厚生労働省は、胃酸分泌抑制薬「オメプラール錠」(一般名オメプラゾール)を、非びらん性胃食道逆流症(NERD)の治療適応薬として承認した。
オメプラゾールは、スウェーデン・アストラヘスレ社(現アストラゼネカ社)が開発した胃酸分泌抑制剤。胃壁細胞内のプロトンポンプという酵素の働きを阻害して胃酸の分泌を抑える。
日本では1991年1月、胃かいよう、十二指腸かいよう、吻合部かいよう、逆流性食道炎、ゾリンジャー・エリソン症候群の治療薬として承認された。
その後、逆流性食道炎の維持療法や胃かいよう・十二指腸かいようのヘリコバクター・ピロリ菌の除菌補助で追加承認されている。
非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、胃酸など胃の内容物が食道に逆流することで、胸焼けや胃液逆流感などの症状が現れる。しかし内視鏡検査では、食道粘膜の障害(びらんや潰瘍)が確認できない。
従来は、逆流性食道炎の軽症例として扱われていた。ただ胸焼け症状の程度は、必ずしも食道粘膜障害の程度とは比例せずに、胸焼けの症状で患者の「生活の質」が低下しているため、逆流性食道炎の軽症例とは別の疾患と位置付けられた。
国内の臨床試験では、食道粘膜に内視鏡的な異常をまったく認めない患者と、発赤や白色混濁が認められる患者の双方に、オメプラゾール10rを1日1回、4週間投与したら胸焼けなどの自覚症状が改善された。(くまにち)
非びらん性胃食道逆流症(NERD)とは?
非びらん性胃食道逆流症は、胃酸等の胃内容物の食道内への逆流によって胸やけを中心とした自覚症状を有するものの、内視鏡検査で食道にびらんや潰瘍等の粘膜傷害を認めない疾患です。
本疾患は、食道に粘膜傷害を有する逆流性食道炎と同様に、強い胸やけと顕著なQOLの低下を認めることが特徴であり、自覚症状を早く、確実に消失させ、症状のストレスを解放することが治療上、重要な課題となっています。