自治医科大学付属病院は7日、国内で初めてとなるパーキンソン病患者への遺伝子治療の臨床実験を開始したと発表した。治療薬の効き目を良くする酵素の遺伝子を脳に注入。約半年かけて安全性や効果を確かめる。
パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンの不足により、震えや歩行障害が起きる。治療は、脳内でドーパミンに変わる「Lドーパ」という治療薬の服用が基本だが、病気が進行すると、ドーパミンに変える酵素AADCが減り、薬が効きにくくなる。
今回の治療は、AADCの遺伝子を組み込んだアデノ随伴ウイルスベクター(遺伝子の運び屋)を脳の4カ所に注入した。米国では同じ方法が6人の患者に実施されたが、重大な副作用はみられていないという。
同病院が昨年2月、厚生労働省に実施を申請し、同10月に承認された。(Sankei web)
パーキンソン病とは?
中脳黒質のドパミン神経細胞が変性・脱落する進行性の脳の変性疾患です。発病原因は不明ですが、脳内でのドパミンの不足が様々な運動障害を引き起こすと考えられています。
パーキンソン病は、神経変性疾患においてはアルツハイマー病についで患者数が多く、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害の4大症状が特徴です。
日本における患者数は、平成17年度厚生労働省患者調査より約14万5000人と推計されていますが、50〜60歳代で発症することが多く、高齢化に伴って患者数は増加しています。
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