ADHD治療薬にさらに厳しい警告表示

米食品医薬品局(FDA)は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療に用いられる神経刺激薬Dexedrineに、心臓障害リスクの警告表示を追加するよう製造元のグラクソ・スミスクライン社に通達した。
この警告は、心臓の構造的異常やその他の心臓障害をもつ小児や少年が突然死した症例について記述を促すもの。また、幻覚、妄想などの潜在的な精神面の副作用についても言及している。

5月にも、FDAは類似するADHD治療薬のメーカーに警告の追加を求める通達をしている。米ニューヨーク大学医学部小児研究センターのMelvin Oatis博士は、これ以外の神経刺激薬についてはすでに通達済みだという。
3月にFDA小児科諮問委員会は、ADHD薬に心臓障害リスクに関する情報を追加することを勧告したが、2月には別の諮問委員会がブラックボックス警告(最もレベルの高い警告)の表示を求める決定を下している。今回の通達では、ブラックボックス警告ではなくDexedrineと心臓障害に何らかの因果関係を示唆する軽めの警告にとどまった。

米国でのADHD治療薬使用者数は、小児250万人、成人150万人と推定されている。米マイアミ大学ミラー医学部精神医学準教授のEugenio Rothe博士は、以前に比べADHDが認識され、薬剤使用も明らかに増加しているという。深刻な心血管系の副作用以外にも、小児の成長抑制の可能性や、精神疾患、双極性疾患、攻撃性などを増悪させるリスクが指摘されている。

今回の警告表示追加は小児科医や精神科医に慎重さを促すものだが、一方で患者の恐れを助長し、治療法を納得させるために要する時間を増やすことになるとOatis氏はいう。
同時に警告は、薬剤副作用の再確認や、神経刺激薬、心臓リスクに関する家族歴の聴取を徹底させるものでもある。米国立衛生研究所(NIH)によると、健康な小児やほかの障害でもADHDの類似症状がみられることがあり、多くの専門家が徹底的な検査の実施と、正しい診断の重要性を指摘している。

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献血時の細菌汚染を防止…日赤が採血法変更

日本赤十字社は、細菌汚染による事故を防ぐため、献血時の採血し始めの血液を輸血に使用しないことを決めた。血液を部分除去できる新しい採血方法の導入を今秋開始し、来年度中に全面的に切り替える。

献血では、採血用の針を刺した時に切れた皮膚が血液に混じり、細菌に汚染される可能性がある。皮膚を消毒しても、毛穴などに潜んだ細菌を完全に殺すことは難しく、2000〜02年の集計では、献血血液から作った赤血球製剤の0・04%から細菌が検出された。

特に問題なのは、20〜24度で保存される「血小板製剤」で、まれに混入した細菌が増殖することがある。米国では98年から3年間の調査で、血小板製剤の輸血で29例の汚染事故が起き、6人が死亡した。日本で今年5月に死亡した男性も、細菌が混入した血小板製剤の輸血を受けていた。

日赤は、採血に使うチューブを改良。最初に流れてくる血液(初流血)25ミリ・リットルを除去する。除去した血液は、捨てずに血液型や感染症の検査に利用する。

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ES細胞等の使用に抵抗感:再生医療研究で意識調査

受精胚から作られるES細胞や胎児由来細胞を用いる再生医療研究に対し、積極的に推進すべきとする人は約2割にとどまり、行うべきではないと答えた人も約1割いることが、文部科学省の研究班による市民調査で分かった。
一方で骨髄や臓器の細胞を用いた再生医療研究は、ES細胞などを用いる研究に比べて推進すべきとの意見が多く、受精胚を壊すことや中絶胎児の利用に、国民が強い抵抗感を持っていることが示唆された。

調査は、文科省科学技術振興調整費「先端医科学の認知に向けた社会的基盤調査」(主任研究者:小林英司自治医科大学教授)の分担研究「再生医療の認知に関する市民アンケート」により行われたもの。
対象は、ヒト組織の研究利用に取り組むHAB協議会の市民シンポジウム参加者を対象に、217人から回答を得た(回答率49・8%)

それによると、「再生医療」を見聞したことのある人は80%。「ES細胞」も76%が知っていると回答した。

その上で「ES細胞」「胎児由来幹細胞」のほか、骨髄や臓器などにある細胞に由来する「体性幹細胞」「間葉系細胞」を用いた再生医療研究を推進すべきか否かを聞いた。その結果、体性幹細胞、間葉系細胞を用いる研究には、「積極的に進めてほしい」がそれぞれ41%、50%と半数近くに上った。

しかしES細胞、胎児由来幹細胞を用いる研究では、「積極的に進めてほしい」がそれぞれ24%、22%と約2割にとどまった。「行うべきでない」は共に約1割おり、「なるべく行わないでほしい」と合わせると、それぞれ20%、16%に達する。体性幹細胞や間葉系細胞と比べ、否定的意向が強く表れている。

「慎重に進めるべき」とする意見は、ES細胞、胎児由来幹細胞、体性幹細胞、間葉系細胞のいずれの研究でも約4割を占めた。

ES細胞、胎児由来幹細胞に否定的な回答をした人からは、受精卵の滅失を伴うこと、中絶胎児由来であることが主な理由として挙げられた。胎児由来幹細胞には、中絶問題と絡むため否定的な意見もある一方、脊椎損傷やパーキンソン病などへの治療可能性から、研究・実験的治療を行うべきとする意見もあり、どちらにも多くの意見が寄せられた。

研究途上の医療に必要な対応を聞いたところ、最も多かったのが「医師の説明」(159人)だったが、次いで「補償制度」(133人)が挙がった。そのほか100人以上が求めたのは「第三者説明」「相談窓口」「参加取り止めの保証」だった。

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地方10県、医学部定員増 10年限定、最大10人

地域や診療科ごとの医師不足を解消するため、厚生労働、総務、文部科学の3省は31日、新たな医師確保総合対策をまとめた。医師不足が特に深刻な東北や中部地方などの10県について、08年度から最大10年間に限り、大学医学部の入学定員をそれぞれ10人まで増やすことを認めた。
医学部の定員は抑制傾向が続いており、暫定的とはいえ24年ぶりの方針転換となる。へき地医療を担う医師を養成する自治医大の暫定的な定員上乗せのほか、医師の集約化推進などの対策も盛り込んだ。

定員増が認められたのは、人口や面積当たりの医師数が極端に少ないなど一定の基準を満たした青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の10県。各県は、地元に医師を根付かせるための奨学金制度の創設を条件に、県内の大学医学部の定員を増やせる。奨学金を貸与する医師の卒業後の配置計画づくりなども義務づけられた。

自治医大には、各都道府県から毎年2〜3人ずつ入学しているが、08年度から10年間に限り、現在100人の定員を110人まで増やせる。特に医師不足が深刻な地域の学生が対象となる。

厚労省によると、病院や診療所で働く医師数は毎年約3500〜4000人ずつ増えており、2022年には全体で約30万5000人に達して「長期的には医師は足りる」と推計されている。

医師の過剰は医療費増大につながるとの考えから、政府は82年の閣議決定で医師養成の抑制を打ち出し、97年には「医学部定員の削減」を閣議決定した。ところがこの数年、地方での医師不足や、小児科や産科など特定の診療科での不足が深刻化し、方針転換を決めた。

ただ、厚労省は今回の定員増は「暫定的な措置」としており、期限の10年を過ぎても医師の定着が進んでいなければ、定員が現在より減らされることもありうる。

医学部の定員増は、全国知事会など地方を中心に要望が強い半面、医師が現場で活躍するようになるまでには10年近くかかるため、即効性は薄いとの指摘もある。

このため、3省は短期的な対策として、都道府県ごとに医師を拠点病院に集める集約化・重点化のほか、現在31都道府県で実施されている小児救急電話相談事業を全都道府県に拡大する。
さらに医師の負担を軽減するため、出産時の医療事故で障害を負った患者を救済する仕組みを検討するほか、病院内の保育所の利用促進など女性医師の働きやすい環境を整備。
離島対策では、ヘリコプターを使った巡回診療や、住民が遠方の産婦人科を受診する際の宿泊費支援なども総合対策に盛り込んだ。

乳がん患者25人の検査でミス 島根県立中央病院

島根県立中央病院(出雲市)は30日、乳がん患者25人の治療法を見極めるための検査で、本来しなければならない項目を別の項目と取り違えて実施するミスがあったと発表した。
そのため25人中4人は有効なホルモン療法を受けられなかった。その後死亡した1人について、同病院は「延命を図れた可能性は否定できない」としている。

同病院によると、乳腺の組織の検査を臨床検査大手の三菱化学ビーシーエル(東京都板橋区)に委託して実施している。ホルモン療法が有効かどうかを判断するため、医師は電子カルテの検査項目に「エストロゲンレセプター」「プロゲステロンレセプター」と入力した。
院内に常駐する社員3人が、電子カルテの画面などを見ながら別の用紙に転記する際、それぞれ「エストラジオール」「プロゲステロン」と似た表記の別の項目名を記入。これを基に、同社の子会社の担当者が検査した。

3人は正しい項目名と転記した項目名を同じと勘違いし、03年3月から9月まで誤記を続けていた。この間、30〜90歳代の25人が間違った検査を受けた。その後もホルモン療法を受けられなかった4人のうち、乳がんがかなり進行していた70歳代の女性は検査を受けた半年後の03年9月に亡くなったという。

会見した中川正久院長は「病院としておわびしたい。関係する患者さんや家族には十分に説明したい」と話した。同社の佐川直敏社長は「おわびのしようがない。今後記入方法などを見直したい」と話した。

内視鏡治療での食道静脈りゅう除去 世界初の成功

福島県立医大付属病院は30日、C型肝炎ウイルス(HCV)による肝硬変から食道静脈りゅうを併発した30代の男性血友病患者に対し、特殊な薬を使った内視鏡治療での静脈りゅう除去に世界で初めて成功したと発表した。同種の症状の血友病患者は国内に100〜150人いるとみられ、同病院は治療に活用できると話している。

男性は非加熱製剤の投与により、エイズウイルス(HIV)とHCVに感染していることが約20年前に分かった。通常の血液凝固因子製剤の投与を受けていたが、特殊な抗体の影響でさらに血が固まりにくくなっていたため大量出血の恐れがあり、食道静脈りゅうの手術はできなかった。

同病院のチームは、内視鏡を使って静脈りゅうに、硬化剤と呼ばれる特殊な薬2種類を注入して消失させた。その際出血に備え、世界的には使用法がまだ確立していない「ノボセブン」という血液凝固因子製剤を、過去に行われた手術例を参考に投与したという。

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スダチの搾りかすに血糖値抑制効果

徳島県特産のスダチの皮などの搾りかすに、血糖値の上昇を抑える効果のあることが、徳島大薬学部の高石喜久教授(生薬学)、土屋浩一郎助教授(薬理学)らの研究でわかり、30日発表した。

クエン酸が豊富な果実は、糖尿病の症状改善にも役立ちそうだ。

スダチは同県内で、ポン酢などに加工されているが、搾りかすは年間約2000トンにのぼり、産業廃棄物として処分されている。高石教授らは有効利用ができないか、4年前から徳島市農協などと共同研究し、成分を調べるうち、糖尿病に効果がある可能性が分かった。

血糖値が高い慢性糖尿病のラット15匹を使って実験。搾りかすを粉末にして1年間与えた7匹のうち、6匹はほぼ正常の血糖値で、死んだのは1匹だけ。ところが、与えなかった8匹のうち4匹は死に、残り4匹も症状が改善しなかった。

粉末に含まれるスダチ特有の「スダチチン」など19種類の有機化合物の中に、血糖値を下げるインシュリンの働きを助けるものがあるとみられ、徳島大は同農協などとその効能についての特許を出願した。
高石教授は「人への効果が確かめられると、サプリメントなどの原料として使うことが期待できる」と話す。

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日本発のアデノウイルス製剤「テロメライシン」が臨床治験へ

オンコリスバイオファーマは、癌細胞を壊死させるウイルスであるテロメライシン(開発コード:OBP−301)の臨床試験を開始することになった。既存の治療では効果がなかった癌患者を対象に10月までに米国でPIに着手、2007年末までに終える計画だ。

たけしの本当は怖い家庭の医学より

同剤はヒトアデノウイルスを用いた制限増殖型の腫瘍殺傷ウイルス製剤。癌細胞の不死化にはテロメラーゼが関与しており、多くの癌ではテロメラーゼ活性が高まっている。
「テロメライシン」は、ヒトアデノウイルス5型のE1領域にテロメラーゼプロモーターを組み込んでいるため、テロメラーゼ活性が上昇している癌細胞で特異的に増殖し、癌細胞を壊死させることが特徴。
テロメラーゼは精巣や卵巣の細胞、骨髄幹細胞などで発現がみられるが、正常組織の細胞中には見られない酵素で、正常細胞中での増殖力は弱く、細胞毒性もないとみられている。

マウスでの実験では、移植・増殖したヒト結腸癌細胞がテロメライシンの投与から15日後に壊死したことが確認されている。それら前臨床試験を踏まえ、3月にFDAに治験実施のための申請を行い、8月25日に了承が得られた。

臨床試験は、各種固形癌患者の中でも既存の治療法では効果が得られず、他に有効な治療の選択肢のない患者を対象に行われる。主に、癌組織への局所注入による治療についての安全性が検討される。
同社はもともとテロメライシンの事業化が目的としており、第一歩を踏み出したことになる。

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医薬品第二部会 新たな機序の抗癌剤など4成分を了承

薬事・食品衛生審議会の医薬品第二部会が25日に開かれ、抗真菌薬「イトリゾール注」や多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド注射用」など、4成分を承認して差し支えないと結論した。
このうちベルケイドは、プロテアソームの阻害という従来にない新たな薬理作用を持つことから、薬事分科会で再審議されるが、残り3成分は報告事項となる。そのほか、4成分の一部変更申請等が報告された。審議品目の概要は次の通り。

◇イトリゾール注1%(ヤンセンファーマが輸入)
有効成分はイトラコナゾール。既承認の抗真菌薬(カプセル剤、内用液)を注射薬とした新投与経路医薬品で、効能・効果はアスペルギルス属、カンジダ属等の各種真菌感染症など。再審査期間は6年で、原体・製剤とも劇薬に指定される予定。なお、内用液は7月26日付で承認されている。

◇アドベイト注射用250、同500、同1000(バクスターが輸入)
有効成分はルリオクトコグアルファ(遺伝子組み換え)で、遺伝子組み換え型の血液凝固第VIII因子製剤。培養工程で既存品のヒト・動物由来成分の使用を取りやめたため、新有効成分含有医薬品として取り扱われる。再審査期間は6年、毒薬・劇薬には該当せず、生物由来製品に該当する。

◇ベルケイド注射用3mg(ヤンセンファーマが製造、販売)
有効成分はボルテゾミブ。再発または難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病医薬品に指定されており、再審査期間は10年、原体・製剤とも毒薬に指定される予定。

プロテアソーム阻害剤で、抗癌剤として新規の作用機序。昨年4月の未承認薬使用問題検討会議で、早急な承認申請が要請されていたもの。個人輸入により使用され、間質性肺炎などの肺障害が多く見られることから、添付文書等で十分な注意喚起を行うことが求められた。承認に当たっては、市販後全例調査が条件として付けられる。

◇ブスルフェクス点滴静注用60mg(麒麟麦酒が製造販売)
有効成分はブスルファン。同種造血肝細胞の前治療、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、および神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療を効能・効果とした小児への用法・用量の追加。
希少疾病医薬品であるが、7月26日付で成人用の点滴静注剤が承認されていることから、再審査期間は成人用と横並びで2016年7月25日まで。

肝炎治療:都道府県に拠点病院 ウイルス検査も拡充

厚生労働省は、来年度から肝炎対策を拡充する方針を決めた。肝炎対策の来年度概算要求額は81億円(06年度予算は53億円)に上り、これまで実質的にC型肝炎中心だった対策を肝炎全体に広げることが大きな特徴。

最も力を入れるのは肝炎ウイルス検査の充実。早期発見による治療が重要なためで、今年度6万8000人分だった検査予算を、85万人分にまで増やす。
保健所では無料検査を夜間や休日の時間外でも受けることができるようにする予定。都道府県が委託すれば民間医療機関でも検査できる。

治療面では、都道府県に原則1カ所ずつ拠点病院を設置する。拠点病院には、複数の肝炎専門医を配置し、専門医療機関との連絡協議会を設け、治療情報を共有した上で診療の支援をする。
また、患者や家族からの相談に応じるセンターを整備し、かかりつけ医への肝炎研修も実施する。

塩野義など製薬準大手が海外拡充

製薬準大手各社が海外での事業体制を拡充している。塩野義製薬は米国で新薬の臨床試験(治験)を加速するため現地の開発人員を倍増。大日本住友製薬は中国の3つの現地法人を2007年春に統合し、中国市場の開拓を本格化する。
田辺製薬も中国の販売人員を3割強増やす。国内市場が医療費抑制などの影響で急速な伸びが期待できない中、各社は海外事業を相次いで拡大する。

塩野義は07年前半にも米国で抗肥満薬の新たな治験(第2相後期)を始めるのに合わせ、現在20人弱の現地開発人員を倍増する。治験に成功すれば現地で医薬情報担当者(MR)も採用し、同社初の米国での自力販売に踏み切る計画。大日本住友は中国の上海、蘇州、北京の現地法人3社を07年春にも経営統合する。各拠点がグループ戦略を共有するとともに、効率良く需要を開拓する体制を整える。

中皮腫治療に有用なウイルス発見:クボタも研究支援へ

アスベスト(石綿)関連がんの中皮腫の細胞を破壊するウイルスを、大阪府立成人病センターの高橋克仁医師(大阪大招へい助教授)と山村倫子・主任研究員らのグループが発見した。
このウイルスは、中皮腫に特異的に現れるたんぱく質を目印に攻撃するよう遺伝子改変されており、マウスを使った実験で成功した。
中皮腫の治療法は確立されておらず、今回の発見は治療につながる成果として、アスベスト製品を作っていた大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市)が5年間に5億円を助成し、研究を支援することを決めた。

高橋医師らは、子宮や消化管など意識して動かせない筋肉「平滑筋」にできる「平滑筋肉腫」という難病の研究を続けてきた。その過程で、平滑筋にだけ現れるたんぱく質「カルポニン」が中皮腫にも同じように存在することを突き止めた。

中皮腫は、ヒトの胸膜や腹膜など臓器を覆う膜のうち「中皮」という細胞の悪性腫瘍(しゅよう)。アスベストが関与していることが多いとされ、「上皮型」と「肉腫型」、二つの型が重なったものと計3種類がある。

研究グループは、平滑筋肉腫を縮小させる効果のあるウイルスを、マウスに移植したヒトの「肉腫型」中皮種細胞に投与。このウイルスは、カルポニンを生み出しながら分裂、増殖する肉腫だけを標的にするよう遺伝子が改変されている。

実験の結果、細胞が破壊され、腫瘍は1割程度にまで小さくなった。ウイルスは細胞内で増殖し、さらに別の細胞を攻撃するが、カルポニンのない正常な細胞は攻撃しない。また、治療が終われば、別の薬でウイルスを殺すことができる。

クボタはこの研究に対し、今年度から10年度の5年間に計5億円を支援することを決定。高橋医師と山村研究員らが設立する「肉腫中皮腫先端治療研究センター」の研究プロジェクトに助成する。

研究内容は9月に横浜市で開かれる日本癌(がん)学会学術総会で発表される。高橋医師は「5年後の臨床試験実施を目指す。中皮腫患者は増え続け、2025〜30年ごろピークを迎えると考えられ、実用化を急ぎたい」と話している。

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健康志向食材、商品化へ農水省が力:花粉症抑制緑茶など

老化防止が期待できるトマト、血圧上昇を抑える成分が豊富なコメ……。消費者の健康志向に応える新しい食材や素材の開発に、農水省が来年度から本腰を入れる。同省の研究機関などで開発した食材、素材の商品化を本格的にスタートさせる。高い付加価値で輸入農産物との差別化を図り、農業を支援する狙いだ。

健康へのプラス効果が期待されるのは、抗酸化作用があるリコピンを多く含む「高リコピントマト」や血圧上昇を抑えるギャバが豊富な胚芽(はいが)を大きくした「巨大胚芽米」など。主に独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構が開発し、臨床試験による効果の検証や実用化を進めている。

化粧品の保湿成分セラミドを砂糖の原料のテンサイのしぼりかすから抽出する新技術なども開発中だ。いずれも遺伝子組み換え技術は使っていない。

すでに商品化にこぎつけたものもある。花粉症緩和に効果があるメチル化カテキンを普通の緑茶の数十倍も含むお茶「べにふうき」。同機構が開発し、飲料メーカーのアサヒ飲料が今年から一部で販売しているしているが、早くも人気が高く、注文に出荷が追いつかない状態という。

来年度からは、開発中の新品種の市場化調査も行う。産地や企業に対しては、商品化に必要な技術指導を行ったり、生産施設整備のための補助や制度融資の適用など経済面で支援したりする。

市場に流通する「健康食材」には効果や品質が不透明なものも少なくない。このため、同省の検査機関が有効成分の含有量を検査し、合格しなければ出荷しない仕組みを作り、消費者へアピールする考えだ。

現在、新食材・素材の市場規模は200億円程度とされている。5年で3倍以上の700億円規模にまで拡大するのが目標。同省は「成分抽出や品質維持にも高い技術が必要で、簡単には他国などにまねされないのでは」と期待している。

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心臓発作は見逃されることが多い

心臓発作(心筋梗塞)の治療は近年大きく進歩しているが、患者や医師が発作の存在に気付かなければその進歩も意味がない。心臓発作の多くが見逃されているということが、最近の研究で示されている。

2006年初め、医学誌「European Heart Journal」に掲載されたオランダの研究によると、心臓発作の43%は発症時に気付かれていないという。「ロッテルダム研究」と呼ばれる研究に参加した55歳以上の男女約4,000人の心電図(ECG)を分析した結果、男性で3分の1、女性で2分の1、全体では4割以上の心臓発作が見逃されていた。他の専門家も、ECGだけでは心臓発作が生じたとする確かな根拠とはならないとしつつも、心臓発作の徴候の多くが見逃されていることを認めている。

米ジョージワシントン大学病院(ワシントンD.C.)のSusan Bennett博士によると、特に女性患者の場合に心臓発作が見逃されやすいという。医学誌「Circulation」に2005年に掲載された調査では、医師500人に検査症例を提示し、患者の心疾患リスクをレベル別に分類させたところ、リスクが中程度の女性は、同程度のリスクをもつ男性に比べ「低リスク」に分類されることが多かった。

米国心臓協会(AHA)によると、心臓発作の主な徴候には以下のようなものがある。

  • 胸中央部の圧迫感、締めつけ感、膨満感、痛みなど、数分間継続するか断続的に生じる不快感。
  • 片腕または両腕、背中、首、顎、腹部など、上半身の胸以外の部分の痛みや不快感。
  • 胸部不快感の有無にかかわらず生じる息切れ。
  • 冷汗、吐き気、頭部のふらつき感。

心臓発作に早期に気付くことも大切だが、予防に努めるに越したことはない。Bennett博士は、血圧やコレステロールなどの「自分の数値」を知っておくことが大切だと述べている。また、食事や体重にも注意し、肥満指数(BMI)を25以下に抑える必要があるという。

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不妊治療助成を20万円に倍増 来年度から

厚生労働省は26日、少子化対策の一環として、不妊治療のうち健康保険が使えない体外受精と顕微授精に対する公的助成を拡充することを明らかにした。
1世帯あたりの助成額を現在の年間10万円から20万円に倍増するほか、助成が受けられる所得制限を緩和するもので、平成19年4月からの実施を目指す。厚労省の推計(14年度)では、不妊治療を受けた患者は46万6900人に上っており、出産を望んでいる夫婦への直接的な支援で少子化に歯止めをかけたい考えだ。

不妊治療への公的助成の拡充は、6月に政府がまとめた「新しい少子化対策」に盛り込まれ、厚労省で具体的検討を進めてきた。

公的助成は16年度に始まり、体外受精と顕微授精が対象。こうした方法以外では妊娠が見込めないか、極めて困難と医師に診断された夫婦が治療を受けた場合、現在は通算5年間、年間10万円を上限に、かかった費用の半額を助成している。実施主体は都道府県、政令指定都市、中核市で、負担は国と自治体が折半している。16年度には約1万7600組が助成制度を利用した。

しかし、1回あたりの平均治療費は体外受精が30万円、顕微授精が40万円と高額で、成功までには何度も治療を繰り返すことが少なくない。助成を受けても夫婦の負担は大きく、関係者から「治療を断念せざるを得ないケースもある」との指摘が強かったため、支給額を倍増することにした。

夫婦合算で650万円(所得ベース)となっている所得制限も緩和するが、具体額は今後の予算編成作業の中で調整する。厚労省は拡充案を19年度予算の概算要求に盛り込んでおり、与党内で浮上している助成期間の延長についても引き続き検討していく考えだ。

不妊治療
排卵誘発剤などの薬物療法や、精管、卵管の障害に対する手術などは「一般的な不妊治療」として健康保険の適用対象になるが、器具を使って精子を子宮腔(くう)に注入する人工授精や培養器の中で受精させる体外受精、顕微鏡下で精子を直接卵子に注入する顕微授精は「生殖補助医療」と呼ばれ、全額患者の自己負担となっている。厚労省によると、15年の体外受精の患者は約4万2000組、顕微授精は約2万6000組だった。

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脳神経外科医を志す若手医師激減 学会異例のPR

日本脳神経外科学会(吉本高志理事長、会員数約8000人)は脳神経外科医を志す若手医師が激減しているのを憂慮し、異例のPR冊子(A4版14ページ)を作成した。先輩の仕事への思いや休暇の過ごし方などに触れ、若手の関心を引こうと躍起だ。

その一方で、全国で約150万人いると推測される脳卒中患者は20年後に倍増する見込みだ。また、脳しゅようやせき髄損傷、てんかんなど対象となる疾患は幅広い。同学会は「このままでは脳神経外科が成り立たなくなる」と危機感を募らせ、脳神経外科の魅力を説明する冊子の作成に着手。この夏、80校と、訓練施設になっている医療機関の計約390施設に2万部を配布した。

冊子の表紙には「君の未来はここにある」と記載。「一人前になるには何年かかるのか」「とても忙しいのか」という10項目の質問に答えているほか、「1週間のうち手術が約3日、外来担当が約2日。CTやMRIなどの利用で負担は減っている」とした現場報告を盛り込んだ。また、若手医師の「忙しい時もあるが、やりたい仕事なので精神的な疲れはない」「休みには趣味のサーフィンを思いっきり楽しんでいる」などの声を寄せた。

作成に携わり、冊子の中でも登場している宝金(ほうきん)清博・札幌医大教授(51)は「きつい職場であることを否定しない。だが、計り知れないほどのやりがいがある。その魅力をアピールしていかなければならない」と話している。

喫煙、女子中高生 母譲り? 吸わぬ親と1.8倍の差…厚労省研究班

両親に喫煙・飲酒習慣があると、その子供が中高生になって喫煙・飲酒する割合が、両親に習慣がない場合に比べていずれも大きく、父親よりも母親の影響を受けていることが、厚生労働省の研究班(主任研究者・林謙治国立保健医療科学院次長)の調査でわかった。

林次長は「子供を指導する前に親を指導することが必要」と指摘している。この結果は、27日に大阪市で開かれる思春期学会で発表される。

この調査は、厚生労働省研究班が全国の中高生、のべ約32万4500人にアンケートし、1996年度から4年ごとに2004年度まで実施。今年度になって、林次長が再分析を加えた。

04年度の調査によると、喫煙する母親を持つ女子の喫煙率は、喫煙しない母親を持つ場合の1・81倍で、飲酒する母親を持つ女子の飲酒率はそうでない場合の1・66倍。父親が喫煙や飲酒をする場合は、それぞれ、しない場合の約1・3倍だ。

男子も、母親が喫煙・飲酒する場合はそうでない場合の約1・5倍で、父親が喫煙する場合の影響力よりも高かった。母親の影響の強さについて、林次長は「父親は家庭生活への関与が薄く、母親の方が接点が多いからではないか」と推測している。

一方、喫煙する男子の両親の6割以上が、女子では両親の4分の3近くが、子供は吸っていないと思っている。飲酒の場合も8割近い父母が子供は飲んでいないと楽観的。林次長は「親の生活を正すことが、子供に悪い習慣を身につけさせない最大の近道」としている。

治験拠点の40病院選定へ 新薬開発、競争力アップ

厚生労働省は来年度、新薬の臨床試験(治験)を行う能力が高い全国40か所の医療機関を「治験拠点病院」に選定し、重点的に支援する方針を決めた。

新薬の開発競争が欧米を中心に激しさを増すなか、「治験の空洞化」が指摘されている国内の体制を整え、国際競争力を高める狙いだ。

同省は拠点病院の緊急整備費として来年度予算で1医療機関あたり2500万円、計10億円を概算要求。来年度初めに、大学病院を中心に40か所を選定する。
拠点病院では、治験に詳しい医師や、患者と医師の橋渡し役となる「治験コーディネーター」、治験情報を管理する「データマネジャー」など、治験を効率的に進めるスタッフを充実させる。また、治験データを電子化するなどして、質の高い治験を実施する体制を確保し、時間短縮も図る。

米国では、同様の拠点病院が80か所あり、治験の質を確保している。同省は今後、拠点病院を中心とした治験体制の改革を、5年計画で進めるとしている。

治験は1997年に国内の実施基準が変更され、実施ルールを厳格化。日本企業や研究機関が開発した新薬の候補物質が、国内の治験が難しいため海外で先に開発されたり、海外で開発された抗がん剤の承認が国内で遅れたりするなどの弊害が出ている。

化粧品原料アレルギー、試験期間30分の1に―資生堂など

資生堂と花王など7社と国立医薬品食品衛生研究所は化粧品原料がアレルギーを引き起こすかどうか、従来の約30分の1の期間で調べられる試験法の実用化に乗り出す。ネズミなど動物の代わりに人間の細胞を使う。
欧州連合(EU)域内では動物で実験して開発した化粧品の販売が2009年3月から段階的に規制される。早期に国際的な公的試験法として認可を取得し、新製品開発に活用する。

新試験法の実用化を目指すのは国立衛生研のほか資生堂と花王、カネボウ化粧品、コーセー、日本メナード化粧品、ポーラ化成工業、ライオンの7社。

基盤技術は資生堂と花王の2社が共同開発した。化学物質や金属によるかぶれなど、皮膚のアレルギー反応の口火を切る免疫細胞の働きに注目。白血球の細胞がこの免疫細胞と似た働きを示すことを見いだした。

出産時事故に補償制度 医師過失、立証不要

政府・自民党は25日、出産時の医療事故について、医師の過失を立証できなくても患者に金銭補償を行う「無過失補償制度」の創設に向け、本格的な検討に入ることを決めた。

被害者救済と同時に医師不足対策と位置づけ、厚生労働省などが日本医師会や産婦人科医団体、保険会社などとの意見交換に入るほか、自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」(大村秀章座長)でも協議を開始する。

出産時の事故は医師の過失の有無の判断が難しく、事実関係を確かめるため、裁判に持ち込まれるケースも多い。最高裁の調査によると、2005年に産婦人科での医療をめぐって起こされた民事訴訟は118件で、医療関係では内科(265件)、外科(257件)に次いで多くなっている。

こうした中で、被害者側では「医師の過失を証明するのは難しく、補償される場合でも時間がかかる」という指摘が出ている。また、産婦人科医の側にも「医療過誤を厳しく問われるのは負担が大き過ぎる」という声がある。

厚労省によると、04年の産婦人科医の数は1万163人で、02年から455人減少した。政府・自民党は、こうした産婦人科医の減少には、民事訴訟のリスクを回避する意識も影響していると見ており、無過失補償制度の整備を本格的に検討することにした。今後、補償の財源や範囲について、検討を進める方針だ。

この問題では、日本医師会が今月8日、政府の公的支出と妊産婦の負担金を財源にした無過失補償制度の構想を発表している。これに対し、厚労省は「政府の公的支出は難しい」としており、産婦人科医側に負担を求めたい考えだ。補償の範囲については、母親と新生児の両方の被害を対象とする方向となっている。

政府・自民党は、第三者機関が医療事故の原因を究明する制度や、医療関係の紛争を裁判以外で処理する制度もあわせて検討する方針だ。制度の導入により、ずさんな治療行為が横行する危険性なども慎重に考慮する。
現在、20歳未満の障害児の養育には特別児童扶養手当が、20歳以上の障害者には障害基礎年金が支給されており、こうした既存の社会福祉制度との調整も必要になる。