新潟県中越沖地震の発生から3日目を迎え、避難所生活をおくる被災者の間にストレスや疲労の影響が出始めている。長時間同じ姿勢で血栓ができ死亡に至ることもある「エコノミークラス症候群」の兆候とみられる足の静脈血栓を発症した70歳代の女性もいる。専門医が避難所の回診を始め、「心のケア」の専門医療チームも被災地に入った。
新潟大医学部などによる「エコノミークラス症候群対策合同医療チーム」が18日、柏崎市内の小中学校など4カ所の避難所を回り、検診を始めた。5人の静脈血栓を見つけたが、そのうち3人の血栓は地震発生以前のもので、1人は時期が不明だった。
残る1人、柏崎第一中学校で避難生活をしている70歳代の女性が「静脈の血栓は避難生活が始まって以降にできたもの。症候群のなりかけと言ってもよい」と榛沢和彦・新潟大助教に診断された。
榛沢医師は3年前の中越地震でも現地入りし、エコノミー症候群の患者を診察した。当時の経験を元に、特徴的な症状や発症の要因などを調べ、「喫煙者、足の動きが悪い人、妊婦、心不全や不整脈がある人は注意が必要」といった「診断・治療ガイドライン」にまとめている。
県は避難生活や車中泊をしている被災者に「かかとの上げ下ろし運動」「定期的な水分補給」などを呼びかけるチラシを計2万2000枚配った。(asahi.com)
エコノミークラス症候群(急性肺動脈血栓塞栓症)
心臓から血液を肺に送り届ける肺動脈に、血液のかたまり(血栓)や脂肪、腫瘍細胞のかたまり(塞栓)が詰まった状態を肺動脈血栓塞栓症といい、その結果、血流が滞って肺組織が壊死していく状態を肺梗塞といいます。
脚の静脈にできた血栓が肺に運ばれて発症するケースが最も多くみられます。
長時間動かずにいることと脱水が重なって、脚の静脈の血流が滞り、血栓ができてしまうものです。
一般的には、飛行機内で長時間着席したままでいるために起こる、エコノミークラス症候群として知られています。
足を動かさない状態から急に立ち上がったとき、血栓がはがれて血流に乗り、肺まで到達して、血管を詰まらせて症状を引き起こします。
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