あごの骨を骨髄細胞で再生:重度の歯周病対策に

重い歯周病でひどくやせたあごの骨に骨髄の細胞を入れ、骨を再生させる治療が成果をあげている。東京大医科学研究所の各務秀明客員准教授らの臨床試験で、10人中8人でインプラントを入れられる状態まで骨が厚くなった。有力な治療法の一つになりそうだ。

重い歯周病では歯が抜けるだけでなく、歯を支えていたあごの骨もやせ細っていくことが多い。骨の厚さが5ミリ以下になると、義歯が入れられなくなる。義歯を入れるには、これまでは腰や、あごの別の部分の骨を移植するか、人工骨を使う治療しかなかった。

チームは東京医科歯科大などと協力、2年半前から臨床試験を始め、10人の患者から骨髄を採って培養した。このうち8人に、骨が欠けたときの治療などで使う補填材と一緒に、薄くなったあごの骨に盛った。半年後に8人とも義歯を埋め込めるまで再生。1年経過した5人ではもとの骨との境目が見えなくなるほどに回復した。(asahi.com)

歯周病菌について
歯周病菌には、組織を破壊する「たんぱく質分解酵素」ももっているものや、白血球などを破壊する毒素を持っているものがいます。歯周病菌が口の中に住み着くと、歯肉などに炎症をお引き起こします。

炎症がひどくなると、歯と歯肉の間の隙間に歯周ポケットができ、その部分にプラーク(歯垢)がたまりやすくなります。プラークがたまると、歯周病菌が増え、毒素が強くなり、歯槽骨を溶かすため、歯が抜けやすくなります。これが歯周病です。

また、歯周病菌は、歯だけではなく、全身にも影響を及ぼすことがわかってきました。組織や白血球などを破壊する歯周病菌の毒素や、炎症によってできる物質などが、全身に広がる危険性があるのです。具体的には動脈硬化の促進、誤嚥性肺炎、糖尿病の悪化、低体重児出産・早産などのリスクが生じます。