医師不足、地域の医師確保支援―厚労省が中央会議設置へ

小児科や産科の医師不足対策で、厚生労働省は来年度、特定の中核病院に医師を集中させる「集約化」に本格的に乗り出す。医師が足りない地域の病院が入院患者を中核病院に委ねることを条件に、高齢者医療など他の分野に転換するための費用を国が一部負担する。
地域の医師確保策を後押しするのが狙いで、来年度予算概算要求に関連費を盛り込む。ただ、地方には集約化で医師が引き揚げられることへの懸念もある。

厚労、総務、文部科学の3省は昨年8月、医師不足が深刻な産科や小児科の医院や病院に入院する患者を中核病院などに集め、医師一人ひとりの負担を軽くするなど、集約化・重点化の推進を決めた。各都道府県に、今年度中に対策の必要性を検討し、具体策をまとめるよう求めた。

しかし、厚労省の今年4月時点の調査では、対策の必要性を検討していたのは、静岡、三重、兵庫、奈良、徳島、青森(産科のみ)、大分(小児科のみ)の7県だけ。28都府県は、検討の具体的なスケジュールも決まっていないなど、足並みが乱れている。

都道府県が二の足を踏む理由の一つが、中核病院に医師をとられる医療機関の反発だ。重点化が進めば、中小の病院では、小児・産科の外来だけを残し、入院患者の受け入れをやめることになる。医師を召し上げられるだけでなく、患者も明け渡す形になり、経営面で打撃を受ける可能性もある。
都道府県からは、「医師を引き揚げられる地域の対策を考える必要がある」(栃木)、「連携する病院への財政上の支援策を明確にしてほしい」(神奈川)など、国の財政支援を求める声が上がっていた。

厚労省が補助対象に想定しているのは、中核病院との連携が期待される山間部やへき地の自治体病院や民間病院など。重点化に協力して小児科や産科の入院患者を受け入れない代わりに、高齢者介護など地域のニーズにあった分野に切り替える場合、必要な医療機器やベッドなどの設備整備費の一部を国が負担する。

厚労省は当面、自治体病院など公的病院を中心に集約化・重点化を進める方針だが「補助制度を充実させ、将来的には民間病院にも協力を仰ぎたい」としている。

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小林製薬、化粧品に参入・まずスキンケア4商品

小林製薬は24日、女性向け化粧品事業に参入すると発表した。10月にまずスキンケア商品4種類=写真=を発売する。米国の工業用触媒メーカーと商品開発で提携。微細なカプセル製造技術を生かし、シワや、くすみなど肌の症状を改善できるのが特徴。30歳代後半から50歳代の女性を中心とした需要を見込む。順次品数を追加し、2009年度に売上高30億円を目指す。

商品名は「リアルラボ」。第1弾としてローション、ジェル(美容液)、クリームなどを発売する。ナノ(ナノは10億分の1)メートルからマイクロ(マイクロは100万分の1)メートル級の大きさの微細カプセルを使うことで、肌のくすみやシワなどに有効な成分が適切な部位に適量届くという。価格は6300―1万500円。

米工業用触媒大手エンゲルハードグループの子会社と共同で商品開発した。エンゲル社はナノカプセルなどの製造や再生医療を手掛けており、欧米の化粧品会社のほか資生堂にも化粧品原料を販売している。

当面はネットを通じた通信販売に販路を限定するが、10月以降、首都圏のドラッグストア約15店舗でも試験販売する。9月に専用ウェブサイトを立ち上げるほか、ブログ(日記風の簡易型ホームページ)でも製品情報などを紹介し販促に生かす。無料のサンプルセットも10万個用意し、ウェブや雑誌・新聞広告などを通じて体験者を募集する。

厚労省が発達障害に標準支援策、拠点整備し指針発信へ

厚生労働省は来年度から、自閉症や学習障害などを持つ発達障害者の標準的な支援策作りに乗り出すことを決めた。
この支援策を、全国の医療機関などに発信する「発達障害対策情報センター(仮称)」も創設する。

発達障害については、医療機関や施設、学校によって治療も対応もばらばらなのが現状。科学的な分析に基づいた支援策を普及させ、全国どこでも適切な支援を受けられる体制づくりを目指す。

発達障害の子供は、その接し方や幼児期の治療などによって、その後の生活状態や社会への適応状況も変わるとされるが、標準的な対応方法が定まっておらず、施設や医師などによって、支援レベルも異なるという。

標準的な支援策は、都道府県から、有効とみられる手法を吸い上げ、学識経験者や専門医らで構成する国の「発達障害者施策検討委員会」で、客観的な評価を加えて作成。
最終的には支援マニュアルとしてまとめる。療育方法や、学習、就労など、様々な段階で役立つと思われる支援策が盛り込まれる。

一方、国立成育医療センター(東京都世田谷区)に置かれる予定の「発達障害対策情報センター」では、こうして作られた支援策を医療機関や養護学校などに情報提供。一般に対しても、パンフレットやホームページなどで、発達障害への理解を深めるための情報を発信する。

米FDAが緊急避妊薬の販売許可、18歳以上に処方せんなし

米食品医薬品局(FDA)は24日、米製薬大手のバー・ファーマシューティカルズが製造する緊急避妊薬「プランB」を、18歳以上に限り一般医薬品として販売することを認めた。購入には店頭で写真付きの身分証明書の提示を求める。17歳以下の購入には従来通り処方せんが必要。

緊急避妊薬は「モーニング・アフター・ピル」とも呼ばれ、妊娠の可能性のある性交後72時間以内に服用することで妊娠を妨げる効用がある。これまで一部の州を除き処方薬として販売していた。
病院が閉まる週末や休日などに処方せんがもらえないという問題があり、バーはFDAに一般薬としての販売許可を求めていた。

黒コショウのにおい、高齢者の肺炎予防:オオノと東北大確認

調剤薬局「ひかり薬局」を経営するオオノ(仙台市、大野武社長)と東北大学大学院老年病態学研究チームは共同で、黒コショウのにおいが高齢者の肺炎予防効果の可能性があることを確認した。

においをかぐと、高齢者の食べ物をのみ込む反応が高まり、気管や肺に異物を吸い込みにくくなるという。近く米老年医学会誌に発表する。

肺炎を繰り返す高齢者はのみ込み反射能力が低下するため、肺炎の原因となる「誤嚥(ごえん)」を起こしやすい。研究チームは黒コショウのにおいが、反射を担う脳内の神経伝達物質の放出を促すと分析した。

宮城県内の老人保健施設の入所者105人を対象に1カ月間、毎食事前に黒コショウ、ラベンダー、無臭の三グループに分けてのみ込む反応を調べた。

黒コショウのにおいをかいだグループの反応が大幅に改善。食べ物を口に入れ、のみ込むまでの時間が実験前は平均15―17秒だったが、平均約四秒に。その他のグループにはほとんど変化は見られなかった。

関連記事:コショウを使って誤嚥予防:東北大チームが研究

受精卵壊さずES細胞作製…米バイオ企業

人間の胚(はい)(受精卵)を壊さずに、その一部を使って、さまざまな臓器や組織の細胞に変化する能力を秘めた胚性幹細胞(ES細胞)を作製することに、米バイオ企業「アドバンスト・セル・テクノロジー」の研究チームが成功した。

胚を壊して作る従来の方法に比べ、倫理的な問題が少ない利点がある。英科学誌ネイチャー電子版で23日発表した。

遺伝子を調べるために胚から細胞1個を取り出す着床前診断の技術を応用した。今回の研究成果を応用すれば、体外受精で赤ちゃんを得ると同時に、その赤ちゃんの将来の病気やけがに備えて、再生医療に利用できるES細胞を作るのも可能になる。

研究チームは、不妊治療などで余った受精卵を活用。8〜10個まで細胞分裂した段階で細胞1個を取り出して、別のES細胞と一緒に培養した結果、新たなES細胞を2個作製することに成功した。

関連記事:マウスES細胞から人工肝臓、症状回復に成功…岡山大

ヒト胎盤製剤使用者からの献血制限:厚労省方針

厚生労働省は23日、アンチエイジング(抗加齢)や美容にいいなどの触れ込みで女性などに人気がある「プラセンタエキス注射剤」を使用した人からの献血を受け付けない方針を決めた。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCDJ)の感染防止策の一環。献血血液の検査方法などが確立されるまでの暫定措置で10月にも実施する。

この注射剤はヒト胎盤の抽出成分を製剤化した。更年期障害などの治療薬だが、本来は「適用外」の美容目的での投薬が横行している。

変異型ヤコブ病は、牛海綿状脳症(BSE)に感染したウシの脳などを食べると感染する。ヒトの胎盤からBSEの原因物質が感染するリスクについて、厚労省の有識者部会は「理論上は否定しきれない」との評価をまとめており、同省は「念のための措置」として献血制限に踏み切った。

変異型ヤコブ病に関連した献血制限は英国への渡航歴がある患者の感染が確認された05年から実施され、BSEが流行した英仏などに特定の期間、渡航経験のある人が対象となっている。

関連記事:ES細胞からヒト血液成分―東京大学2グループが作製

胸部X線検査「40歳以上」に 厚労省検討会が正式報告

職場の定期健診で実施されている胸部X線検査について、厚生労働省の検討会(座長=工藤翔二・日本医科大教授)は23日、将来的には検査を義務づけるのは40歳以上の受診者に限るとする報告を正式にまとめた。
健診の有効性についての十分な研究がなく評価が分かれたため、肺がんや動脈硬化などが多い中高年に限ることで決着した。

同省は今後、健診の有効性を検証する研究に着手し、08年度にも関係規則を見直したい考え。だが、検査に携わる医師らは「十分な調査研究と猶予期間」を見直しの条件としており、実際の改正時期は不透明だ。

報告では、胸部X線検査について「廃止、あるいは現状のまま存続するという科学的根拠については、意見の一致がみられなかった」とし、受動喫煙など職場環境とも関係がある肺がんの発見などを目的として、中高年層で存続させることにした。

また、40歳未満については5歳ごとの「節目健診」とし、それ以外は医師が個別に判断。同省は現場に混乱がないよう、対象者の選定などについてのガイドラインを作成する方針だ。

「がん医療のプロ」育て、文科省が大学院に財政支援

文部科学省は来年度から、がんに詳しい医師や看護師を育成する大学院に財政支援する新規事業を始める。6月に成立したがん対策基本法を受け「がんのプロ」を増やして医療人材の配置に地域的偏りをなくすことが狙い。
全国の大学から公募で10件前後の取り組みを選び、数年間、補助金を交付する。がんに特化した人材育成策を同省が打ち出すのは初めて。

事業名は「がん医療のプロフェッショナル養成プラン」。大学院と付属病院が連携して、優れたがん専門家を育成する教育プログラムに補助金を出す。

支援対象は育成する人材に応じて3種類。主に若手医師を対象にする「腫瘍(しゅよう)専門医師養成コース」は、博士課程の4年間を通じ、臨床と研究をバランスよく経験させ、双方の能力を兼ね備えた専門医を育成する。

関連記事:がん治療専門の人材育成「がんプロフェッショナル養成プラン」

ジェイゾロフトの製品情報を修正:ファイザー

ファイザーは、「ジェイゾロフト」の製品情報冊子に記載している内容を、一部改めることにした。日本精神神経科診療所協会(日精診、会長三野進氏)が、記述に疑問を投げかけていたことに対する回答。
「日本の臨床試験の結果はうつ病、パニック障害いずれにおいても効果を保証するには不十分であり(中略)、精神科専門医を中心に処方をお願いします」の箇所を削除し、国内臨床試験の概要とうつ病、パニック障害の適応を取得した経緯を示す内容に改める。

ジェイゾロフトは7月にファイザーが発売したSSRI。日精診は6月27日付で、うつ病、パニック障害の適応をめぐる問題箇所のほか、「再燃抑制効果」を示す資料の開示など、五つの質問をファイザーに提出していた。これに対する回答がファイザー側からなされたことを、8月16日の「日精診FAXニュース」で告知した。

うつ病、パニック障害の適応をめぐる記述についての疑義には、多くを医薬品医療機器総合機構のホームページで公開されている審査報告書を引用する形で回答している。

また再燃抑制効果については、「薬事・食品衛生審議会で審査、承認を受けたものではない」としながら、再燃率がプラセボに比べて有意に低かったとし、「再燃抑制効果を含む抗うつ効果が認められたと解釈している」と回答した。

障害者施設:補助金一律25%削減 自治体に厚労省通知

身体・知的・精神障害者の小規模通所授産施設などを対象とする今年度下半期(10月〜07年3月)の国庫補助金について、厚生労働省が一律25%削減する方針を都道府県などに通知していたことが分かった。これらの施設は、障害者自立支援法に基づき2011年度末までに新たな体系の施設に移行するが、補助金カットは移行を促すのが目的とみられる。
しかし、施設側は「新体系では施設への報酬が低すぎ、運営の見通しが立たない」と早期移行に消極的。障害者団体も「一律削減は地域の障害福祉の低下を招く」と批判している。

通知は6月14日付で、対象施設は、各種の小規模通所授産施設や精神障害者地域生活支援センターなどの認可施設2162カ所。厚労省は「対象施設の4分の1が今年度内に新体系施設に移行するとみて、削減を決めた」としている。

自立支援法では、これまで33あった障害者の施設・事業体系が、生活介護や自立訓練など六つのサービス活動(日中)に再編される。自治体は来月から新体系への移行申請を受け付けるが、東京都は「多くの施設は新体系への不安が強く、年度内に25%が移行することなど考えられない」として、埼玉県と「移行実績に即した補助金額の確保を求める要望書」を国に提出、見直しを求めた。

新体系への移行が進まない背景には、施設を利用する障害者が、六つの障害程度区分のどれに該当するのかが確定していないため、各施設もどのサービス活動に移行するのかが不透明なことや、「報酬単価が低すぎて施設が維持できない」という不信感がある。
対象施設の7割は精神障害者の施設で、「新体系で運営が立ちゆかなくなれば、精神障害者の行き場がますます減ってしまう」との懸念も広がっている。

協和発酵、夜尿症治療薬を拡販

協和発酵は夜尿症治療薬「デスモプレシン・スプレー10協和」を拡販する。夜尿症は小学生になっても週に何回かおねしょをする病気。医療機関を受診していない患者が多いため、開設している夜尿症の情報サイトの内容を拡充し、認知度を高めて受診率を上げる。5年間で同薬の売上高を3倍超にしたい考えだ。

「夜尿症(おねしょ)ナビ」に8月、日本夜尿症学会に所属する専門医の夜尿症治療に関する考え方や、患者へのメッセージなどを掲載した。現在掲載している専門医は約40人だが、最終的に80人程度まで増やす。

同社が2004年に夜尿症患者を持つ家族を対象として実施した調査では、79%が受診経験がないと回答した。「夜尿症は病気としてあまり知られていない」(同社)といい、サイトの拡充などで認知度を高める。

ファイザー、「バイアグラ」偽造品の注意喚起

米系ファイザー(東京・渋谷、岩崎博充社長)は性的不全治療薬「バイアグラ」の偽造品が個人輸入などで国内で横行している状況を受け、同社のED(勃起不全)啓発のホームページで注意喚起を始めた。
偽造品の錠剤やパッケージの写真などを掲載。「思わぬ健康被害も予想される」として医療機関を受診して医師の処方を受けるよう呼びかけている。

バイアグラは医師の診断と処方が必要な医療用医薬品。国内では1991年1月に製造販売承認を取得し、同年3月に発売した。

心臓や血管に障害を持つ人は血圧の急降下に注意する必要があるほか、不衛生な工場で作られた偽造品は様々な健康被害を引き起こす可能性があるという。HPには偽造品製造工場の写真も掲載。バケツに原料となる液体が入っているなど、品質管理がされていない状況が分かる。

睡眠薬服用者の3割がうつ症状:製薬会社調査

治療を受けずに睡眠薬を飲んでいる人のうち、約3割がうつ症状を持っている――。こんな傾向が製薬会社の調査で明らかになった。うつと不眠の関連は以前から指摘されているが、うつ症状があるのに不眠のみの治療で済ませ、適切な治療を受けていない人が多く存在する実態が浮き彫りになった。

今年1月から2月にかけて、製薬会社「グラクソ・スミスクライン」が、睡眠薬を服用している20〜50歳代に対してアンケートし、308人が回答した。
実際にうつ病と診断されたり、抗うつ薬を処方されたりしている94人を除いた214人を対象にし、薬の服用期間、頻度などを尋ね、一般的な診断基準を使ってうつ症状に該当するかどうかを調査した。

その結果、うつ症状がみられたのは69人(32%)。同じ方法で、睡眠薬を服用していない20歳以上の男女513人を調べると、うつ症状があったのは76人(15%)で、睡眠薬を服用している方がうつ症状のリスクが高いことがわかった。

うつ症状がみられた69人のうち、46人(67%)は「服用開始時に自分でうつを疑った」と回答。だが、31人(45%)は「医師と相談したことがない」と回答した。

調査を監修した坪井康次・東邦大学医学部教授(心身医学講座)は「睡眠薬を服用している患者は不眠以外の精神面の不調についても主治医とよく相談することが重要。漫然とした睡眠薬の服用を防ぎ、うつ病の早期発見・早期治療につながる」と指摘している。

関連記事:睡眠時間:短くても長くても「鬱(うつ)」のリスク高まる

がん対策大幅拡充…厚労省来年度予算倍増、300億要求

6月に成立したがん対策基本法に基づき、厚生労働省が2007年度に実施するがん対策の全容が22日、判明した。

患者の苦痛を和らげる緩和ケアを早い段階から実施するため、医師向けマニュアルを整備するほか、先進各国に比べて極端に少ないモルヒネなど医療用麻薬の適正な使用を拡大する。
都道府県の独自のがん対策に総額30億円程度の財政支援を新規に行う。厚労省は07年度予算の概算要求に、前年度比で2倍近い約300億円のがん対策費を計上する方針だ。

患者の関心が高い緩和ケアは現在、専門知識を持つ医師が少ないこともあり、治療末期に実施されることが多い。厚労省は、モルヒネの使用法などを含む、医師向け講習会やマニュアル作りを通じて、早い段階から緩和ケアを受けられるようにする。
自宅で緩和ケアを希望する患者の相談相手となる「在宅緩和ケア支援センター」も新設する。

また、がん治療は入院して受ける例が多いが、経済的な理由などから通院による抗がん剤治療を希望する患者向けとして、国立がんセンター東病院(千葉県柏市)に専門の「通院治療部」(仮称)を新設する。

がん医療水準向上のための指導チームの派遣など、地域の特性を踏まえ、先駆的な事業を行う都道府県を支援する制度も創設する。

施設整備では、医療水準の地域格差の解消に向け、治療の中核となる「がん診療連携拠点病院」を現在の135から358に増やすため、07年度予算で約95億円を要求する。放射線診断装置など高性能機器の整備のため、緊急の財政支援を実施する。がん細胞の有無などを判断する病理医が足りない病院には、遠隔画像診断装置を整備し、他の病院による支援体制をとる。

国立がんセンター(東京・築地)には、「がん対策情報センター」(仮称)を設置し、最新のがん医療情報を収集・提供するほか、国内のがん罹患(りかん)率や再発のデータを集める。各拠点病院などでも、データの登録制度を実施する。

がん対策基本法は、患者本人の意向を尊重した適切な医療体制の整備などを基本理念とし、国や地方自治体にがん対策の推進を義務づけている。

がんは1981年以来、日本人の死因の第1位となっている。厚労省によると、05年は32万5885人が亡くなり、第2位の心臓病の2倍近くに達している。

07年度の厚労省がん対策の骨子

日本脳炎の新ワクチン、承認は07年以降に

重い副作用が報告され、昨年予防接種の勧奨が中止された日本脳炎をめぐり、当初は本年中とみられた新ワクチンの承認や供給開始が2007―08年ごろにずれ込むことが22日分かった。
副作用リスクが比較的低いとされる新ワクチンについて、国の審査機関が承認申請者の2つの財団法人に対し「有効性や安全性の検討にはより多くの症例数が必要」として、治験の追加実施を指示したため。

過去の予防接種禍を教訓に慎重を期した対応といえるが、日本小児科学会は「勧奨中止が長期にわたれば日本脳炎流行が危惧される」として厚生労働省に対し、ブタを対象とした流行予測調査を拡充することなどを求めている。

新ワクチンの承認を申請しているのは阪大微生物病研究会(阪大微研、大阪府)と、化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の2法人。製造時にマウスの脳を利用する現行ワクチンに対し、人工的に培養した細胞を使うため品質管理がしやすい新ワクチンをそれぞれ開発し、早期の実用化を目指してきた。

阪大微研は昨年6月の申請時に約300人分のデータをそろえたが、厚労省が審査実務を委託している医薬品医療機器総合機構から「症例数を増やすように」と指示を受け、新たに約300人を対象に治験を追加実施する。

昨年5月の申請時に約470人分のデータを提出した化血研も、同様の指示を受け、追加の規模などを検討中という。

阪大微研は「被験者を集めるのに一定の時間が必要だが、本年度中にはデータをそろえて提出したい」とし、化血研も「できる限り早く承認が得られるよう努力していく」としている。

現行のワクチンは、接種後に重症の「急性散在性脳脊髄炎(ADEM)」になった女子中学生のケースが報告され、厚労省は昨年5月、接種の勧奨を中止するよう自治体に緊急勧告を出した。

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島津製作所、乳がんに関係するたんぱく質発見

島津製作所は22日、シンガポールのバイオベンチャー企業と共同で乳がんの診断や治療に役立つ可能性があるたんぱく質を発見したと発表した。今回発見したのは10個のたんぱく質で、今後たんぱく質と乳がんとの関係を詳しく調べていけば早期診断や新薬開発などに役立てることができる。

共同研究を実施したシンガポールのバイオベンチャー企業であるアジェニカリサーチは、島津と三井物産、シンガポール国立がんセンターの技術移転子会社が出資している。

島津などは、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一フェローの開発したたんぱく質の質量分析技術を応用することで発見することができた。

環境リスクアセスメント導入にらみ受託試験市場が活性化

欧州医薬品庁(EMEA)が12月にも医薬品の環境リスクアセスメント(RA)を開始する見通しとなったことを受け、一部安全性試験受託機関は新しいビジネスチャンスと捉え、欧州で事業展開する日本の製薬企業からの受注を狙っている。
欧州では実施以降に承認申請する医薬品について、水生生物などに対する毒性などの環境RAに必要なデータの提出が必須になるという。しかし、試験ができる機関はごく限られており、農薬などで経験を持つ機関が動いている。

医薬品は、現行では投薬されるヒトへの影響を評価しているが、もともとの生理活性の高さから、微量であっても、環境中に排出される医薬品成分の水生生物、土壌中の生物などへの影響が懸念され、環境RAの必要性が浮上。欧州では、2001年にEU指令が出された後、ドラフト改定を経て、6月にEMEA指針案が策定され、12月にも実施される見通しだ。米国では、98年にFDAがガイダンスを策定している。

承認申請に至る医薬品が環境RAの対象になるため対象化合物数は多くはないが、新しい規制であり、対応が必要になる日本企業も出てくることから、一部安全性試験受託機関が顧客獲得に動き始めた形だ。

スイスのRCCは、農薬試験の経験も豊富で、要求事項には全て対応可能だという。RCC本社には専門部署があり、安齋享征日本支社長は「製薬会社、製薬団体から情報交換をしたいとのオファーが増えている」とし、日本企業からの受注に期待を寄せる。

米ハンティンドンライフサイエンスも、欧州での規制実施をにらみ、同地域で事業展開する日本企業からの受託獲得を狙う。日本法人の成澤充社長は今後、研修会を実施するなどして、需要の掘り起こしを進める考えだ。

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国立大が看護師を大募集 東大は300人

東京大学の300人をはじめ、各地の国立大学病院などが来春採用の看護師を大募集している。医療制度改革に合わせ、臓器移植など高度医療を支えるスタッフの充実を図る狙い。だが引く手あまたの看護師集めは容易ではなく、教授陣も看護学校を行脚するなど、人材確保に汗を流している。

東大医学部付属病院(永井良三病院長)は2007年度に06年度の2・5倍に上る300人を募集する。年に100人程度生じる欠員補充だけなら、従来は看護部が関東で集めてきた。だが、今回は病院一丸となって全国から人材を募る必要がある。

このため9月に東京以外の札幌、仙台、新潟、大阪、福岡で初めて新規採用者の選考会を開催。教授ら医師もパンフレット持参で、看護系大学や看護学校を訪問中だ。

募集の先頭に立つ永井病院長は「日本は欧米はおろかシンガポールなどアジア諸国より、患者1人当たりの医師や看護師数が不足している。これでは高度医療が十分にできない」と話す。

増員で同病院の看護師は1000人を超し、夜勤体制を1病棟当たり3人から4人に強化できる。看護師は患者に目が届きやすくなり、医師も看護師の代わりを務めるような作業を減らせる。

官業時代の国立大は定員増が難しく、看護師の配置は私立大より手薄だった。だが国立大学法人化で経営の裁量が拡大。医療制度改革に伴い、06年度から手厚く看護師を配置した医療機関の診療報酬(入院基本料)が値上げされ、増員のコストを賄えるめども付いた。

このため東大のほか、北海道大(210人)東京医科歯科大(本年度の追加募集を含め190人)など、看護師の大量募集が相次いでいる。

東大病院は「現役の引き抜きなどで地方の病院に迷惑を掛けないよう、新卒者中心に08年度も募集を検討する」という。

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白血病治療薬を長く体内にとどまらせる新技術を開発

神奈川科学技術アカデミーと京都大学のチームは、白血病治療薬を長く体内にとどまらせる技術を開発した。高分子のカプセルに白血病薬を入れたのが特徴で、実験では白血病薬だけを投与した場合に比べ血中濃度が大幅に高まった。
カプセルが小さく、血管の微小なすき間からがん組織に到達しやすいとみており、動物実験で治療効果を確かめたうえで臨床応用を目指す。

利用した白血病治療薬はレチノイン酸で、未熟な細胞が異常増殖する急性前骨髄球性白血病の治療に使われている。がん細胞の増殖を抑えたり、アポトーシス(細胞死)を起こしたりする効果もあり、培養細胞では固形がんにも有効性が確かめられている。だが、動物実験では血中濃度が下がり効果がないのが課題だった。

神奈川アカデミーの横山昌幸プロジェクトリーダーらは水に溶ける構造と溶けない構造を併せ持つ高分子で作った「高分子ミセル」と呼ぶカプセルに、レチノイン酸を含ませることに成功した。高分子とレチノイン酸を混ぜて乾燥させた後、再び水を混ぜて分散させると、自然とカプセルになる。カプセルの大きさは直径100ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下という。

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