インスリンを分泌する膵臓の細胞のオーバーワークを防ぎ、糖尿病の発症や悪化を抑える膵臓内の仕組みを、東北大大学院の石原寿光講師(分子代謝病態学)らの研究グループが確認、4日付の米科学誌セル・メタボリズムオンライン版に発表した。
食べ過ぎや運動不足などで増え続けている糖尿病の治療薬開発につながる可能性があるという。

研究グループは、血糖値を下げるインスリンを分泌する「ベータ細胞」に負担がかかると、ベータ細胞内に「4E−BP1」と呼ばれるタンパク質が多く作られ、ベータ細胞の働き過ぎを抑えることを突き止めた。
実験でマウスの「4E−BP1」をなくしたところ、ベータ細胞の働き過ぎが続き、ベータ細胞が次々と死滅。インスリンを分泌する力が弱まって血糖値が上がり、糖尿病が悪化したという。(さきがけOn the web)
糖尿病について
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、インスリンの作用が低下する病気です。インスリンには、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源として筋肉に蓄えたり、脂肪として長期的に貯蔵するのを促進するはたらきがあります。
インスリンの作用が低下すると、血液中のブドウ糖が細胞で利用されないため、血液中の濃度が上昇し(血糖値が上がり)、尿中にも糖が混じるようになります。
糖尿病が進行すると、細小血管がおかされ、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。また、メタボリック症候群と呼ばれる病態に加え、禁煙などの危険因子が重なると、動脈硬化を基盤とした大血管障害を合併し、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こします。