タミフルを初期段階で集中投与:新型インフル対策指針

厚生労働省は、国内で新型インフルエンザの第1号患者が発生した場合に、抗ウイルス薬タミフルを患者の家族や職場・学校の全員に集中投与し、拡大防止を図ることなどを盛り込んだ対策指針案をまとめ、19日の専門家会議に示した。

流行によって社会機能が停滞する可能性をにらみ、一般家庭に2週間分程度の食料準備を求めたほか、不足が予想されるワクチンや抗ウイルス薬配分に優先順位を付ける複数案も示した。国民の意見を受け付けた上で、3月に指針をまとめる。

指針案は、新型発生時の被害軽減や国民の混乱防止が目的。国の行動計画に基づき、これまで指針がなかった「人から人への感染」発生以降の段階について(1)国内発生初期の対応戦略(2)ワクチン接種(3)検疫(4)医療体制(5)事業者・職場での対策−などの分野を整備した。

感染防止には不要不急の外出をしないのが原則とした上で、家庭に2週間分程度の食料、水、日用品の備蓄を呼び掛けた。市町村や地域で高齢者世帯などリスクの高い人の把握と支援も求めた。

「レーザーメス」より切れ味が鋭い内視鏡レーザー治療装置

東北大大学院工学研究科の松浦祐司助教授(光伝送工学)らの研究グループは17日までに、光ファイバーの改良で、従来の「レーザーメス」より切れ味が鋭い泌尿器科用の内視鏡レーザー治療装置を開発した。大幅な低出力化も実現し、小型で安価な装置の実用化や、患者の負担を減らす治療法の確立などが期待される。

結石破砕など泌尿器科のレーザー治療は一般外科の内視鏡手術に比べ、尿管など細部への挿入が必要。現在主流のホルミウムヤグレーザー装置は、レーザー伝送に直径1ミリほどの光ファイバーを使っている。

光ファイバーの主成分である石英ガラスは、切開能力が最も高い波長(3ミクロン)のレーザーを伝送できない。限界値の2ミクロンでは切れ味が鈍い上、10―20ワットのパワーが必要で、装置は大型で高価だった。

グループは以前から研究していた管状の「中空光ファイバー」を改良し、直径0.5―1ミリの極細ファイバーの空洞部分を銀とポリマーでコーティングする技術を開発。この「鏡のトンネル」を用いて、高い波長のレーザー伝送に成功した。

必要な出力は2―4ワットと従来の約5分の1で、実用化されている歯科治療用レーザー装置の転用が容易とされる。止血効果が高い従来のホルミウムヤグレーザーの伝送も可能で、止血しながら患部を切除することもできる。

松浦助教授は「今後の課題は、内視鏡として曲げた場合の伝送効率の低下を防ぐこと。医学部や医療機器メーカーと連携し、耐久性、耐熱性の向上にも努める」と話している。

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人工の「スペイン風邪」ウイルスで鳥インフル解明へ光

世界で大流行した「スペイン風邪」と呼ばれるインフルエンザのウイルスが、ウイルスに対抗する免疫機能の異常を引き起こす強い病原性によってサルを死なせてしまうことを、河岡義裕・東京大医科学研究所教授を中心とする日米カナダの研究グループが実験で示した。18日付の英科学誌ネイチャーで発表する。

1918年から数年間猛威をふるったスペイン風邪は、全世界で4000万人の死者を出したとも言われている。その後、残されていた当時の標本などからウイルスの遺伝子配列がわかり、同じウイルスを人工的に作り出せるようになった。グループは、人工ウイルスを生物学的にヒトに近いカニクイザルに感染させ、症状を調べた。

ヒトやサルはウイルスに感染すると、その活動を阻止しようとする免疫機能が体内で働く。ウイルスの増殖を阻止するため、インターフェロンというたんぱく質を分泌することなどが知られる。

ところが、この人工ウイルスに感染させたサルの場合、インターフェロンの分泌が抑えられるなどの異常が現れた。その結果、体内でウイルスが増え続けて肺炎や肺水腫を起こし、死に至ることがわかった。インフルエンザウイルスが、マウスなどに重い症状を起こすことは実験で確かめられていたが、サルの仲間で重症化の仕組みが確認できたのは初めてだ。

現在、アジアを中心に問題となっている鳥インフルエンザウイルスがヒトに重い症状を起こすのも、同様の仕組みで説明できる可能性がある。河岡教授は「さらに研究を進めることで、鳥インフルエンザや新型インフルエンザの治療に役立てたい」と話している。

三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併へ

三菱ケミカルホールディングスの全額出資子会社で国内製薬九位の三菱ウェルファーマと、同11位の田辺製薬は合併に向けて最終調整に入った。2007年秋に三菱ウェルと田辺が合併し、三菱ケミカルが新会社に50%超出資する方向だ。
合併会社の売り上げ規模は国内製薬6位となる。国内医薬品市場は成長が鈍化しており、合併で事業基盤を強化して生き残りを目指す。外資大手との競合や薬価下げ圧力が強まるなか、製薬再編が再び動き出す。

東証1部上場の田辺が存続会社となって非上場の三菱ウェルを吸収合併したうえで、三菱ケミカルが出資。合併会社は上場を維持、三菱ケミカルの子会社となる方向で2月中の基本合意を目指す。合併会社の社長は田辺側が出す見通し。合併比率や社名は今後詰める。

合併する2社の07年3月期の連結売上高は合計約4000億円の見通しで製薬4位のエーザイ、5位の大塚製薬に次ぐ規模となる。医療用医薬品の国内売上高ではエーザイを抜き4位に浮上する。製薬業界では三共と第一製薬が経営統合で合意した05年2月以来2年ぶりの大型再編となる。

三菱ウェルは神経系や循環器系の医薬品を得意とする。三菱東京製薬とウェルファイドが合併して現在の会社形態となった01年以降は目立った新薬を開発できず、欧米展開も遅れていた。

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飲んで使う「カプセル内視鏡」を承認申請へ

オリンパス子会社のオリンパスメディカルシステムズ(東京・新宿)は薬の錠剤のように水と一緒に飲み込んで使う国産初の「カプセル内視鏡」の製造販売承認を厚生労働省に申請した。「胃カメラ」など従来のチューブ型の内視鏡が届きにくい、小腸を検査できる画期的な医療機器。早ければ2008年にも承認を取得し、病院向けに発売できるとみられる。

長さ2.6センチ、幅1.1センチのプラスチック製カプセルに、CCD(電荷結合素子)カメラと照明用の発光ダイオード(LED)、データの無線送信装置を内蔵する。自走は出来ない。腸の動きに従ってゆっくり進み、腸の内壁を撮影する。

欧州では05年10月に発売済み。米国でも06年10月に米食品医薬品局(FDA)へ承認申請している。

「精神腫瘍学(サイコオンコロジー)」講座が誕生:埼玉医科大

がんと心の関係を考える「精神腫瘍学」を学ぶ講座が今春、全国で初めて、埼玉医科大学と名古屋市立大大学院に誕生する。がんが患者や家族の心に与える影響や、心の持ち方と生存期間との関係などを研究する。また告知の仕方や、がんとわかってうつ状態になった患者や家族への対応などを学び、臨床現場にいかしていく。

精神腫瘍学は「サイコオンコロジー」の和訳で、サイコロジー(心理学)とオンコロジー(腫瘍学)などからなる造語。日本サイコオンコロジー学会によると、「精神腫瘍医」として専門治療を行っている医師は、国内で数十人程度しかいないという。

埼玉医科大では大西秀樹教授(精神腫瘍科)らが担当し、医学生を対象に、精神腫瘍学の基礎や、がん患者のうつ病や意識障害の出方、痛みの治療の重要性などを教える。

名古屋市立大大学院は連携大学院の形で、国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部の内富庸介部長が客員教授を務める。医師を対象に、基本的に4年間、名市大と国立がんセンターで、新しいケア法の開発などを研究する。

がんになった場合、2〜4割がうつ状態になると報告されており、その場合、治療に積極的になれないなどの影響が出る。02年から診療報酬で、精神科医らがいる緩和ケアチームに加算が認められるようになった。日本サイコオンコロジー学会も昨年から、精神科医を対象に講習会を開催しているが、人材育成が追いつかないのが現状だ。

同学会の代表世話人を務める内富さんは「患者は、抗がん剤の副作用より心の痛みの方が強いと訴える。最期までその人らしく生きるため、心のケアを提供する人材を増やすことが急務だ」と話している。

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大手生保3社も「3大疾病保障特約」で未払い

がんなどの病気で一時金が支払われる医療保険の「3大疾病保障特約」をめぐり、第一生命保険に加入者の未請求を理由とした不払いがあった問題で、同じ不払いが他の大手生保3社にもあることが分かった。過去5年間で計数千件にのぼる模様で、金融庁も実態調査に乗り出す考えだ。
がん告知との関係で請求を促すのが難しいことに加え、「請求しないのは加入者の責任」とばかり考えがちな業界の「甘え」がこうした不払いを招いたと言えそうだ。

日本、住友、明治安田の大手生保3社は、いずれも昨年からこの問題の調査を開始。がん、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)の3大疾病の可能性が高いのに特約の一時金を請求していない加入者が各社で見つかった。がんのケースが大半とみられる。各社は加入者への問い合わせや、追加支払いを進めているが「調査が終わっていないため詳細は公表できない」としている。

第一を含めた大手4社が未請求を放置した理由にあげているのは、「加入者に請求するよう具体的に頼むのは難しい」(大手幹部)ことだ。加入者が告知を受けていないために請求していない場合は、生保会社からの請求の案内が事実上の「がん告知」になってしまうからだ。

一方で、生保には「がんだとして申請したのに一時金が支払われない」といった苦情も寄せられていた。特約が増えて商品が複雑になっているのに、その分、加入者に漏れなく請求してもらう仕組みや説明が不足していた。

3大疾病保障では、加入者本人が病名告知を受けていない場合に備え、あらかじめ家族などを保険金請求の代理人に指定する制度も用意されている。実際に、生保各社の自主調査の中では、代理人に請求するよう求めて支払ったケースもあったという。しかし、生保関係者には「請求してもらうよう督促するのはあくまでサービス。義務ではない」といった意見も少なくない。

がん告知をめぐる不払いでは05年10月、明治安田が、がんの場合の特約給付金を独自の判断で支払っていないケースが発覚。金融庁による業務停止処分の一因となった。それから1年以上たって改めて同様の問題が浮上したことは、生保各社の調査や対応がまだ不十分なことを示す。

生保では、これとは別に手術や入院の給付金の不払い調査を進めている。すでに加入者からの請求書に添付された診断書の判読ミスなどで、1件数千円〜数十万円の不払いが見つかっている。
各社とも3月末をめどに調査結果をまとめる方針だが、未請求を原因とした不払いについても、契約者への詳しい説明が求められている。

一方、金融庁も第一生命から詳しい事情を聴くとともに、他生保の状況も調べる方針だ。今回不払いが発覚した特約では保険会社からの支払いが病名告知につながりかねないという事情もあり、現状では「内容と件数にもよるが、損保で見つかった不払いとは明らかに違い、どこまで悪質かは調査しないとわからない」(幹部)と言う。

ただ、3月末までの生保各社の自主調査結果を精査し、不払いが重大な法令違反に当たり、経営管理態勢にも欠陥があると判断すれば、行政処分も検討することになるとみられる。

CTによる心臓検査の被爆量9割減を実現:GE横河

米医療機器販売のGE横河メディカルシステム(東京都日野市、三谷宏幸社長)は、コンピューター断層撮影装置(CT)による心臓検査で被曝(ひばく)量を最大9割減らせる新機能を実用化した。「ボリュームCT」と呼ぶ上位機種向けの追加機能。
拍動を続ける心臓をブレなくとらえられるよう、最も動きの少ないタイミングを狙ってエックス線を照射して撮影する。

心臓を連続撮影して後からブレのない画像を選ぶ従来法に比べ、被験者の被ばく量を大幅に軽減できる。

プレスリリース
ボリュームCT対応の新機能「Adaptive Technology」を販売開始
従来比最大約90%の被ばく低減を実現、心臓CT検査の普及に拍車〜相反する低被ばくと高画質を両立する心臓撮影法「SnapShot Pulse」を採用〜

GEヘルスケアグループの日本法人であるGE横河メディカルシステム株式会社(本社:東京都日野市、社長:三谷宏幸)はこのほど、GEヘルスケア製64列の検出器配列を有すボリュームCT(コンピュータ断層撮影装置)に対応した新機能「Adaptive Technology(アダプティブ・テクノロジー)」を心臓・循環器、精密検査に特化した大学病院や地域の基幹病院、スクリーニング目的の心臓CT検査を実施するハートセンターなどを主対象に発売する。なお、「Adaptive Technology」の名称は、患者の状態に合わせてシステムを制御する患者本位の技術を意味する。

Adaptive Technologyの最大の特長は、CTによる心臓検査で最大の課題とされる被ばく量の問題を克服した点であり、相反する高画質と低被ばくを両立する心臓撮影法である「SnapShot Pulse(スナップショット・パルス)」に集約される。
現在の心臓検査で主流の血管造影検査では、鼠径部または腕の動脈からカテーテルを入れ、冠動脈に直接造影剤を注入してX線撮影を行うため、患者への負担が大きかった。
そのような中CTの多列化が進み、CTによる心臓検査がここ数年で急速に普及し始めた。心臓CT検査では血管造影検査では得られない情報まで非侵襲的に取得でき、その臨床的有用性が認められてきたものの、血管造影検査と比較した場合被ばく量の多さが最大の課題とされてきた。

SnapShot Pulseでは、任意の心位相のみでデータ取得が可能なため無駄な被ばくを抑えることができ、被ばく量を大幅に低減する。具体的には、血管造影検査以下のレベルまで(最大では従来比約90%)被ばく量を低減し、今まで以上に血管造影検査に替わってCTをスクリーニングやフォローアップ検査に使用することが可能となる。また、画質の向上によりアーチファクト(偽像)を低減するため、課題とされた石灰化、ステント近傍の評価がさらに高まる。

SnapShot PulseをはじめとしたAdaptive Technologyの詳細は以下の通り。

医師や看護師の「人材バンク」が苦戦:伸び悩む就業率

医療現場の人手不足を解消するためにつくられた、医師や看護師の「人材バンク」が各地で苦戦している。職場を離れた後、再就職を希望する医師や看護師に、条件が合う病院などを紹介する機関。
大阪の医師バンクは再就職の実績が年間ゼロの時もあり、看護職員では就業率2割と低迷している。今月下旬には、医師不足対策の切り札として女性専用の医師バンクが立ち上がる。眠っている女性の力を掘り起こす作戦は、成功するのか。

「医師バンク」は90年代以降、日本医師会が各都道府県の医師会などに開設を呼びかけてきたが、多くの医師会が「予算と人手のなさ」を理由に二の足を踏んでいる。05年の調査では、開設されたのは宮城や岡山など19どまり。

その19の医師バンクの04年度の実績も、求人は632人あったのに、登録者は145人だけ。再就職できたのは68人と半分以下で、女性は2割しかいなかった。大阪のバンクは、ここ3年間0〜3人しか雇用に結びついていない。

バンク側は「登録するのは高齢や体調不良の医師が多い」などと説明している。

日本医師会の今村聡・常任理事は「医師バンクには、登録者の伸び悩みや周知徹底の難しさなど課題は多い。医師確保策としては十分に機能していない」と打ち明ける。

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遺伝子組み換えニワトリからがん治療薬成分:ロスリン研究所

英北部のロスリン研究所のチームが、遺伝子を組み換えたニワトリを5世代にわたって飼育し、がん治療薬などに使える成分を卵に分泌させることに成功した。治療薬を安価に大量生産する道を開く可能性があるという。14日付の英日曜紙サンデー・タイムズが報じた。

15日付の米科学アカデミー紀要に発表される。ロスリン研究所は、世界初の体細胞クローン羊「ドリー」を誕生させたことでも知られる。

同紙によると、治療に使えるたんぱく質をつくり出すヒトの遺伝子を雄のニワトリのDNAに組み込んだ。この雄と交配した雌のニワトリが産んだ卵の白身から必要なたんぱく質を抽出。世代を重ねても、この遺伝子が受け継がれたことが確認されたという。

ニワトリの遺伝子組み換えはこれまでも行われていたが、世代を重ねるうちに必要なたんぱく質の分泌能力が失われてしまっていた。

同研究所ではニワトリ500羽を飼育。一群は、多発性硬化症の治療に使われるものに近いインターフェロンを、別の群は皮膚がんなどの治療に有効な抗体をつくり出している。

関連記事:がん治療薬「CBP501」で共同事業:武田薬品、キャンバス

バイリンガルは認知症の発症が4年遅い:カナダ研究チーム

2か国語を自在に操る「バイリンガル」は、1か国語しか話さない人より、認知症の発症が約4年遅いという分析結果を、ヨーク大学(カナダ)などの研究チームが発表した。
専門誌「ニューロサイコロジア」2月号に掲載される。

ベイクレスト記憶診療所(トロント)を受診したアルツハイマー病など認知症の患者184人を対象に、症状の経過と学歴や職業などのデータを分析。

若いころ身につけた2か国語をずっと使い続けてきたバイリンガルは93人で、認知症の発症年齢は平均75・5歳だった。一方、1か国語だけの91人は平均71・4歳で、4・1年早かった。

高学歴の人は、認知症の発症が遅い代わりに、症状の進行が速いと言われている。しかし、今回のバイリンガル93人は1か国語の患者に比べ、公教育を受けた期間がむしろ短く、発症後の悪化の速さに差は見られなかった。バイリンガルだと認知症の発症が遅くなる理由は、今のところ不明。

「代理出産」の意識調査を実施へ:厚生労働省

妊娠できない妻の代わりに第三者の女性に出産してもらう「代理出産」などの生殖補助医療について、厚生労働省は15日までに、国民の現時点での賛否や考え方を探るための意識調査を本年度中にも実施することを決めた。

代理出産については、厚労省の専門部会が2003年に「禁止する」との報告書をまとめ、日本産科婦人科学会も指針で禁止している。しかし「認めるべきだとの世論が増えている」との見方もあり、実際に世論が変化しているかどうかを調べる。政府から生殖補助医療の在り方についての検討を要請された日本学術会議は、17日に初会合を開く予定で、調査結果は会議の議論にも影響を与えそうだ。

生殖補助医療についての意識調査は1999年と2003年にも厚労省の研究班が実施。03年の調査では、夫婦の精子と卵子を使った代理出産について「認めてよい」が46%、「認められない」は22%。
一方「子供に恵まれない場合、この技術を利用するか」については「配偶者が賛成したら」との条件付きを含め「利用したい」が43%だったのに対し、「配偶者が望んでも利用しない」が57%に上った。

「中皮腫」に関する大規模検診:4万人を対象に5年間

順天堂大学の研究チームが、アスベストの吸入が原因となるがん「中皮腫」に関する大規模検診に乗り出す。東京都内の労働者約4万人を対象に、5年間継続して検診を実施し、中皮腫の実態解明や早期診断法の開発を目指す。来週にも開かれる同大倫理委員会の承認を経て、来月の検診開始を目指す。これだけ大規模な検診実施は全国でも初めて。

中皮腫は胸部や腹部の臓器を覆う膜に発症するがんで、発見しにくく進行が速い。治療が難しく、早期に発見しても5年生存率は4割にとどまる。潜伏期間が長く、国内では今後、患者増が予想されている。一方、発症の仕組みなど実態はよく分かっていない。

検診の対象は、建設業など職場でアスベストを吸い込む可能性が高い労働者約4万人。現在、中皮腫を発症していない「健康な人」が対象になる。今年から5年間、少なくとも年1回の定期健康診断で、中皮腫になると増える血中のたんぱく質の濃度を調べるとともに、胸部エックス線検査などのデータを集める。

検診を通じ、中皮腫患者を早期に見つけると同時に、「中皮腫予備群」とみられる人への精密検査を実施し、経過を調べる。これらのデータから、中皮腫の兆候や発症初期の病態の把握▽職業上アスベストに接する人の中皮腫発症頻度▽早期発見に必要な検診の間隔▽精度の高い診断法−−などの解明・開発を目指すという。

同大は、全国初のアスベスト・中皮腫外来を開設したほか、中皮腫特有の血中たんぱく質を測定、診断する簡易キットを開発している。研究チームの樋野興夫・同大教授(病理・腫瘍学)は「中皮腫の実態を早急に解明し、対策を立てる必要がある。検診データ蓄積によって、中皮腫の早期診断システムを確立したい」と話している。

関連記事:悪性胸膜中皮腫向けの薬「ペメトレキセド(商品名アリムタ)」が承認

患者の「本音」をデータベース化:NPO法人「患者学会」設立へ

患者の声を医療に生かすため、患者や医師、研究者らが今月、NPO法人「患者学会(仮称)」を設立する。患者同士が心の内を語り合う患者会活動の普及を手助けするほか、患者の声をまとめてデータベース化し、医療関係者が利用できるようにする予定だ。

学会設立の中心となっているのは、草の根的に患者会活動を続けてきた、東京大学医科学研究所客員助手の田中祐次さん(36)。東大付属病院で血液内科医として勤務していた2000年4月から、患者や退院した人たちと、数か月に1回、居酒屋などで交流会を重ねてきた。

その中で、患者が医師などに気を使い本音を言えないことや、突然降りかかった病に恐れを抱き、病気に関する情報を調べられないことを知り、こうした患者の声を医療関係者に届ける必要性を感じたという。

今回、設立する学会では、まず、患者会を全国に増やすため、患者会を作るノウハウを盛り込んだマニュアルを作成する。また、医師から病状の説明を受けた時にどんな内容を聞きたかったかといった患者の本音を、病名や年齢などの基本データと共にデータベース化。将来は英文の学会誌も創刊し、海外にも発信する。

田中さんは、「患者と医師とのギャップを埋めるヒントは、声も上げられないような患者の心の中にある。こうした患者の思いを系統だった形にまとめ、医療や医師教育を変えていきたい」と話している。

関連記事:がん告知、患者の精神的負担を考えて:医師対象の講習会

感染力の強い「ツボカビ症」が国内で初確認

カエルなどの絶滅を招くツボカビ症が国内で確認されたことで、カエルや両生類を飼育する国内の動物園などは警戒を強めている。12日、世界自然保護基金ジャパン麻布大はホームページに詳しい解説を公開し、獣医師らによる「爬虫類(はちゅうるい)と両生類の臨床と病理のための研究会」も、相談窓口や検査態勢を整えた。

ツボカビ症は伝染力が強く、野外では根絶できない。カエルの致死率も高い。だが飼育下では診断法も治療法もある。外国産カエルなどを飼う愛好者は、近くの獣医師を通じてツボカビ症に詳しい中核獣医師に連絡し、相談や検査を受けることができる。中核医師は関東から沖縄まで現在17人おり、各都道府県に増やす予定だ。

日本動物園水族館協会(会長=小宮輝之・上野動物園長)によると、04年現在、国内には52施設に外国産のカエルやサンショウウオなど54種、計768匹がいる。日本産の両生類も、特別天然記念物のオオサンショウオが広島市安佐動物公園で119匹いるなど全部で35種、計2452匹が飼育されている。

各施設は、国際自然保護連合(IUCN)保護繁殖専門家グループの勧告に従い、05年秋から外国産両生類の検疫態勢などを見直してきた。改めて両生類の展示方法を検討し、検疫や隔離飼育も強化する。同協会は21日、感染症委員会を開いて対策を協議する。

上野動物園の伊藤員義・飼育展示課長は「ツボカビ症を海外から持ち込まず、また、出さないのが対策の基本。動物園の役割は重大だ」と話している。

関連記事:両生類のツボカビ症、新たに2例:麻布大チーム

DHA(ドコサヘキサエン酸)が脳の神経再生を促進

青魚に多く含まれる物質「ドコサヘキサエン酸」(DHA)に、脳内の神経細胞(ニューロン)の再生を促進する働きがあることを、島根大医学部の橋本道男助教授(環境生理学)らの研究グループが、ラット実験で確認した。認知症やアルツハイマー病などの治療に応用が期待される成果で、同グループは国内の製薬会社と共同で国際特許を出願している。

グループは、生後20週の壮齢ラットに7週間、DHAを経口投与した。短期の記憶をつかさどる「海馬」の神経細胞を調べたところ、情報伝達網の広がりを示す突起状の軸索が、DHAを与えていないラットは増えなかったのに対し、与えたラットは約60%増えた。

また、神経細胞へ分化する材料となる神経幹細胞をラットの脳から直接抽出してDHAを加えると、DHAを加えなかったものより、神経細胞へ分化する度合いが約1・5倍に促進されることも分かった。

橋本助教授は「従来の治療薬と比べ、DHAは食品から簡単に取れる。認知症の予防や副作用のない治療薬として期待が持てる」と話している。

関連記事:アルツハイマー病のワクチン開発に成功:原因物質アミロイド除去

ES細胞法案が米下院を通過:大統領は拒否権発動の構え

米下院は11日の本会議で、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の研究促進に向け、連邦政府の財政支援を拡充する法案を賛成多数で可決した。議会の多数派を占める民主党の公約のひとつで、上院での可決も目指す。
ただブッシュ大統領は「倫理上の問題がある」と反対しており、昨年7月に続く2度目の拒否権を発動する構えだ。

様々な臓器や器官に分化できるヒトのES細胞は「再生医療の切り札」と期待されている。下院の法案はブッシュ政権が実施してきた厳しい予算制限を緩和し、連邦政府が民間の研究を支援するよう求めている。

この法案は一昨年5月に下院、昨年7月に上院でいずれも可決したが、支持基盤のキリスト教保守派などに配慮する大統領が「倫理上の一線を越える」と反発。2001年1月の就任以来初めての拒否権を発動し、成立を阻んだ経緯がある。

睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法:脳梗塞リスクは存在

脳梗塞、心筋梗塞など循環器疾患になりやすいとされる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症患者では、装置を使った治療で無呼吸症状が大幅に改善しても、循環器疾患になる危険性があることが、東海大の研究チームの調査でわかった。

SASは、寝ている間に気道が狭くなって呼吸が頻繁に止まる病気。1時間に30回以上無呼吸状態になるのが重症で、血中の酸素不足状態が続き、動脈硬化を引き起こし、血小板が固まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞にもなる。

SASの治療は、鼻にマスクをつけて空気を送り、気道を広げる装置を使う「CPAP(シーパップ)療法」が有効とされる。

同大呼吸器内科の桑平(くわひら)一郎教授らは、血液の固まりやすさを調べる簡便な検査法を開発。重症の患者44人に、シーパップ療法を1か月間行い、治療前後で効果を比較した。

無呼吸症状は全員が大幅に改善した。しかし、治療前に21人いた血液が固まりやすい人は、12人が改善したにとどまった。改善しない9人を精密検査したところ、首の動脈の動脈硬化か、自覚症状のない小さな脳梗塞が見つかった。

桑平教授は「血液の固まりやすい重症患者では、シーパップをつけても、脳梗塞の予防策が必要だ」と注意を呼びかけている。

第一製薬、超音波診断用造影剤「ソナゾイド 注射用」を発売

プレスリリース
ソナゾイドは、第一製薬と米ゼネラル・エレクトリック(GE)のヘルスケア事業部門であるGE Healthcare(本社:英国チャルフォントセントジャイルス、社長兼CEO:ジョセフ・M・ホーガン)との共同研究開発により創製された超音波診断用造影剤で、持続的な造影効果をもち、肝腫瘤性病変の診断において、鑑別診断および存在診断の向上に寄与するとともに、肝癌の局所治療効果判定ならびに治療後のフォロー診断に貢献する低侵襲性の超音波診断用造影剤です。
ソナゾイドは、世界に先駆けての発売であり、また次世代の超音波診断用造影剤として日本初の発売となります。

ソナゾイド(R)の特徴

  1. 超音波に対して安定なマイクロバブルであり、持続的な造影効果(血管イメージングならびにクッパーイメージング)が得られます。
  2. 肝腫瘍の鑑別診断ならびに肝小病変の検出に有用であり、造影CT検査と同等の診断能を示しました。
  3. ラジオ波焼灼療法(RFA:Radio Frequency Ablation)などの局所治療における治療ガイド(病変位置の正確な把握)や治療効果の判定に有用です。
  4. 本剤の投与量は懸濁液として0.015mL/kg と少量であり、投与後、本剤は呼気中に排泄されます。
  5. 本剤の取り扱いならびに本剤による造影超音波検査は簡便であるため、ベッドサイドで造影可能です。

サイト内の関連記事: 微小な腫瘍も確認できる超音波造影剤「ソナゾイド」

潰瘍性大腸炎、パーキンソン病への難病助成を継続

厚生労働省は9日、患者の医療費を公費負担している特定疾患の見直しで、パーキンソン病と潰瘍(かいよう)性大腸炎の軽症患者は07年度から対象から外すとしていた当初方針を撤回し、給付を継続する方針を固めた。今夏の参院選を控え与党が難色を示しており、早期の見直しは困難と判断した。

厚労省は特定疾患治療研究事業により、45疾患の難病(患者数約54万人)については医療費の自己負担分の全額または一部を公費負担している。パーキンソン病(同7万3000人)と潰瘍性大腸炎(同8万人)も対象としてきた。

しかし、公費削減方針を受け、厚労省は特定疾患対策懇談会(座長・金沢一郎国立精神・神経センター総長)で、公費負担対象患者の絞り込みを検討。昨年12月11日、懇談会はパーキンソン病と潰瘍性大腸炎を「希少性を満たさなくなった」として、軽症患者への医療費補助打ち切りを提言した。同省は提言に従い、対象患者数をパーキンソン病は半減し、潰瘍性大腸炎は3分の1へと減らす方針だった。

だが、両疾患の患者団体は猛反発。自民、公明両党も先月15日、難病対策の充実を求め呼応した。その結果、「公費削減効果も小さく、急ぐ必要はない」(同省幹部)と方針転換した。

同研究事業は患者の少ない難病に研究者の目を向けさせ、治療法を確立するのが目的。06年度の事業費は239億円で、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎が26%を占める。

特定疾患治療研究事業とは?
「原因不明、治療方法未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病」として調査研究を進めている疾患のうち、診断基準が一応確立し、かつ難治度、重症度が高く患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療方法の開発等に困難をきたすおそれのある疾患を対象としています。具体的には、厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会の意見をもとに決定されます。

本事業は、昭和47年度にベーチェット病などの4疾患を対象に発足し、それ以降対象疾患は徐々に拡大され、平成18年現在、45疾患となっています。

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