農業生物資源研究所(茨城県)は、遺伝子組み換え技術によるスギ花粉症緩和米を医薬品として開発する計画を発表した。
この米はアレルギーの原因となるスギ花粉のアミノ酸配列を作る遺伝子を導入しており、数週間食べると、花粉への反応が下がることがマウスの実験で確認されている。
計画では、7月に田植えをして10月下旬に30−40キロを収穫。これをマウスなどに食べさせる動物実験で安全性を確かめる。安全性が確認されれば来年以降、人への効果や安全性も明らかにしていくという。
商品化には少なくとも6、7年かかる見込みで、同研究所は製薬会社にも協力を呼び掛ける。
同研究所は当初、食品としての開発を目指し、2005年から2年間、栽培して動物実験で安全性を確認した。だが厚生労働省が今年1月「食品でなく医薬品として扱うべきだ」と判断したため、医薬品としての開発に方針変更した。(神戸新聞)
花粉症緩和米とは?
スギ花粉症を引き起こすたんぱく質(アレルギー物質)の一部の遺伝子を米に組みこんでいます。
アレルギー物質を繰り返し注射することなどで症状を緩和する「減感作療法」と同じような仕組みで花粉症の治療効果が期待されています。注射の代わりに米を食べればよく、負担が軽くなるとされています。
花粉症とは?
アレルギー反応によって鼻炎の結膜炎のうち、スギなどの花粉がアレルゲン(抗原)となるものを花粉症といいます。
最もよく知られているのがスギ花粉ですが、そのほかヒノキやシラカバ、ブタクサ、ヨモギなどがアレルゲンとなる場合もあります。これらの花粉が鼻や目の粘膜に付着し、アレルギー反応によって炎症を引き起こします。
鼻炎症状としては、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが発作的に繰り返し起こります。目の症状はかゆみや涙などがあげられます。花または目の症状だけのこともありますが、多くは両方の症状が現れます。