体のふるえなどが起きるパーキンソン病患者の脳内で不足する物質を、遺伝子治療によって増やし、症状を改善することに、米コーネル大学などの研究チームが成功した。
臨床試験の初期段階で、対象の患者は12人だけだが、治療から1年たっても効果は持続している。詳細は英医学誌ランセットに発表した。
研究チームは、神経の興奮を抑えるGABAという物質が、患者の脳内の視床下核という部分で不足することに着目。GABAの生成を促す酵素「GAD」の遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、視床下核に入れた。注入は、半身の左右どちらかをつかさどる部分だけに行った。
その結果、注入部位に対応する半身で、症状が12人とも緩和。パーキンソン病の重症度を表す点数が、注入前に比べて1年後には平均27%も下がった。ウイルスが細胞に感染し、GADを作り出しているらしく、副作用は見られない。(YOMIURI ONLINE)
パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは、震えと筋肉のこわばり、緩慢な動作を主症状とする病気で、厚生労働省の難病(特定疾患)に指定されています。
パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる部位にあるドパミン(神経伝達物質の一種)を放出する神経細胞が消失するために、ドパミンが不足して起こります。ただ、神経細胞がなぜ消失するかはわかっていません。
パーキンソン病は症状が緩やかに進行しますが、治療をしないでいると10年ほどで食事や会話、入浴といった日常生活が不自由になり、介助なしには動けなくなります。