救急患者の症状データを収集・分析…東京都

感染力が強い新型インフルエンザなどに素早く対応するため、東京都は来年度から東京消防庁と連携し、救急車で搬送された救急患者の症状データなどを蓄積、分析するシステムを構築する。

通常とは異なるパターンの患者発生を検知した場合などには、保健所や指定病院などに素早く警戒情報を出し、感染拡大防止を図る。都によると、このような危機管理体制の整備は都道府県では初めて。

現行でも伝染病などについては、指定医療機関は感染症予防法に基づき、保健所を通じて患者の発生を自治体に報告している。しかし患者が指定医療機関で診察を受けていなければ発生自体がわからず、報告・集計にも時間がかかるなど、機動性に問題が残る。

これに対し、東京消防庁は年間約70万回の救急車出動のたびに、搬送先の病院などから患者の症状などを聞き取って集計しており、この情報を危機管理に活用することにした。

都では、救急情報を即時に共有できるシステム「救急搬送サーベイランス」を開発。当面は都福祉保健局で分析し、さらに2012年度までに都健康安全研究センター(新宿区)内にデータ解析機能などを強化した「健康危機管理センター」を整備する。

これにより、風邪との判別が難しい新型インフルエンザ感染や、バイオテロの原因となる病原体感染の早期把握を図る。また集団食中毒の発生源の特定などにも大きな効果が期待されるという。

都は09年度中のシステム全面稼働を目指し、来年度予算にテスト費用などとして1億円弱を計上する。

第一製薬:微小な腫瘍も確認できる超音波造影剤「ソナゾイド」

第一三共子会社の第一製薬(東京・中央)は、微小な腫瘍(しゅよう)もはっきり見える肝臓がん検査用超音波造影剤を1月にも発売する。
小さな泡が肝臓のがん以外の部分に取り込まれ、病変部をくっきり映し出すという。がんの早期診断に結びつくと期待している。

第一製薬が発売する造影剤は「ソナゾイド」。「ペルフルブタンマイクロバブル」と呼ぶ直径2―3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の小さな粒子でできている。
静脈に注射すると血流に乗って肝臓に到達。がんの部分には存在しない「クッパー細胞」と呼ぶ免疫にかかわる細胞に取り込まれて超音波を反射し、コントラストをはっきりさせる。転移した小さながんも確認できるという。

プレスリリースより
超音波診断用造影剤「ソナゾイド(R)注射用」輸入承認取得について
弊社の100%子会社である第一製薬株式会社(本社:東京、社長:森田清、以下「第一製薬」)は、10月20日付で厚生労働省より、超音波診断用造影剤「ソナゾイド(R)注射用」の承認を、世界に先駆けて取得しましたのでお知らせします。

本剤は、第一製薬とGEヘルスケアとの共同研究開発により創製された超音波診断用造影剤で、持続的な造影効果をもち、肝腫瘤性病変の診断において、鑑別診断および存在診断の向上に寄与するとともに、肝癌の局所治療効果判定ならびに治療後のフォロー診断に貢献する低侵襲性の超音波診断用造影剤です。

ソナゾイド(R)注射用の概要
承認取得日:2006年10月20日
販売名:ソナゾイド(R)注射用
一般名:ペルフルブタン
効能・効果:超音波検査における肝腫瘤性病変の造影
用法・用量:ペルフルブタンマイクロバブルとして16μL(1バイアル)を添付の注射用水2mLで懸濁し、通常、成人1回、懸濁液として0.015mL/kgを静脈内投与する

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周産期母子医療センターの「実力」調査へ

奈良県大淀町の町立病院で8月、重症の脳出血の妊婦(当時32)が次々に他の病院に搬送を断られた末に亡くなった問題をきっかけに、厚生労働省の研究班は、全国61カ所にある「総合周産期母子医療センター」の診療態勢の調査を始めた。調査をふまえ、近隣の病院との連携やセンターの充実など、対策を検討する。

奈良県内にセンターはないが、大淀町のケースでは、センターがあっても脳外科医がいなければ対応できなかったとの指摘があり、全国で実態調査をする。

センターは、複数の産科医による24時間の診療態勢や新生児集中治療室(NICU)が9床以上あることなどが都道府県の指定の条件。妊産婦や新生児の救急搬送の「最後のとりで」とされる。
しかし、子ども病院がセンターに指定されているところなどでは、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)で全身がけいれんしたりする子癇(しかん)などの治療はできても、妊産婦の脳卒中や急性心疾患、交通事故などへの対応が難しい。

研究班は、各センターにアンケートを送付。成人用の集中治療室(ICU)のベッド数や専門医数▽脳卒中、急性心疾患の診療態勢▽成人の交通事故などに対応できる救命救急センターの診療態勢▽麻酔科医の勤務態勢や輸血の準備状況、などを調べる。昨年1年間に治療した、脳卒中や心疾患などを併発した妊産婦の数も尋ねる。来年2月ごろに結果をまとめ、公表したいとしている。

厚労省は、センターが未整備の奈良や山形など8県に設置を働きかけている。主任研究者の池田智明・国立循環器病センター周産期診療部長は、「奈良の問題以降、センターのあるなしだけに注目が集まっているが、決して低くない国内の妊産婦死亡率を下げるには、まず実態把握が必要だ。近隣の病院との連携など現実的な対策を考える材料にしたい」と話している。

がん診療:病院評価実施へ 医療機能評価機構

日本医療機能評価機構」(坪井栄孝理事長)は1日、がんの治療成績や緩和ケアの進め方など、がん診療部門に特化した病院の評価認定制度に関する研究を始めると発表した。本年度中に評価基準などを検討する委員会を立ち上げ、08年の事業化を目指す。

同機構は、第三者の立場から医療機関の設備や運営のあり方などを審査する「病院機能評価事業」を実施している。「(患者に対する)説明と同意が行われる体制が確立している」「病院感染管理のための体制が確立している」など約500項目を評価。10月末現在で2213病院が基準を満たしたとの認定を受けている。

今中雄一・同機構理事によると、がん診療に関する評価は、従来の項目に評価内容を追加することで、がん治療の質の向上や患者への情報提供を進めるのが目的。
評価項目は、手術件数や5年生存率などの治療成績、緩和ケア実施体制や痛みの治療のあり方などが想定される。事業化されると、都道府県がん診療連携拠点病院など、地域のがん診療の中核施設が審査を受ける可能性が高いという。

今中理事は「患者、家族が病院を選択する際の参考になるのではないか」としている。

産婦人科分べん:初めて50%下回る 出産数減少の影響か

厚生労働省は30日、産婦人科(産科を含む)の医療施設のうち、分べんを実施した施設が05年で、統計を取り始めた84年以降、初めて50%を下回ったと発表した。
背景には、少子高齢化による出産数の減少や中核病院への集約化などが考えられるという。施設数自体も84年に比べ、約4割減少。「産婦人科離れ」が改めて浮き彫りになった。

厚労省によると、産婦人科を標ぼうする医療施設は、05年が5997カ所で、このうち、分べんを実施した施設の割合は48.9%。84年当時は9612カ所で、同割合は61.6%だった。実施1施設当たりの分べん件数(05年9月)は、全国平均が29.0件に対し、都道府県別では神奈川(38.7件)、埼玉(37.2件)、茨城(36.2件)が多く、徳島(19.8件)、佐賀(20.1件)、長崎(20.2件)が少なかった。

全体の医療施設は05年が17万3200カ所(前年比515カ所増)。病院が9026施設(同51カ所減)で、一般診療所が9万7442カ所(同391カ所増)、歯科診療所は6万6732カ所(同175カ所増)。

病院の診療科目別(重複計上)でみると、前年比で最も増加したのが心療内科で10.4%増の540カ所。一番減少したのは13.8%減の性病科で56カ所。施設数が多いのは、内科(7310カ所)▽外科(5268カ所)▽整形外科(5205カ所)などだった。

代理出産などの生殖補助医療 法整備へ

政府は、代理出産などの生殖補助医療に関する法整備に着手する方針を固めた。長勢法相と柳沢厚生労働相が30日、日本学術会議に対し、代理出産の是非や基本的なルール、民法上の親子関係のあり方などについて、審議を要請する。
政府はなるべく早く答申を得たうえで、適切な生殖補助医療のあり方を定める新法などの検討に入る考えだ。

不妊に悩むカップルの増加に伴い、代理出産などを希望する人も増え、生殖補助医療の技術も進歩している。しかし、現在、代理出産などのルールを定めた法律はないことから、さまざまな問題が浮上している。

最近では、タレントの向井亜紀さん夫婦が、米国女性に代理出産を依頼して生まれた双子の出生届を東京都品川区に提出したが、不受理となった。東京高裁は受理を命じる決定をしたが、同区が抗告し、最高裁で審理されることになった。

長野県では、子宮を摘出して子供を産めなくなった30歳代の女性に代わり、50歳代の母親が「孫」を代理出産。家族関係が複雑になるとして問題になった。

このため、法務、厚労両省は産婦人科などの学会だけでなく、法律、倫理などの観点から幅広く議論する必要があるとして、多方面の学識者で構成される日本学術会議に議論を求めることにした。答申の期限は定めない。

同会議では、医療、生命科学、法律など各分野の専門家が集まり審議を重ねる方針だ。具体的には、〈1〉代理出産の是非〈2〉代理出産が認められる場合、どういうケースか〈3〉代理出産により生まれた子供をめぐる親子関係、法律上の地位―などが話し合われる見通しだ。

現行の民法には、親子関係について詳細な規定はない。最高裁判例では、分娩(ぶんべん)の事実をもって母子の親子関係が発生するとしており、民法に新たな規定を設けるかどうかなどが焦点となる。

キーワード:生殖補助医療
子供ができにくい「不妊カップル」を補助する目的で行われる医療。
〈1〉別の女性が代わって出産する代理出産〈2〉精子を人工的に女性の体内に注入する人工授精〈3〉体外で精子・卵子を受精、分割させて、受精卵を子宮内に移植する体外受精―などがある。