他人のたばこの煙に長年さらされると、認知症のリスクが高まることが、米カリフォルニア大バークレー校のタデウス・ヘイト氏らの調査研究で分かった。受動喫煙と認知症に関する調査は初めてとみられ、先月開かれた米国神経学会で発表された。
この研究は、認知症でない65歳以上の男女約3600人を対象に、喫煙や心血管疾患の有無などを調査。心血管疾患のない非喫煙者985人(うち受動喫煙者495人)を6年間追跡し、認知症の発症率を調べた。
この結果、30年以上受動喫煙しているグループは、受動喫煙していないグループと比べ、認知症発症のリスクが約3割高かった。脳に血液を供給する頸動脈に異常がある場合、この傾向がより顕著であることも分かった。30年以上受動喫煙していて頸動脈の異常がある人は、受動喫煙も異常もない人の2.4倍のリスクだった。(時事通信)
受動喫煙とは?
タバコを吸わない人が、自分の意志とは関係なくタバコの煙を吸わされることを「受動喫煙」といいます。タバコの煙は、本人が吸っている煙(主流煙)と火のついた部分から立ち上がる(副流煙)があります。有害物質は主流煙より副流煙の方が高い濃度で含まれています。
近年の研究では、主流煙を1とすると副流煙にはタールが3.4倍、ニコチンが2.8倍、一酸化炭素が4.7倍、二酸化炭素1.3倍、アンモニアが46.0倍(!) 、窒素酸化物が3.6倍の量がそれぞれ含まれていることがわかってきました。
副流煙は、上記に示すとおり主流煙よりはるかに有害です。
タバコを吸っていないからといって安心ではありません。受動喫煙によって、タバコを吸わない人も健康被害を受けています。
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