慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬「タシグナ」を承認申請へ

ノバルティスファーマは、「グリベック」(一般名:メシル酸イマチニブ)抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬として「タシグナ カプセル200mg」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)の製造販売承認申請を行ったと発表した。
「タシグナ」は、現在スイス、米国、EUなど世界30ヵ国以上で承認申請中。

CMLは、緩徐に進行する血液と骨髄の疾患。現在CML治療の第一選択薬として位置づけられている「グリベック」は、高い治療効果を示すことが証明されているが、治療で十分な効果が得られない、又は得られていた効果が消失してしまう治療抵抗性の患者も存在していた。
さらに、副作用によってグリベックの治療を中止するか、標準用量のグリベックの治療が行えないために十分な効果が得られないグリベック不耐容の患者も認められており新しい治療法が望まれていた。

今回、承認申請された「タシグナ」は、経口投与可能な新規チロシンキナーゼ阻害剤。
「タシグナ」は、CMLの原因である変異型のBcr-Ablチロシンキナーゼに対する親和性の向上を目的として理論的に分子設計された薬剤であり、グリベック抵抗性のBcr-Abl変異体に対しても阻害効果を示したという。
海外及び国内において、グリベック抵抗性又は不耐容のCML患者を対象とした臨床試験を実施した結果、「タシグナ」はグリベック抵抗性及び不耐容の患者のいずれに対しても同様に効果が認められ、グリベック不耐容の患者の多くにおいて継続投与が可能だった。

慢性白血病について
慢性白血病はいつ発症したかわからないことが多く、ゆっくりと進行します。
「慢性骨髄性白血病」と「慢性リンパ症白血病」がありますが、日本では大部分が骨髄性です。
診断では、血液検査で、赤血球、白血球血小板の数を調べるとともに、白血球の種類やその中にどれくらい未成熟な白血球が含まれているかなどを確認します。白血病であれば白血球の割合が増大し、赤血球、血小板の比率が低くなります。
また、骨髄穿刺では、ほとんどの場合、フィラデルフィア染色体という特殊な染色体が検出されます。

慢性骨髄性白血病は、発症しても5年以上は症状がほとんどあらわれません。症状が出てくるようになると、全身の倦怠感、貧血、腹部の晴れ、体重減少などがみられます。
慢性リンパ性白血病では、リンパ節や脾臓が腫れています。進行すると、貧血や血小板減少などが起こり、免疫不全による感染や出血、自己免疫疾患などが起こってきます。

骨髄性の場合は、抗がん剤などを用いた薬物療法と化学療法を用います。より確実な治療法は、骨髄移植です。リンパ性の場合は、初期には余り治療を行なう必要はありません。
症状が出てきたら、抗がん剤を用いますが、合併してくる免疫不全などの治療も大切となります。
また白血病は、よくなったと判断されても、再発するケースが多く、定期的な検査が欠かせません。

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