大阪大病院は、心臓が収縮する力が弱まる拡張型心筋症の男性患者(56)に、患者本人の足の筋肉細胞からつくったシートを心臓に張って心筋の働きを再生させる治療に成功し、退院できる見通しになったことを明らかにした。
男性は心臓移植が必要と判断され、当初は補助人工心臓を装着していた。現在では取り外して病院の周囲を散歩できるまでに回復したという。
こうした治療の成功例は世界初とみられ、再生医療の実現が本格化してきたことを示す画期的成果といえそうだ。主治医の藤田知之助教は「自らの細胞を使って重い心臓病を治療できる可能性を示せた」としている。
患者は大阪府の男性で、昨年2月に大阪大病院に入院。心臓を動かす機能が低下したため補助人工心臓を装着。8月には脳死心移植の待機患者となった。
心臓血管外科の澤芳樹教授らは、筋肉が傷ついたときに修復する働きを持つ筋芽細胞を、男性の左大腿部から採取。培養して増やし、直径約3・5センチ、厚さ0・1ミリ以下の円形のシートを20−30枚つくった。
今年5月に男性の左心室外側を覆うようにシートを張る手術を実施。3カ月後には心臓が収縮する力が回復。9月5日に人工心臓を外すことができた。大阪大は同様のシートで、2年間で6人の患者を治療する計画。(MSN産経ニュース)
拡張型心筋症について
心筋細胞の変性によって収縮力が低下して心室が拡張する病気です。体を動かすと息切れする、下肢がむくむなどの心不全症状が現れ、徐々に悪化していきます。
治療にあたっては、血管拡張作用とともに、心筋の動きを改善するACE阻害薬やβ-遮断薬が使われます。また、血液のうっ滞が起こりやすいので血栓ができるのを防ぐための凝固剤も使われます。
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