エコノミークラス症候群:飛行時間が4時間超えるとリスク倍増

世界保健機関(WHO)は29日、飛行機などに4時間以上乗ったまま体を動かさないと肺血栓を引き起こす「エコノミークラス症候群」になる危険が倍増するという調査結果を発表した。
長時間の搭乗を終えた後も、発症のリスクは約4週間続くため「短期間のうちに何度も搭乗を繰り返す場合は注意が必要」と呼び掛けている。

エコノミー症候群は「静脈血栓塞栓症」の通称。乗り物の中で長い間座ったままだと足の静脈に血栓ができやすくなる。血栓のかけらが肺まで届くと血管が詰まり、胸の痛みや呼吸困難を引き起こし、死に至ることもある。
発症を避けるためには体を動かし、足の上下運動でふくらはぎの筋肉を動かして血流を促すのが有効としている。

肥満や長身で座席が窮屈な人、床に足が届かない人は要注意と指摘。きつい洋服を着たり、経口避妊薬を服用しているとさらにリスクは高まるとしている。4時間以上の搭乗で発症するのは6000人に1人ほどの割合という。(NIKKEI)

静脈血栓塞栓症とは
静脈血栓塞栓症は、深部静脈血栓症(主に下肢の深部静脈に血栓ができる病態)と肺血栓塞栓症(深部静脈に形成された血栓が肺動脈に飛んで肺動脈が塞がれ、重篤な場合死に至る疾患)といった一連の病態の総称です。
近年、飛行機などによる長時間の移動中に発症したというニュースでも話題となっているエコノミークラス症候群は静脈血栓塞栓症の一病態です。

しかしながら、静脈血栓塞栓症は、実態としては病院において手術に伴って発症するケースが多くを占めます。
特に股関節置換術・膝関節置換術等の下肢の手術後は、深部静脈血栓症の発症率が34〜65%1)と高く、ひとたび急性肺血栓塞栓症を発症すると、死亡率は約30%とされ、死亡例の40%以上が発症1時間以内に死にいたる深刻な疾患2)です。発症してからでは救命が困難なため、その予防の重要性が指摘されています。

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