細胞中に存在するタンパク質プロサイモシン・アルファを静脈に注射すると、脳梗塞による脳細胞の壊死が抑えられることを植田弘師・長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授(分子薬理学)らがマウスを使った実験で突き止めた。
生命科学専門誌「セル・デス・アンド・ディファレンシエーション」(電子版)に29日、発表した。
発症から時間が経過した後も有効で、将来の治療薬開発に役立つと期待される。
脳卒中による死因の多くを占める脳梗塞は、脳の血管が詰まり、酸素やブドウ糖の不足で細胞が壊死して起きる。救命できても手足のまひや言語障害などの後遺症が起きやすい。(shikoku.news)
脳梗塞とは?
脳梗塞とは、脳の動脈が詰まって、その先に血液が流れなくなる病気です。
その結果、血液から酸素や栄養を供給されていた脳細胞が、酸素や栄養不足で壊死してしまい、脳の機能が低下したり、失われたりします。
2004年に読売ジャイアンツの長島茂雄・終身名誉監督が脳梗塞で倒れ、現在もリハビリを続けておられますが、病気と向き合うその姿勢に励まされた患者さんも多いと思います。
脳梗塞には、脳血栓と脳塞栓の2種類があります。脳血栓は、好血圧や高脂血症、糖尿病などによるアテローム硬化(動脈硬化)のために生じた血栓が、脳動脈に詰まるものです。
一方、脳塞栓は、おもに心臓病のために心臓の弁に発生した血栓がはがれて、脳動脈を詰まらせるものです。
脳梗塞の症状
脳血栓では、めまいや左右どちらかの足の痺れが繰り返し起こって、やがてろれつが回らなくなったり、顔面や手足など体の片側の麻痺が出てきたりします。
脳塞栓では、脳血栓と同じ症状が、前触れなしに突然起こるのが特徴です。
診断では、X線CTやMRIなどで脳の検査をします。時間経過が少ないときは、X線CTなどでわからないこともありますが、発作後24時間以上経過すれば病変の確認は容易になります。
このほか頭部血管造影やMRA、心電図などの検査が行なわれることもあります。