スイス系ノバルティスファーマは16日、心臓移植を受けた患者向けの免疫抑制剤「サーティカン錠」を発売したと発表した。これまでの薬剤とは異なる仕組みで効き目を発揮するため、既存薬では効果が十分でない患者らの需要が見込めるという。
サーティカン錠は免疫にかかわる細胞を増殖する「インターロイキン2(IL―2)」と呼ぶ生理活性物質の働きを抑えて、移植による拒絶反応を抑制する。薬価は0.25ミリグラムで690.5円、0.5ミリグラムは1214.8円など。
プレスリリースより
ノバルティスファーマ株式会社は、3月16日より、心移植における拒絶反応の抑制に対して新規の作用機序を有する免疫抑制剤「サーティカン錠0.25mg、0.5mg、0.75mg(一般名:エベロリムス)」を発売いたします。
「サーティカン(エベロリムス)」は、FKBP-12(FK-506 binding protein-12)と複合体を形成し、細胞内情報伝達分子であるmTORに結合して細胞増殖シグナルを阻害することにより細胞増殖抑制作用を示すと考えられており、インターロイキン-2によるT細胞の増殖を抑制することで免疫抑制作用を示す薬剤です。本剤は、シクロフィリンに結合するシクロスポリンやタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤とは異なる新たな作用機序を有します。
近年、種々の免疫抑制剤の開発により移植臓器の生着率は徐々に上昇していますが、一方で既存薬剤では効果不十分または既存薬剤の副作用により投与を継続できない患者さんもおり、新たな免疫抑制剤の開発が望まれてきました。
また、「サーティカン」が既に発売されている国で心移植を受け、本剤による免疫抑制治療が行われた渡航患者さんが帰国する可能性もあり、国内の移植医など医療関係者からも、厚生労働省に対して早期承認の要望書が提出されるなど、本剤の一日も早い上市が切望されていました。
「サーティカン」は2003年にスウェーデンで承認されて以来、現在までにドイツ、フランスなど60カ国以上で承認されており、心移植における拒絶反応に対する免疫抑制剤として心移植患者さんの長期生命予後の改善に貢献しています。