養や加工など働きを活性化させる技術支援業務を手掛けている。
バイオイミュランスは二○○三年、北大発ベンチャーとして設立。北大遺伝子病制御研究所の西村孝司教授を中心に、北大、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の技術移転を受け、がんなどへの免疫療法確立を目指している。
がんの免疫細胞療法はがん細胞を直接破壊する「キラーT細胞」の機能を高めることを中心に行われてきた。今回の共同開発では、キラーT細胞の働きを支援する機能を持つヘルパーT細胞に着目。
特にがん治療に有効とされる「Th1細胞」に関するバイオ社の独自技術と、メディネットの細胞加工技術を組み合わせ、免疫細胞療法の新たな方向性を示す技術開発を目指す。
メディネットは「医薬品を使わず患者の細胞を増殖させる細胞療法は副作用が極めて少なく、共同研究の成果を臨床試験で確認したい」と話している。
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