オメプラール錠:非びらん性胃食道逆流症への効能を承認

厚生労働省は、胃酸分泌抑制薬「オメプラール錠」(一般名オメプラゾール)を、非びらん性胃食道逆流症(NERD)の治療適応薬として承認した。
オメプラゾールは、スウェーデン・アストラヘスレ社(現アストラゼネカ社)が開発した胃酸分泌抑制剤。胃壁細胞内のプロトンポンプという酵素の働きを阻害して胃酸の分泌を抑える。

日本では1991年1月、胃かいよう、十二指腸かいよう、吻合部かいよう、逆流性食道炎、ゾリンジャー・エリソン症候群の治療薬として承認された。
その後、逆流性食道炎の維持療法や胃かいよう・十二指腸かいようのヘリコバクター・ピロリ菌の除菌補助で追加承認されている。

非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、胃酸など胃の内容物が食道に逆流することで、胸焼けや胃液逆流感などの症状が現れる。しかし内視鏡検査では、食道粘膜の障害(びらんや潰瘍)が確認できない。

従来は、逆流性食道炎の軽症例として扱われていた。ただ胸焼け症状の程度は、必ずしも食道粘膜障害の程度とは比例せずに、胸焼けの症状で患者の「生活の質」が低下しているため、逆流性食道炎の軽症例とは別の疾患と位置付けられた。

国内の臨床試験では、食道粘膜に内視鏡的な異常をまったく認めない患者と、発赤や白色混濁が認められる患者の双方に、オメプラゾール10rを1日1回、4週間投与したら胸焼けなどの自覚症状が改善された。(くまにち)

非びらん性胃食道逆流症(NERD)とは?
非びらん性胃食道逆流症は、胃酸等の胃内容物の食道内への逆流によって胸やけを中心とした自覚症状を有するものの、内視鏡検査で食道にびらんや潰瘍等の粘膜傷害を認めない疾患です。
本疾患は、食道に粘膜傷害を有する逆流性食道炎と同様に、強い胸やけと顕著なQOLの低下を認めることが特徴であり、自覚症状を早く、確実に消失させ、症状のストレスを解放することが治療上、重要な課題となっています。



妊婦のはしか感染で流産、早産のリスク:厚生労働省

厚生労働省は30日、はしかに免疫のない妊婦が感染すると、流産や早産を起こしやすくなるため、インターネットなどを通じて、妊婦や近い将来妊娠を希望している女性に対し、注意を呼びかけることを決めた。

はしかにかかったことがなく、ワクチン接種もしていない女性が、妊娠中にはしかにかかった場合、陣痛促進剤を投与した時のように、強い子宮の収縮を起こすことがあるとされる。妊娠初期ではしかにかかると31%が流産するほか、中期以降でも9%が流・死産、24%が早産すると報告されている。

2000〜01年にはしかが流行した福島県内の公立病院では、8人の妊婦がはしかを発症して受診。このうち2人が流産し、1人が死産した。

また、ウイルスの毒性を弱めて作るはしかワクチンは、妊娠に悪影響を及ぼす恐れがあるので、妊娠中は受けられず、妊娠前の接種が望ましいという。厚労省は近く作成するホームページ(HP)で、妊婦がはしかにかかった場合のリスクや、はしかワクチンや免疫を調べる血液検査などについて、Q&A形式で説明する。都道府県や日本医師会などに、このHPの活用を呼びかける通知も行う。(YOMIURI ONLINE)

はしか(麻疹)について
はしか(麻疹)は発熱・発疹・咳を主症状とする急性の感染症で、39〜40度の高熱が続く重い病気です。うつる力も強く注意が必要です。ウイルスの潜伏期間は約11日。飛沫感染します。予防接種を受けていない子供がはしかの子供と接触した場合、3〜4日以内にガンマグロブリンの注射をうければ発病を防ぐことができます。

はしか(麻疹)の症状
はじめに熱・咳・鼻水・目やになど通常の風邪と同じ症状が出ます。この時期にははしかと診断する事はできません。4日目位に一度熱が下がりますが、半日から1日後に高熱とともに発疹がでます。はしかはほぼ円形の紅い斑点で5mmくらい。顔からはじまり全身へと広がっていきます。かゆみはありません。約5日くらいで熱もさがり、発疹も消えてきます。

妊娠診断補助試薬「ゴナスティックW」:持田製薬

持田製薬は、日本で初めて、1度の簡単な操作で尿中hCGの2つの濃度領域を判定し、早期の妊娠診断に加え、流産や子宮外妊娠などの異常妊娠の診断の補助に有用な情報を短時間で得られる医療用妊娠診断補助試薬「ゴナスティックW」を6月1日に発売すると発表した。

「ゴナスティックW」は、ブルーラテックス免疫クロマトグラフィー法に基づいた尿中hCG検出試薬。
hCGとは、受精卵の着床後に胎盤の絨毛組織から分泌されるヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのことで、尿中hCGレベルは早期の妊娠診断、また流産や子宮外妊娠などの診断に有用な情報となる。

従来の製品は、25IU/l以上の濃度領域を判定し、1000IU/lを超えるかどうかの判定には、1000IU/l以上の濃度領域を判定する異なる製品が必要だった。
「ゴナスティックW」は、出現した青い判定ラインと、あらかじめ印刷された対照ラインとの濃淡を比較することによって、1度の操作で25IU/l以上と1000IU/l以上の2つの濃度領域を定性判定できる国内初の製品となる。操作も簡単で、採取した尿に3秒間浸けた後、3〜4分で迅速に判定結果が得られるという。

妊娠早期の臨床診断において、1度の簡単な尿中hCG検査で短時間のうちにより多くの情報が得られることから、「ゴナスティックW」が効率的な診療の一助になるとしている。

「専門介護福祉士」制度を創設へ:厚生労働省

厚生労働省は29日、高齢者施設などでケアに当たる介護福祉士について、認知症患者への対応など分野ごとに、上級資格である「専門介護福祉士」の制度を創設する方針を固めた。

介護福祉士は「仕事がきつい割に給料が安い」とされ、人手不足に陥っており、厚労省はキャリアアップの道を示すことで介護職離れを食い止めたい考え。有識者研究会で今秋にも制度の詳細を詰める。

介護福祉士は国家資格だが、新設の上級資格は日本介護福祉士会などの全国組織が認定する仕組みとなる見通し。認知症患者や障害者へのケア、サービス管理など複数の認定分野を設け、一定の実務経験と研修を条件とする方向だ。
研修のメニューづくりなどに時間がかかるため、導入時期は2009年度以降とみられる。(四国新聞)

介護福祉士とは?
身体的、精神的な障害により日常生活行動、たとえば、入浴、食事、排泄などの行動に支障のある人(主に高齢者)に対して支援を行なう国家資格を取得した人たちです。

介護福祉士の活動場所としては、特別養護老人ホーム、デイケアセンターや障害者の福祉作業所、その他の社会福祉施設があげられます。また、在宅で生活している要介護者の自宅に通って援助する訪問介護員(ホームヘルパー)にも介護福祉士資格は有用とされています。

しかし、介護福祉士の資格取得者の約4割が、実際には福祉の仕事に就かずにいることが厚生労働省の調査で明らかになっています。その原因としては、給与水準や休日などの環境が悪く、特に都市部では家賃が高いなどの理由から敬遠されているとみられています。
養成校を卒業した場合は国家試験を経ずに資格が与えられますが、すべての資格取得者に国家試験を義務づける見直しが進んでいます。

関連記事:「准介護福祉士」資格を新設:国家試験の合否を問わず

世界の医薬品メーカーランキング2006

ユート・ブレーンLLC合同会社は、毎年恒例の「世界の医薬品メーカーランキング2006−決算期版」をまとめた。

世界の医薬品メーカーランキング2006

100億ドルを超えるメーカーは14社あるが、これだけの規模になっても、6社は2桁増であり、マイナスはブリストル・マイヤーズスクイブとアボット・ラボラトリーズの2社だけ。
日本でトップの武田薬品は、糖尿病薬アクトスが急増して12.3%増と好調だったが、100億ドルには3.9億ドルほど届かず、16位となった。

上位40社のうち、米メーカーが17社を占め、日本が6社、ドイツとスイスが3社で、他の国は2社か1社だけとなっている。
17位のジェネンテックが40%増の92.8億ドル、19位でジェネリック主体のテバ製薬工業は、2005年に買収した米アイバックスのフル寄与で61%増の84.1億ドルとなったため、日本のメーカーでは、アステラスが前年の17位から20位へ、第一三共は20位から22位へ下落した。
エーザイはアリセプトとパリエットが好調で2桁増となり、23位を維持した。
伸びの目立つのは大塚製薬で、統合失調症薬エビリファイが世界的に好調で売上は18.5%増となり、世界で25位となった。ただ、エビリファイが医薬品売上の約4割を占めており、依存度が高まっている。

一方、将来の新薬につながる研究開発費(R&D費)をみると、上位20社のうちテバ製薬以外は13億ドル以上を確保。上位10社のR&D費の合計額は、前年比17%増の501億ドルと初めて500億ドルを突破。中でも米メルク社や米ジョンソン・エンド・ジョンソン社はR&D費の割合が売上高の20%を超え先行投資を進めている。

肺がん治療:SMAP法で抗がん剤の感受性を迅速に診断

理化学研究所は、シンガポール国立大学およびシンガポール国立大学病院などと共同で、肺がん治療のオーダーメイド化を実現する迅速かつ正確な診断法(SMAP法)の臨床試験に向けた、実質的な研究を始動したと発表した。
SMAP法は、理研ゲノム科学総合研究センターの遺伝子構造・機能研究グループを中心とする共同研究グループが開発した診断法で、ごく少量の検体を前処理試薬と混合し加熱処理後、そのまま増幅試薬に添加し、60℃で反応させる簡便で迅速な国産のSNP(ゲノム全体に分布しているDNA配列の違い)の診断技術。

研究グループは、横浜市立大学医学部などと肺がんに用いられる抗がん剤ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)の感受性をSMAP法により迅速に調べる臨床研究を行っているが、日本国外のパートナーとしてはシンガポール国立大学および大学病院が初の共同研究となる。

肺がんは、シンガポールでは男性の死因の第1位となっており、女性でも第3位を占めている。
これまでの世界各国の研究で、上皮性増殖因子受容体(EGFR)遺伝子に変異のある肺がん患者では、EGFRをブロックするゲフィチニブが顕著に効果を示し、末期がん患者においても生存率が上がることがわかっている。
しかし一方では、ゲフィチニブには「間質性肺炎」という極めて重篤な副作用がある。
そこで、EGFR遺伝子の変異の有無を調べて、患者にゲフィチニブが有効かどうかを事前に調べることにより、より良い治療ができるものと考えられている。

従来は、病巣の腫瘍を外科的に切除した後で、細胞採取して検査し、ゲフィチニブが有効かどうかを調べているが、この検査プロセスにはおよそ3週間も要していた。
共同研究チームでは、手術中に取り出したごく少量の組織片にSMAP法を適用することにより、診断に要する時間を1時間以下に大幅短縮できるとしている。

シンガポール国立大学病院では、まずは、40名の肺がん患者の組織を用いた試験を行い、この中で、SMAP法と既存のPCR法による診断の正確さと効率性を比較し、SMAP法の有効性を確認していくことにしている。
この研究は、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)のサポートを受けており、1年間で約100名の患者に適用するほか、将来的には、他の疾患においてもSMAPキットの試験を行なう計画だという。

肺がんの症状と経過
肺がんが治りにくい背景には、早期には症状が起きにくく、発見されにくいという特徴があげられます。また、肺門部にできるがんに比べ、肺野部(抹消部)のがんは、さらに症状が起こりにくいので厄介です。

最初に気付く症状は、咳や痰、血痰です。特に、一日にたばこを30本以上吸う人で、血痰が出た場合は危険信号ですので、早急に受診してください。そのほか、呼吸困難、胸の痛み、発熱などもみられます。
がんが進行すると、声がかれることもあります。声帯を動かす神経は肺のそばを通っており、がんがその神経を障害することがあるためです。
また、大きくなったがんが食道を圧迫すると、食べ物や飲み物が喉につかえるようになります。

肺がんの早期の症状の多くは、風邪などでも起こる症状で、肺がんに特徴的というわけではありません。症状から肺がんを早くに発見することは困難ですので、ヘビースモーカーの方は特に、定期的な検査が重要となっています。

関連記事:高血圧治療のACE阻害薬に肺がん縮小効果:マウス実験で確認

前頭側頭型認知症(FTD)の原因たんぱく質を特定

人格が変わったり、異常行動をとったりすることが多い認知症の一種、「前頭側頭型認知症」(FTD)の原因とみられる異常たんぱく質を、東京都精神医学総合研究所のグループが突き止めた。
30日から東京都内で開かれる日本神経病理学会で発表する。病気のメカニズムの解明や治療法開発につながる可能性がある。

FTDは、65歳以下の認知症としてはアルツハイマー病に次いで多い。
FTDは、脳に、タウというたんぱく質がたまるタイプと、タウ以外のたんぱく質がたまるタイプに分けられるが、タウ以外のたんぱく質の正体は分かっていなかった。

長谷川成人チームリーダーと新井哲明主任研究員らは、患者の脳に異常にたまっている物質を詳しく調べ、TDP43とよばれるたんぱく質であることを突き止めた。
このたんぱく質は、筋肉が次第に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の脊髄(せきずい)にもたまっていることを見つけた。米国グループも同じ結論を発表している。

アルツハイマー病では、アミロイドベータという異常たんぱく質がたまることが突き止められてから、これを標的とする治療法の開発が進んでいる。今回の成果も治療法の開発につながる可能性がある。 (東京新聞)

前頭側頭型認知症とは?
前頭側頭型認知症は人格変化や行動異常に特徴づけられる症候群であり、大脳の前方部(前頭葉と側頭葉)に限局した萎縮を示し、後方優位の異常を示すアルツハイマー病と対比されます。
前頭側頭型認知症にはピック病、筋力低下、筋萎縮、嚥下障害、ろれつがまわらないといった筋萎縮性側索硬化症の症状を伴うものも含まれます。

前頭側頭型認知症では、自分や社会に対する関心が低下し、身だしなみに頓着しなくなります。
感情面では、何かに関するこだわりが異常に強くなり、柔軟な対応ができず、他人の迷惑なども省みずに好き勝手に行動しているように見えることもあります。
自発的な発語は減少し、いつも同じことを言い続けるといった言語の症状をみることもあります。
これらの症状はゆっくりと進行していき、最終的には寝たきり状態になります。

ES細胞の大量培養技術の開発に成功:理研CDB

様々な組織や臓器になり得る万能細胞として再生医療への期待が高いヒト胚性幹細胞(ES細胞)を、従来の100倍以上の効率で増やせる大量培養技術の開発に理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の笹井芳樹グループディレクターらが成功した。これまでヒトES細胞は手作業でわずかずつ増やす方法に頼っていただけに、再生医療研究を大幅に加速しそうだ。
27日付の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版で発表される。

ES細胞でもマウスの場合は、培養皿内で培養したES細胞の塊を薬剤で一つずつばらし、多くの培養皿に植え継ぐことで一気に増やすことができる。
しかし、ヒトのES細胞はストレスに弱く、一つずつばらすと2日以内に99%が細胞死を起こしてしまうため、研究の大きな障害になっていた。

笹井さんらは今回、細胞死を抑える働きのある薬剤などをヒトES細胞に加えて培養を試みた。
その結果、運動神経などの細胞死との関連があるたんぱく質の働きを妨げる薬剤に、ES細胞の生存率を大幅に高める作用があることがわかった。
細胞の塊を手作業で切り分ける従来の方法では1カ月で100倍程度に増やすのが限界だったが、この薬剤を加えて培養することでさらに100倍以上に増やすことができた。

また、笹井さんらは、この培養方法を応用し、ヒトES細胞から大脳皮質や大脳基底核の細胞を高い効率で作り出すことに初めて成功。笹井さんは「神経細胞の移植によるハンチントン病治療やアルツハイマー病治療薬の開発にもつながる成果」としている。(asahi.com)

ES細胞とは?
生体の組織や臓器の元となる細胞のこと。幹細胞、または胚性幹細胞ともいう。
受精卵が細胞分裂を繰り返し、ある程度の細胞塊になった頃に取り出して培養することで、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持ったES細胞を得ることができる。
別の胚に混ぜて培養させると生体の組織や器官を人為的に作り出すことができるため、神経細胞や血液細胞の再生医療の技術として、難病治療への応用が期待されている。
1998年11月、アメリカのトムソン博士によって、ヒトのES細胞の培養が世界ではじめて成功した。

関連記事:非受精卵からES細胞を作成:理研チームがマウスで成功

心筋梗塞、脳卒中:ぽっちゃり型より痩せ型がリスク大

高血圧や高血糖といった生活習慣病の危険要因を同時に抱えると、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高まるが、その程度は、太っているよりもやせている人の方が高くなりやすいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=上島弘嗣・滋賀医科大教授)の調査でわかった。
来年度から、生活習慣病予防のための特定健康診査(特定健診)が始まるが、その柱となる「メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)」の診断基準が、やせた人たちのリスクを見逃してしまう可能性を示したものだ。

同症候群は心筋梗塞や脳卒中など循環器病とかかわりが深い。危険要因として、肥満、高血圧、高血糖、高中性脂肪、低HDLコレステロールが挙げられ、欧米では基本的に、うち三つ以上の値が一定値を超えると、メタボリック症候群と診断される。

日本の診断基準では特に肥満が重視されており、ウエストサイズが一定以上であることが必須条件。例えば血糖値がかなり高くても、太っていなければ同症候群には該当しないことになる。

ところが上島教授らの調査で、この診断基準では、そんな人たちのリスクを見落とす可能性があることがわかった。上島教授は、90年に全国の保健所で健診を受けた男女約7200人を約10年間追跡し、死亡原因などを調べた。
肥満の指標となるBMI(体格指数)が25以上の太った人が循環器病で死亡するリスクは、肥満でなくほかの危険要因もない人と比べると、危険要因が肥満以外に二つの場合は1.5倍。三つ以上だと2.4倍だった。

一方、BMIが25未満の人で同じ比較をすると、それぞれ2倍、2.8倍となり、肥満傾向の人よりも高かった。やせた人でも、体質的に高血糖や高血圧などを起こしやすい人がおり、そういう人は太っている人よりむしろリスクが高まりやすいらしい。

調査をまとめた滋賀医科大の門田文医師は「日本の基準にあてはまらない人にも高リスクの人がいることに、注意を払うべきだ」としている。
同症候群については、肥満でなくても糖尿病などを通して循環器病になる人が少なくないことから、日本公衆衛生学会が個々の危険要因を軽視しないよう厚生労働省に意見書を出している。(asahi.com)

メタボリック症候群とは?
生活習慣病の代表格に肥満症、高血圧、糖尿病、高脂血症がある。これらの疾患は肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が原因であるとされ、内臓脂肪によりさまざまな病気が引きおこされる状態をメタボリックシンドロームという。

高血圧、高脂血症、糖尿病などひとつひとつの症状は軽くても、複合すると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが急激に増大することから注目されている。
診断基準の必須項目としてウエスト径があり、男性85センチ以上、女性90センチ以上がメタボリックシンドローム診断のカギとなる。

体外受精で生まれた女性が自然妊娠で出産

84年に東北大での体外受精によって生まれた女性が、03年に自然妊娠で男の子を出産していたことが分かった。体外受精児による国内初の出産とみられる。
国内1例目の体外受精児誕生から20年以上がすぎ、生殖補助医療は体外受精児が妊娠、出産する新たな段階に入った。

体外受精が生まれてくる子どもへ与える影響については、厚生労働省が今年度から大規模な調査を始めたが、女性の体外受精を実施した鈴木雅洲・スズキ記念病院院長(東北大名誉教授)は「今回の妊娠、出産は、不妊治療への信頼を高めるだろう」と話している。

鈴木院長によると、出産が明らかになった女性は、84年2月に誕生。母が卵管閉塞(へいそく)による不妊症のため東北大で体外受精を受け、国内3番目の出産例だった。女性は結婚後、自然に妊娠し、19歳だった03年8月に2726グラムの男児を出産した。男児は健康に成長しているという。

国内初の体外受精児は83年10月、東北大で誕生し、同年12月に2例目が生まれた。1例目の女児は、2歳の時に肺炎で亡くなった。2例目の女児はまだ妊娠、出産はしていないという。

日本産科婦人科学会によると、04年までに国内で体外受精などの生殖補助医療によって生まれた子どもは、計約13万5000人に達している。04年だけでも計1万8168人が生まれ、04年に生まれた子どもの1.6%を占めている。

体外受精については、受精卵に人が触れるため、生まれてくる子どもへの影響を心配する声がある。
国内ではまだ十分な調査はないが、海外の調査では、先天異常や奇形などの割合は自然妊娠の場合と変わらないとされている。(毎日新聞)

体外受精とは
卵巣から取り出した卵子と、精子を体外で受精させる生殖医療の手法。卵管の機能上の問題や精子の運動性の問題がある時などに使われる。
微細な管で卵子に精子を注入する顕微授精は体外受精の一種。国内で体外受精によって生まれた子供は10万人を超え、生殖医療の現場では一般的な技術になっている。

関連記事:体外受精児の健康、発育状態を追跡調査:厚生労働省

医師不足対策:医学部定員増加、奨学金制度、職場環境改善など

政府・与党が検討している緊急の医師不足対策の全容が25日、明らかになった。
国レベルの緊急医師派遣という短期的対策から、大学医学部の定員増や推薦入学枠の拡充などで医師の養成増を図る中長期的対策まで6項目。勤務医の過重労働の解消や、女性医師が働きやすい環境づくりも目指す。

中長期的対策では、医師の養成増を打ち出した。国公立大学の医学部に臨時の定員増を認め、地元高校生を優先的に推薦入学させる「地域枠」も拡充。医師の少ない都道府県で、医師の養成数自体を増やしていく。
医学部を卒業後も一定期間、地元で勤務することを約束した学生には奨学金を支給する方針だ。

当面の対策としては、「国レベルで緊急の医師派遣体制を整備する」とした。
都道府県からの要請に応じ、国立病院を管轄する国立病院機構や全国ネットワークを持つ病院から、数カ月〜1年程度、各地の自治体病院などに医師を派遣する。定年退職して間もない医師に呼びかけるなどして医師を確保する。

また、勤務医の過重労働を緩和するために交代勤務制など働きやすい職場環境を整備。
医師、看護師、助産師の役割分担を見直し、医療事務員の配置を支援する。
女性医師が出産や育児を機に離職するのを防ぐため、病院内に保育所を整備し、復職のための研修なども行うとしている。

このほか、研修医が都市部の病院に集中しすぎないように定員も見直す方針。
出産に伴う医療事故の補償制度や、医療中に死亡した患者の死因調査制度も早期に実現し、医師の訴訟リスクなども軽減を目指すという。(asahi.com)

無過失補償制度とは?
無過失補償制度とは、医療事故で障害を負った場合、医師に過失がなくても、患者に補償金が支払われる制度です。長期の訴訟を避け、医師・患者双方の救済を図るのが目的で、日本医師会は2006年8月、分娩による脳性まひを「最も緊急度の高い事例」と位置づけ独自の制度案を公表、公的資金の投入を唱えました。北欧やニュージーランドでは社会補償制度の一環として取り入れられています。

医療事故では、医師に過失があれば医賠責で補償されるが、分娩事故では原因がはっきりしないケースが多いとされています。2004年の医師1000人当たりの訴訟件数は産婦人科が11.8件(最高裁調べ)と最多で、産婦人科医のなり手が少ない一因となっているとの指摘がなされています。

麻疹(はしか)流行で抗体検査試薬が不足

関東地方を中心とする麻疹(はしか)の流行で、ワクチン接種が必要かどうかを見極める抗体検査が、試薬の不足から実施困難になっていることが26日分かった。

ワクチンが不足する事態に備え、厚生労働省は18日、全国の医療機関に、抗体検査の実施で、ワクチン接種が本当に必要な人を見極めるよう通知したばかり。思わぬ伏兵で出だしからつまずいた形だ。

試薬が不足しているのは「HI法」と呼ばれる検査法。使い勝手が良く、最も広く利用されている検査法だが、製造にミドリザルの血液を利用しており、殺到する検査依頼に供給が追いつかなくなった。

はしかの検査で国内最大手のエスアールエル(東京)は25日、HI法での検査の一時中断を医療機関に通知した。同社によると、同業他社も既にほぼ同様の措置を取っているという。ほかにも検査方法はあるが、HI法に比べ日数がかかるという欠点がある。(Shikoku news)

はしか(麻疹)について
はしか(麻疹)は発熱・発疹・咳を主症状とする急性の感染症で、39〜40度の高熱が続く重い病気です。うつる力も強く注意が必要です。ウイルスの潜伏期間は約11日。飛沫感染します。予防接種を受けていない子供がはしかの子供と接触した場合、3〜4日以内にガンマグロブリンの注射をうければ発病を防ぐことができます。

はしか(麻疹)の症状
はじめに熱・咳・鼻水・目やになど通常の風邪と同じ症状が出ます。この時期にははしかと診断する事はできません。4日目位に一度熱が下がりますが、半日から1日後に高熱とともに発疹がでます。はしかはほぼ円形の紅い斑点で5mmくらい。顔からはじまり全身へと広がっていきます。かゆみはありません。約5日くらいで熱もさがり、発疹も消えてきます。

がん治療認定医制度を創設:がん治療の地域格差解消を目標

がんについて幅広い知識を持つ医師を増やし、全国どこでも、一定レベル以上の治療が受けられる体制を作るため、日本癌学会など3学会と全国がんセンター協議会は、「がん治療認定医制度」を創設した。
来年1月に初の認定試験を実施し、10年で数万人の認定医を医療の現場に送り出すという。

がん治療に関しては、臓器や治療法によって専門が細分化され過ぎ、患者が最善の治療法を探しにくいのが現状。学会ごとに認定医・専門医制度を設けているが、「専門以外は門外漢」という医師が多い。外科が専門で、放射線治療や緩和医療について十分な知識がなかったり、血液内科の専門でなければ、白血病などの治療法に疎かったりと、主治医によって、患者の病状にあった治療や情報にたどり着けない恐れがあった。

また、地域によっては、専門医がおらず、その分野の最新の治療情報が手に入りにくいという問題も指摘されている。4団体は昨年12月、学会の枠を超えて、「日本がん治療認定医機構」を設立。がんの初期診療から緩和医療まで幅広く対応でき、最新の治療法も紹介できる医師を養成することにした。

認定医になるには、がんセンターなど機構認定の病院で2年間の研修を行ったうえで、学会や機構が開催する教育セミナーで基礎的な治療法から患者や家族とのコミュニケーション方法までを学ぶ。さらに、機構の実施する試験に合格しなければならない。
機構は「必要な治療を求めて、病院を渡り歩く『がん難民』をなくし、どこでも安心して、がん治療を受けられるようにしたい」としている。(YOMIURI ONLINE)

がん治療認定医への申請資格

  1. 日本国の医師免許証を有すること。
  2. 認定医制度規則施行細則第11条による所属する基本領域の学会の認定医又は専門医の資格を有すること。
  3. 機構の定める認定研修施設において,機構の定めるがん治療研修を終了し,指導責任者による証明がなされていること。
  4. 2002年4月1日から申請時までの期間に下記の業績を有すること。 (@ 学会発表…別紙資格審査のための業績基準に挙げる学会において発表された,がん診療についての業績2件以上 A 論文発表…別紙資格審査のための業績基準に挙げる学術雑誌または学術図書に掲載されたがん診療についての業績1件以上)
  5. 機構が開催する教育セミナーに参加し,受講後に行われる認定試験に合格していること。
  6. 2002年4月1日から申請時までの期間に下記学術単位を合計で20単位以上取得していること。
  • 機構の開催する教育セミナー参加 10単位
  • 機構が認める学会の学術集会参加 3単位
  • 特定非営利法人日本臨床腫瘍学会の教育セミナー参加 Aセッション 10単位 / Bセッション 5単位
  • 日本癌学会及び日本癌治療学会の教育セミナー参加 5単位
  • 各学会からの申請により、資格審査委員会が定め,機構理事会が認めた学会の教育セミナー参加 3単位

関連記事:がん治療専門の人材育成「がんプロフェッショナル養成プラン」

経口ED治療薬「レビトラ錠20mg」を輸入承認を取得:バイエル薬品

バイエル薬品は、厚生労働省から、経口ED(勃起不全)治療薬レビトラ錠20mg(一般名:塩酸バルデナフィル水和物)の輸入承認を取得したと発表した。
海外では、経口ED治療薬(PDE-5阻害薬)は高用量が主流だが、日本では、このレビトラ錠20mgが初めて承認された高用量製剤となる。

経口ED治療薬が発売されて以来、ED治療は大きく改善され、また、2004年のレビトラ(R)錠5mg、10mgの発売によって治療の選択肢も増えた。
しかし、生活習慣病の患者さんや脊髄損傷や骨盤内腫瘍手術後の患者などEDが重症となりやすいケースにおいては、これまで日本で承認された経口ED治療薬の最大用量では十分な効果が得られない場合が見受けられていた。
約800名の患者が参加した日本における第?V相臨床試験によって国内におけるレビトラ錠20mgの有効性と安全性が確認され、2005年に承認申請、その後の厚生労働省の審査を経て、このたび承認されるにいたった。

レビトラについて
レビトラは極めて有効なホスホジエステラーゼタイプ5(PDE−5)阻害剤です。PDE−5は主に陰茎組織に見られる酵素で、勃起の発現・維持に大事な生体内伝達物質サイクリックGMP(cGMP)を分解します。

レビトラは、このPDE−5を阻害することでcGMPの分解を抑え、勃起反応を強化・延長させます。
レビトラは、PDE−5に対する優れた選択性と強い阻害活性をもち、国内外のさまざまな臨床試験で幅広いED患者層に対して優れた有効性および安全性が確認されています。

レビトラは、勃起不全を改善するため、性行為を開始する前に服用する医療用医薬品で医師の処方箋が必要です。心筋梗塞や狭心症の治療のためによく使われる硝酸剤を服用中の患者などには禁忌です。

日立開発の「はらすまダイエット」で、6割が脱メタボ成功

日立製作所が、インターネットを使ったメタボリック症候群の保健指導プログラムを開発した。
産業医科大学公衆衛生学研究室、損保ジャパン総合研究所と共同開発した、90日間で体重を5%減らす減量方法「はらすまダイエット」を活用。パソコンか携帯電話で体重、食事、日常活動を入力するとデータ化され、体重と日常活動との関連が一目で分かる。

このプログラムを使うと減量への意欲がわきやすいといい、挑戦した日立の30〜40代の男性社員64人のうち6割が「メタボ状態」から脱した。

保健師はウェブ上で随時、送られてきたデータを閲覧できる。対応が必要な相手のデータを優先的に抽出する機能もあり、指導の負担が軽減されるという。
来春から、健診でのメタボ対策が義務づけられる健康保険組合などに売り込む考えだ。(asahi.com)

メモ
今から市場に売り込みをかけようとする自社製品を使うわけですから、このプログラムに参加した社員は相当なプレッシャーがあったと思います。
以下は北芝健が言うところのファンタジーですが、例えば、ランチタイム@牛丼の「すき屋」にて…
山田「え〜と、ねぎ玉牛丼の特盛りに味噌汁、サラダで。」
上司「な〜に〜!?山田、もう一度いってみろ」
山田「あ、いえ、やっぱり普通の牛丼の並だけでお願いします。出来れば肉も抜いちゃってください。」
こんな感じの一コマが浮かんでくるわけですよ。
このへんが「6割」成功のポイントだったと考えるのは勘ぐりすぎでしょうか(笑)

乳がん検診:超音波(エコー)検診の有効性を大規模調査へ

乳腺の密度が濃いためマンモグラフィー(乳房X線撮影)では腫瘍が見つかりにくい40代を対象に、厚生労働省は今年度から、超音波(エコー)検診が有効かどうか検証を始める。
2010年度までに、エコーとマンモグラフィーを併用した検診を6万人に受診してもらい、マンモグラフィーのみの受診者と比較。進行乳がん患者の割合などを比べる。将来的には、乳がん死亡率の3割減を目標とする。

エコー検診の有効性をこれだけ大規模に調べた例は世界にもない。東北大の大内憲明教授が研究リーダーを務め、宮城や茨城、岡山など全国の10検診団体が研究に参加。エコー検診の精度を保つために医師や検査技師らの研修を重ね、夏以降本格的にスタートさせる。

各検診団体は約12万人を対象に、半数はエコー検診とマンモグラフィーを「併用」、残りはマンモグラフィーだけを実施。今年度と来年度の受診者は、それぞれ2年後に再び同様の条件で検診を受けてもらう。進行乳がん患者数の割合や、乳がんがある人をがんと正しく診断できた割合(感度)などを比較する。

乳がんは年約4万人が新たに患者となり年代別では40代が最も多い。
国は04年度から、40歳以上は2年に1回、マンモグラフィー検診を受けるよう検診制度を改めた。
だが厚労省研究班の調査では、マンモグラフィー検診でも、40代では3割近くが見落とされている可能性が明らかになった。乳腺が発達していて映りにくいのが原因だ。

エコー検診は一部の自治体で導入されているが、科学的根拠は明らかではない。4年間の研究では死亡率の減少はわからないため、研究終了後も追跡調査する必要がある。(asahi.com)

乳がんとは?
乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。
最もかかりやすいのは40〜50歳代の女性で、次いで60歳代、30歳代の順となっています。
詳しい原因は不明ですが、食生活の欧米化、動物性脂肪の取りすぎ、初産年齢の上昇、母乳授乳の減少、独身女性の増加などが関係していると考えられています。
近年、日本でも増加の一途をたどっており、女性のがんの第一位となるものと予想されています。

乳がんの症状と経過
乳房の外側上方にできやすく、初期にはしこりやひきつれができて痛みはありません。
また、乳頭から血液のような、あるいはサラッとした感じの液の分泌が見られる場合もあります。
進行すると、病変部に潰瘍ができ、脇の下や頚部のリンパ節が腫れてきます。

関連記事:乳がん対策:エックス線と超音波の併用検診の有効性を調査

京都でサポウイルスが初検出:65人が食中毒

京都市は23日、下京区東洞院通七条上ルのホテルステーション京都(浅田義之社長)に修学旅行で宿泊した横浜市の中学生ら65人が発熱や吐き気の症状を訴え、うち33人とホテル従業員からサポウイルスを検出した、と発表した。
サポウイルスの検出は府内で初めて。市は食中毒と断定し、同ホテルを同日から3日間の営業停止処分にした。

京都市保健福祉局によると、横浜市内から訪れた中学3年生の一行137人が5月8、9日に同ホテルに宿泊。その後、11日に同市保健所から中学生60人と教諭4人、カメラマン1人が食中毒症状を訴え、33人からサポウイルスを検出した、との連絡を受けた。同局がホテルを調べたところ、調理員1人からもサポウイルスを検出した。

同局によると、サポウイルスは同じ食中毒を引き起こすノロウイルスと同類だが検出例は極めて少なく、1970年代に札幌市で発見されたことを受け、2002年に命名(サッポロ→「サポ」ウイルス)されたという。(京都新聞)

サポウイルスとは?
サポウイルスはノロウイルスが属しているカリシウイルスの仲間です。
報道機関などで使われているノロウイルスの写真の一部は、実はサポウイルスのものである可能性が指摘されていたり(笑)
インフルンエンザは鶏卵で増殖させる事が可能なのに対して、サポウイルスは腸の中でしか増殖しないために研究が難しいウイルスとされています。また、ノロウイルスについては潜伏期、病期、排菌期間が明らかになっていますが、サポウイルスは研究が進んでおらず、検査体制もノロウイルスほど整っていないために、実際の感染者の数はかなりいると推定されています。
乳幼児の感染が比較的多く、冬季の食中毒を引き起こしやすいウイルスの一つです。

腫瘍マーカー「メサカップ アンティP53テスト」を製造承認へ

厚生労働省は、大腸がんや食道がん、乳がんの早期診断が可能になる腫瘍マーカー「メサカップ アンティP53テスト」の製造を承認した。新規腫瘍マーカーの製造承認はほぼ8年ぶり。

がん抑制遺伝子のP53遺伝子は血中で短時間に分解する。仮にP53が異常をきたすと血中に分泌されても分解されず組織内で蓄積し、体内にP53に対する自己抗体が産生される。
アンティP53テストは、この血清中のP53に対する抗体を測定すること(抗P53抗体測定)で、早い段階(ステージ1か2)の大腸がん、食道がん、乳がんの診断ができる。
医学生物学研究所(名古屋市)と千葉大大学院医学研究院が共同開発した。同研究所は7月中に発売し、年内に健康保険適用を得たいとしている。(くまにち)

腫瘍マーカーとは?
体のどこかに腫瘍ができると、血液中や排泄物中に、たんぱく質や酵素、ホルモンなどの特別な物質が増えてきます。それが腫瘍マーカーです。
腫瘍の種類や発症部位に特有の物質と、そうでないものがあります。それを検出するのが腫瘍マーカー検査で、腫瘍の発生やその種類、進行度などを判断する手がかりになります。

ただ、腫瘍マーカーの数値が高いからといって、腫瘍が確実に存在することを示すものではありません。また、それだけで腫瘍が良性か悪性(がん)かの判断はできませんし、どの臓器にがんができたかを特定することはできません。

さらに、がんの場合は、初期には、腫瘍マーカー値は異常を示しません。これは、人によってそれらの物質の存在の有無やレベルが異なるうえ、仮に腫瘍ができていたとしても、腫瘍マーカーの出現や発生量が一様であるとはいえないからです。
そのため、腫瘍マーカー検査は、各種検査の補助手段として利用されたり、悪性腫瘍の治療効果の測定に用いられるのが一般的です。

チルド食品の包装を破らず細菌検査:KRI

受託研究などを請け負う大阪ガスグループのKRI(京都市)は、これまで不可能だった包装食品の細菌汚染を、非破壊で検査できる基本技術を開発した。
この技術を活用したトレーサビリティーシステム(生産流通履歴情報把握システム)を実用化すれば、チルド食品(要冷蔵食品)の細菌検査を流通過程や店頭でできるようになる。

この技術は、食中毒の主因である大腸菌やサルモネラ菌が、栄養成分を分解して増殖する際に生成する成分が、包装容器から漏れ出すことに着目した。センサーを使ってこの成分を検知することで、包装容器を開封せずに細菌による汚染検査ができる。
簡単に、短時間で検査できるうえ、出荷後、どの段階で汚染が発生したかなど、汚染の履歴も分かるという。

チルド加工食品の細菌汚染検査は、製造後に製品サンプルの中身を抜き出して、培養法や遺伝子増殖法により検査している。しかし、製品が流通段階に入った以降は、温度管理や賞味期限を守るだけで、汚染検査まではしていない。

開発した技術を応用して小型検査装置を実用化すれば、流通途中や店頭で、全製品に対して汚染検査をすることが可能になる。同社では検査機器メーカーや包装・容器メーカーと共同研究を進め、3年後の実用化を目指す。(FujiSankei Business i)

サルモネラ菌とは?
サルモネラ菌は、主として飲食物を介して、経口感染する病原菌です。サルモネラ菌は腸内細菌の1つで、血清型により分類され、現在、約2,200種が知られています。
すべてのサルモネラ菌が食中毒の原因になるか否かは不明ですが、食中毒に関与しているのは約100種くらいであると推定されていいます。
サルモネラ菌による感染を予防するポイントは以下の通りです。これからの季節が一番食中毒にかかりやすいので、家庭ではもちろん、外食での生ものなどに気をつけましょう。

  • 食材を十分に加熱する。
  • 包丁・まな板・布巾などは良く洗い、漂白殺菌液や熱湯等を用いて十分殺菌する。
  • 調理後は早めに食し、長時間保存は避ける。
  • ペットに触れた後は十分な手洗いと、殺菌を行う。

関連記事:サルモネラ菌、採卵養鶏場4分の1で検出:養鶏協会調べ

体外受精児の健康、発育状態を追跡調査:厚生労働省

厚生労働省は、体外受精が子どもの成長に及ぼす影響を検証するため、生まれてから六歳になるまでの健康状態や発育状況を把握する初めての追跡調査に本年度から乗り出すことを決めた。

体外受精は晩婚化に伴う高齢出産や不妊夫婦の増加で年々普及。二〇〇四年には国内で約一万八千人が生まれた。同省は約八千人の調査対象者確保を目標に、体外受精で生まれた子の親に協力を求める。
先天異常の有無や、年齢ごとの知能、精神の発達状況などを各医療機関から国立成育医療センター(東京)に定期的に報告してもらい、集まったデータを同センターで一元管理することを検討している。

調査を担当する同省研究班の主任研究者・吉村泰典慶応大教授は「生殖補助医療は妊娠で終わりではなく、生まれてからが始まりだ。長期的に観察し、出生児への安全性という視点から医療のあり方を提言したい」としている。

体外受精は卵巣から取り出した卵子を培養液内で受精させ、受精卵=胚(はい)=を子宮に戻す不妊治療。妊娠率を上げるため複数の胚を同時に移植した結果、双子や三つ子を妊娠する「多胎妊娠」につながったり、胎児に先天異常の割合が高かったりするのではないかとの指摘も出ている。

同省は本年度中に調査対象となる母子の登録システムづくりに着手。出生児の保護者側に医療機関を通じ調査への参加を求める。(東京新聞)

体外受精とは
卵巣から取り出した卵子と、精子を体外で受精させる生殖医療の手法。卵管の機能上の問題や精子の運動性の問題がある時などに使われる。
微細な管で卵子に精子を注入する顕微授精は体外受精の一種。国内で体外受精によって生まれた子供は10万人を超え、生殖医療の現場では一般的な技術になっている。

関連記事:体外受精 移植受精卵の数を制限:多胎妊娠防止へ学会指針