小児科や産科の医師不足対策で、厚生労働省は来年度、特定の中核病院に医師を集中させる「集約化」に本格的に乗り出す。医師が足りない地域の病院が入院患者を中核病院に委ねることを条件に、高齢者医療など他の分野に転換するための費用を国が一部負担する。
地域の医師確保策を後押しするのが狙いで、来年度予算概算要求に関連費を盛り込む。ただ、地方には集約化で医師が引き揚げられることへの懸念もある。
厚労、総務、文部科学の3省は昨年8月、医師不足が深刻な産科や小児科の医院や病院に入院する患者を中核病院などに集め、医師一人ひとりの負担を軽くするなど、集約化・重点化の推進を決めた。各都道府県に、今年度中に対策の必要性を検討し、具体策をまとめるよう求めた。
しかし、厚労省の今年4月時点の調査では、対策の必要性を検討していたのは、静岡、三重、兵庫、奈良、徳島、青森(産科のみ)、大分(小児科のみ)の7県だけ。28都府県は、検討の具体的なスケジュールも決まっていないなど、足並みが乱れている。
都道府県が二の足を踏む理由の一つが、中核病院に医師をとられる医療機関の反発だ。重点化が進めば、中小の病院では、小児・産科の外来だけを残し、入院患者の受け入れをやめることになる。医師を召し上げられるだけでなく、患者も明け渡す形になり、経営面で打撃を受ける可能性もある。
都道府県からは、「医師を引き揚げられる地域の対策を考える必要がある」(栃木)、「連携する病院への財政上の支援策を明確にしてほしい」(神奈川)など、国の財政支援を求める声が上がっていた。
厚労省が補助対象に想定しているのは、中核病院との連携が期待される山間部やへき地の自治体病院や民間病院など。重点化に協力して小児科や産科の入院患者を受け入れない代わりに、高齢者介護など地域のニーズにあった分野に切り替える場合、必要な医療機器やベッドなどの設備整備費の一部を国が負担する。
厚労省は当面、自治体病院など公的病院を中心に集約化・重点化を進める方針だが「補助制度を充実させ、将来的には民間病院にも協力を仰ぎたい」としている。

