内視鏡による大腸がんの集団検診:秋田県仙北市で全国初

秋田県仙北市が昭和大横浜市北部病院と連携し、40歳以上の仙北市民を対象に、内視鏡による大腸がんの集団検診を定期的に実施することが分かった。
同病院の工藤進英教授によると、内視鏡を使った大腸がんの集団検診は全国初めて。秋田県の同がん死亡率ワースト1を返上しようという試みで、内視鏡検診の有効性についても研究する。4月以降、同市立角館総合病院で実施する。

大腸がん検診は排せつ物を調べる「便潜血検査」が主流。内視鏡を使った検診は便潜血検査と併用する。内視鏡は直接目で確認できるため、異常を発見しやすいとされる。しかし、健康保険が適用されず、費用が1回1万5500円と高額で、集団検診には導入されていないという。

昭和大横浜市北部病院は、人工肛門を設けるしかないと診断された患者の大腸ポリープを内視鏡的粘膜切除で取り除くなど、大腸がんの診断と治療では国内トップレベルの技術を持つ。集団検診では、工藤教授ら同病院の医師グループが内視鏡を使って検査する。

内視鏡を併用した検診の有効性を研究するため、従来の便潜血検査と、大腸内視鏡検査でデータを10年間取り、運動、遺伝子なども調べ、死亡率減少効果を比較する。(YOMIURI ONLINE)

大腸がん
その形態によって腺がんと表在性のがんに分けられます。大腸がんの90〜95%を占めるのは、粘膜層の腸腺に発生する腺がんです。これは、大腸の内側にできるポリープ(良性腫瘍)の一部ががん化し、腸壁の内部まで浸潤していくものです。

このタイプの大腸がんは比較的発見が容易です。またポリープががんに変化するまでには何年もかかるため、ポリープのうちに切除すれば、がんを予防することができます。

これに対し、もう一方の表在性のがんは、初めから粘膜表面にそってがん病巣が広がります。そして、腸壁の内部に広がったり腸の外側へ飛び出したりしないため、通常の造影剤を用いたエックス線撮影などでは発見しにくく、進展するまで気づかないこともあります。しかし近年、大腸がんの検査技術は急速に進歩しており、初期がんでも発見率が上昇しています。