致死率が90%にも達するエボラ出血熱の原因のエボラウイルスを遺伝子操作し、特殊な細胞の中でしか増えない安全なウイルスに改造することに、河岡義裕・東大医科学研究所教授らの研究チームが世界で初めて成功した。

この改造ウイルスを使えば、通常の実験室でも研究が可能となり、今までなかったワクチンの開発などが大きく進む可能性がある。近く米科学アカデミー紀要電子版に発表する。
研究チームは、エボラウイルスの増殖にかかわるたんぱく質「VP30」に着目。カナダにある特別な実験室で、このたんぱく質を作る遺伝子を取り除いた改造ウイルスを作製した。次に、この改造ウイルスを通常の細胞に感染させたが、1週間たってもまったく増えず、反対に、VP30を作り出す特殊な細胞の中では増殖した。
河岡教授は「増殖にかかわるたんぱく質が作れないこと以外は、実際のエボラウイルスと同じ性質を持っている。改造ウイルスを使えば、安全に治療や予防の研究が行えるだろう」と話している。(YOMIURI ONLINE)
エボラ出血熱
2〜21日の潜伏期のあと、突然の高熱、結膜炎、咽頭痛、筋肉痛、頭痛、下痢など、重症のインフルエンザのような症状がみられ、次いで胸痛や腹痛、吐血、下血などの出血症状が起こります。
自然界からの感染経路は不明ですが、人から人へは血液、体液、排泄物との直接接触、飛まつなどによって感染します。特別な治療法はなく、輸液、呼吸や心臓の働きの管理など、対症療法が基本となります。