「培養皮膚」の製造販売を承認:重症やけど患者の再生医療へ

厚生労働省の医療機器・体外診断薬部会は23日、愛知県のベンチャー企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(J-TEC)が申請していた「培養皮膚」の製造販売を承認した。
重症やけど患者自身の組織から作った皮膚のシートで、患部に移植して治療する。
病気やけがで失った体の一部を再生させる目的でヒト細胞や組織を使った製品が国内で承認されるのは初めて。再生医療が国内でも商業化の段階に入った。

皮膚のイメージ

培養するのは、皮膚の一番外側の「表皮」と呼ばれる部分。損傷していない皮膚組織を1平方センチほど採取して表皮細胞を分離し、マウスの細胞を加えてウシの胎児血清で培養する。
約3週間で、8×10センチの表皮シートが十数枚できる。これを病院に出荷し、医師が患部に移植する。

重症やけど患者は、全国で年間4000〜5000人ほど。やけどが大きい場合は自分や家族の皮膚などを移植することが多いが、自分の皮膚は足りなかったり、他人の皮膚だと拒絶反応が起きたりする問題がある。

培養皮膚はこれらをクリアでき、3日〜1週間で自分の皮膚として生着するという。J-TECは皮膚の培養のほか、出荷検査、輸送までを請け負う。販売価格は現時点で1000万円ほどの見込みで、今後、公的医療保険適用の申請を行う。(asahi.com)

やけど(火傷)について
やけどはその深さによって、T〜V度に分けられます。

T度…表皮だけが損傷して赤くなり、ヒリヒリする痛みがあります。

U度…少し深いやけどになります。患部が赤くなり、しばらくたつと水疱ができます。
深い火傷の場合は、水疱の下のほうに白い膜が見えます。これは、皮膚が熱によって損傷し、タンパク質が変質した白い膜です。治療には時間がかかり、痕が残りやすくなります。

V度…皮下組織まで損傷するやけどです。皮膚や焼け焦げて壊死し、黒褐色か白っぽく変色し、無感覚になります。痕が残り、部位によっては機能障害が生じます。

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