肺動脈性肺高血圧症の治療薬「リモジュリン」:国内で治験へ

持田製薬は今年度中をめどに、肺動脈の高血圧の治療薬について、人を対象に安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を国内で始める。呼吸困難や疲れ、めまいなどを引き起こし、心不全の恐れもある病気で、現在は外科手術を施したうえで薬を投与している。
新薬は皮下注射で薬を投与できるため、在宅や長期の治療が必要な患者の負担を軽減できる。

治験を始めるのは「リモジュリン」と呼ぶ新薬候補で、2012年の発売を目指す。
血管の内側を広げる効き目があり、肺動脈の血圧を下げる。小型ポンプを使って静脈や皮膚の下に薬を持続的に投与して治療をする。(NIKKEI NET)

「リモジュリン」は、肺動脈性肺高血圧症治療薬として2002年に米国で上市されて以来、30か国以上で販売または承認されているプロスタグランジンI2製剤です。
携帯用小型ポンプを用いた持続投与型の注射剤で、静脈内注射だけでなく皮下注射も可能であり、短時間で薬剤調整ができるなど、在宅を含め長期に薬物治療が必要となる患者さんの負担を軽減できる新しい薬剤です。

肺動脈性肺高血圧症(PAH)について
血液は、肺動脈と呼ばれる大きな血管を通って心臓から肺に運ばれます。
PAHを発症している患者は、肺動脈および分岐して細くなった血管(毛細管)が収縮・肥厚しています。

健康な人の肺動脈では、血管への弛緩作用(血管拡張物質)と収縮作用(血管収縮物質)のバランスが維持されています。PAHでは、血管収縮物質であるエンドセリン-1(ET-1)が正常レベルより多く生産され、血管壁にあるエンドセリン受容体に結合します。
これが肺動脈を過度に収縮させる原因であり、また肺血管の線維化にも関与しています。

血液は、肺で酸素を取り込み、心臓に戻り、全身に流れ出ます。肺への血液が少なくなることは、全身や筋肉を正常に機能させるための酸素が不足することを意味します。
PAHの患者さんは呼吸数が多く、疲れ易いため、疾患が進行すると簡単な動作さえ苦労することになります。国内の患者数は数千人と推定されています。