吸入型インスリン「エクスベラ」:中間解析結果は良好

エクスベラ(EXUBERA)吸入器

世界初となる吸入型インスリン「エクスベラ(EXUBERA)」を使用する糖尿病患者を対象にした長期臨床試験の3年目となる中間解析結果が、アメリカ糖尿病学会(ADA)の学術会議で発表された。

エクスベラを2年間使った糖尿病患者は肺機能が少し低下したものの、使用中断後1カ月で回復、安全性が確認された。

長期臨床試験は、1型と2型の糖尿病患者を対象に、それぞれ実施されている。

このうちU型糖尿病患者を対象にした試験は、潜在的な肺疾患がない患者でエクスベラの中止時と再開時の肺の安全性評価が、主要評価項目になった。

インスリン注射療法を既に試みていた成人のU型糖尿病患者627人を、エクスベラ投与群かインスリン注射療法継続群に無作為に割り付けた。
2年間の試験の後、エクスベラ投与を6カ月間中止し、その間はインスリン注射に切り替えた。その後、最初に無作為に割り付けされた療法を再び6カ月間続けた。

その結果、息を深く吸い込んだ後、思い切り吐き出した時の最初の1秒間で吐き出す息の量(1秒量)と、息を深く吸い込み10秒間止めて、息を吐き出した肺一酸化炭素(CO)拡散能を尺度に測った肺機能の平均低下は、対照群と比較して小さかった。肺機能はエクスベラ吸入後の早期に低下し進行せずに、使用中止後1カ月で回復した。

血糖値の長期管理の指標になるHgA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)は、エクスベラ群も対照群も、試験開始時は平均7.7%。3年後は双方とも約7.4%に低下、改善された。ただイクスベラ群の方が、試験期間中を通して対照群よりも空腹時血糖値が低かった。

エクスベラ(EXUBERA)について
エクスベラは、ファイザー社とネクター・セラピューティクス社が共同で開発した注射針を必要としない超速効型インスリンです。食前に携帯型の専用吸入器を使って口から吸い込みます。
この吸入器は、霧状のインスリン粉末を維持することができる噴霧器であり、インスリンを急速に血流に送り込んで体内の血糖値を調整します。

アメリカにおいては、エクスベラは1型か2型の糖尿病成人患者が血糖値をコントロールするための処方薬として承認されています。1型糖尿病の患者はエクスベラに加えて注射によるインスリン投与を必要とすることになります。
2型糖尿病の患者の中にもエクスベラに加えて注射によるインスリン投与を必要とする場合があります。

EU諸国においては、エクスベラは、インスリン療法を必要としており経口抗糖尿病薬では血糖値が適切にコントロールできない2型糖尿病の成人患者の治療用に承認されています。
ただし、症状が不安定な喘息患者や慢性閉塞肺疾患(COPD)患者、喫煙者、禁煙後半年以内の患者なども使用禁止となっています。なお日本国内では、第3相試験を実施中です。



コンパッショネートユース(CU)制度導入へ前進:厚労省検討会

厚生労働省の「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」(座長=高久史麿・自治医科大学学長)は29日、重い病気で他に治療法がない場合、国内では未承認の薬も使用できる制度を導入すべきだとの見解で一致した。7月下旬にも報告書として取りまとめる。

厚労省は今後、導入に向けた検討を始めるが、医療保険上の取り扱いや副作用被害が出た場合の救済制度の仕組みなど、検討が必要な課題が多数残っており、導入までには曲折も予想される。

報告書の骨子案によると、対象となるのは欧米で承認済みの医薬品のほか、国内や欧米で臨床試験を実施中か、臨床試験は終わったものの承認がまだ得られていない医薬品。
制度が示す条件に合えば、こうした未承認薬についても製薬メーカーが製造・輸入・販売できるほか、医師も単独で輸入することもできるとした。

現在は個人輸入されている未承認薬については、薬事法で規制できることになり、国は使用中止などの勧告をできるようになる。

欧米では同様の制度がすでに導入されているが、国内では未承認薬を使わざるを得ない場合でも、販売目的で製造、輸入をすることは禁止されている。
このため、海外ですでに承認されている抗がん剤や難病の治療薬などを使えないケースが多数起き、個人が自己責任で輸入するケースが相次いでいる。

たとえば、重い副作用が確認され、1962年に販売が停止されたサリドマイドは、多発性骨髄腫への治療効果が注目され、2000年ごろから個人輸入が急増。05年には約54万4000錠が輸入された。(YOMIURI ONLINE)

コンパッショネートユース(CU)制度について
重篤な疾病で代替治療法がない場合に限り人道的見地から未承認薬の製造、輸入、販売を許可する制度です。現在、厚生労働省は、海外で既に承認されている国内未承認薬の治験を推進するための取り組みや、治験のプロトコルに合わないために治験に参加できない患者さんのために、治験終了後から承認までの間でも、未承認薬(治験薬)を提供できる体制も整えています。

一方、こうした取り組みだけでは十分ではなく、医師や患者さんの中には、未承認薬を個人輸入して使用しているケースもありますが、個人輸入では品質確保などが難しいなどの課題も指摘されていました。

関連記事:未承認薬を一部解禁へ:ドラッグラグ深刻化を受け 厚生労働省

エコノミークラス症候群:飛行時間が4時間超えるとリスク倍増

世界保健機関(WHO)は29日、飛行機などに4時間以上乗ったまま体を動かさないと肺血栓を引き起こす「エコノミークラス症候群」になる危険が倍増するという調査結果を発表した。
長時間の搭乗を終えた後も、発症のリスクは約4週間続くため「短期間のうちに何度も搭乗を繰り返す場合は注意が必要」と呼び掛けている。

エコノミー症候群は「静脈血栓塞栓症」の通称。乗り物の中で長い間座ったままだと足の静脈に血栓ができやすくなる。血栓のかけらが肺まで届くと血管が詰まり、胸の痛みや呼吸困難を引き起こし、死に至ることもある。
発症を避けるためには体を動かし、足の上下運動でふくらはぎの筋肉を動かして血流を促すのが有効としている。

肥満や長身で座席が窮屈な人、床に足が届かない人は要注意と指摘。きつい洋服を着たり、経口避妊薬を服用しているとさらにリスクは高まるとしている。4時間以上の搭乗で発症するのは6000人に1人ほどの割合という。(NIKKEI)

静脈血栓塞栓症とは
静脈血栓塞栓症は、深部静脈血栓症(主に下肢の深部静脈に血栓ができる病態)と肺血栓塞栓症(深部静脈に形成された血栓が肺動脈に飛んで肺動脈が塞がれ、重篤な場合死に至る疾患)といった一連の病態の総称です。
近年、飛行機などによる長時間の移動中に発症したというニュースでも話題となっているエコノミークラス症候群は静脈血栓塞栓症の一病態です。

しかしながら、静脈血栓塞栓症は、実態としては病院において手術に伴って発症するケースが多くを占めます。
特に股関節置換術・膝関節置換術等の下肢の手術後は、深部静脈血栓症の発症率が34〜65%1)と高く、ひとたび急性肺血栓塞栓症を発症すると、死亡率は約30%とされ、死亡例の40%以上が発症1時間以内に死にいたる深刻な疾患2)です。発症してからでは救命が困難なため、その予防の重要性が指摘されています。

関連記事:エコノミークラス症候群、カボスに予防効果!?

パーキンソン病の遺伝子治療:脳内のGABA増殖で症状が改善

体のふるえなどが起きるパーキンソン病患者の脳内で不足する物質を、遺伝子治療によって増やし、症状を改善することに、米コーネル大学などの研究チームが成功した。
臨床試験の初期段階で、対象の患者は12人だけだが、治療から1年たっても効果は持続している。詳細は英医学誌ランセットに発表した。

研究チームは、神経の興奮を抑えるGABAという物質が、患者の脳内の視床下核という部分で不足することに着目。GABAの生成を促す酵素「GAD」の遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、視床下核に入れた。注入は、半身の左右どちらかをつかさどる部分だけに行った。

その結果、注入部位に対応する半身で、症状が12人とも緩和。パーキンソン病の重症度を表す点数が、注入前に比べて1年後には平均27%も下がった。ウイルスが細胞に感染し、GADを作り出しているらしく、副作用は見られない。(YOMIURI ONLINE)

パーキンソン病とは?
パーキンソン病とは、震えと筋肉のこわばり、緩慢な動作を主症状とする病気で、厚生労働省の難病(特定疾患)に指定されています。
パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる部位にあるドパミン(神経伝達物質の一種)を放出する神経細胞が消失するために、ドパミンが不足して起こります。ただ、神経細胞がなぜ消失するかはわかっていません。

パーキンソン病は症状が緩やかに進行しますが、治療をしないでいると10年ほどで食事や会話、入浴といった日常生活が不自由になり、介助なしには動けなくなります。

関連記事:パーキンソン病患者への遺伝子治療:自治医大病院

脳梗塞を静脈注射で治療:マウス実験で成果

細胞中に存在するタンパク質プロサイモシン・アルファを静脈に注射すると、脳梗塞による脳細胞の壊死が抑えられることを植田弘師・長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授(分子薬理学)らがマウスを使った実験で突き止めた。
生命科学専門誌「セル・デス・アンド・ディファレンシエーション」(電子版)に29日、発表した。
発症から時間が経過した後も有効で、将来の治療薬開発に役立つと期待される。

脳卒中による死因の多くを占める脳梗塞は、脳の血管が詰まり、酸素やブドウ糖の不足で細胞が壊死して起きる。救命できても手足のまひや言語障害などの後遺症が起きやすい。(shikoku.news)

脳梗塞とは?
脳梗塞とは、脳の動脈が詰まって、その先に血液が流れなくなる病気です。
その結果、血液から酸素や栄養を供給されていた脳細胞が、酸素や栄養不足で壊死してしまい、脳の機能が低下したり、失われたりします。
2004年に読売ジャイアンツの長島茂雄・終身名誉監督が脳梗塞で倒れ、現在もリハビリを続けておられますが、病気と向き合うその姿勢に励まされた患者さんも多いと思います。

脳梗塞には、脳血栓と脳塞栓の2種類があります。脳血栓は、好血圧や高脂血症、糖尿病などによるアテローム硬化(動脈硬化)のために生じた血栓が、脳動脈に詰まるものです。
一方、脳塞栓は、おもに心臓病のために心臓の弁に発生した血栓がはがれて、脳動脈を詰まらせるものです。

脳梗塞の症状
脳血栓では、めまいや左右どちらかの足の痺れが繰り返し起こって、やがてろれつが回らなくなったり、顔面や手足など体の片側の麻痺が出てきたりします。
脳塞栓では、脳血栓と同じ症状が、前触れなしに突然起こるのが特徴です。

診断では、X線CTやMRIなどで脳の検査をします。時間経過が少ないときは、X線CTなどでわからないこともありますが、発作後24時間以上経過すれば病変の確認は容易になります。
このほか頭部血管造影やMRA、心電図などの検査が行なわれることもあります。

たんぱく質「ラブ8(Rab8)」が栄養分の吸収に重要な役割

小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーターなどの分布を決めているたんぱく質を、群馬大生体調節研究所などのグループが突き止めた。
生後間もなく栄養が吸収できなくなる病気の治療への応用や、同たんぱく質の機能調整で栄養吸収を抑制し肥満改善に役立つ可能性があるという。研究成果は28日、英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載される。

小腸から栄養素を細胞に送り込むトランスポーター(たんぱく質)や酵素は小腸内壁に集中して分布している。一方、分布を決めている物質は特定されていなかった。

同グループの実験では複数の候補物質のうち「ラブ8(Rab8)」というたんぱく質をなくしたマウスが栄養失調になり、生後3〜4週間で死んだ。このことから「ラブ8(Rab8)」を失うと、小腸内壁に集中分布するトランスポーターや酵素が細胞内部にとどまったまま機能せず、糖分やアミノ酸をほとんど吸収しなくなった。

これは、小腸内壁細胞の絨毛が萎縮する先天性疾病「微絨毛萎縮症」とよく似た症状で、実際、同症患者の小腸細胞ではラブ8が大幅に減っていた。
同グループは「さらに研究の余地がある」としながらも、ラブ8の機能を抑える薬品を開発できれば、肥満改善に役立つと期待している。(毎日新聞)

微絨毛萎縮症とは?
微絨毛萎縮症とは、細胞表面の微絨毛が萎縮を起こすために栄養が十分に吸収できず、出生直後に下痢をおこし、脱水と栄養失調を呈する栄養吸収障害性の疾患です。
このような微絨毛萎縮症をはじめとした小児の吸収障害には難治性のものが多く、その根本的な治療は小腸移植が主に行われてきました。
しかし、移植はコストや倫理上の問題を多く含むため我が国では盛んに行われているとはいいがたい状況です。またその高い費用から誰にでも適用できる治療法ではありません。

慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬「タシグナ」を承認申請へ

ノバルティスファーマは、「グリベック」(一般名:メシル酸イマチニブ)抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬として「タシグナ カプセル200mg」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)の製造販売承認申請を行ったと発表した。
「タシグナ」は、現在スイス、米国、EUなど世界30ヵ国以上で承認申請中。

CMLは、緩徐に進行する血液と骨髄の疾患。現在CML治療の第一選択薬として位置づけられている「グリベック」は、高い治療効果を示すことが証明されているが、治療で十分な効果が得られない、又は得られていた効果が消失してしまう治療抵抗性の患者も存在していた。
さらに、副作用によってグリベックの治療を中止するか、標準用量のグリベックの治療が行えないために十分な効果が得られないグリベック不耐容の患者も認められており新しい治療法が望まれていた。

今回、承認申請された「タシグナ」は、経口投与可能な新規チロシンキナーゼ阻害剤。
「タシグナ」は、CMLの原因である変異型のBcr-Ablチロシンキナーゼに対する親和性の向上を目的として理論的に分子設計された薬剤であり、グリベック抵抗性のBcr-Abl変異体に対しても阻害効果を示したという。
海外及び国内において、グリベック抵抗性又は不耐容のCML患者を対象とした臨床試験を実施した結果、「タシグナ」はグリベック抵抗性及び不耐容の患者のいずれに対しても同様に効果が認められ、グリベック不耐容の患者の多くにおいて継続投与が可能だった。

慢性白血病について
慢性白血病はいつ発症したかわからないことが多く、ゆっくりと進行します。
「慢性骨髄性白血病」と「慢性リンパ症白血病」がありますが、日本では大部分が骨髄性です。
診断では、血液検査で、赤血球、白血球血小板の数を調べるとともに、白血球の種類やその中にどれくらい未成熟な白血球が含まれているかなどを確認します。白血病であれば白血球の割合が増大し、赤血球、血小板の比率が低くなります。
また、骨髄穿刺では、ほとんどの場合、フィラデルフィア染色体という特殊な染色体が検出されます。

慢性骨髄性白血病は、発症しても5年以上は症状がほとんどあらわれません。症状が出てくるようになると、全身の倦怠感、貧血、腹部の晴れ、体重減少などがみられます。
慢性リンパ性白血病では、リンパ節や脾臓が腫れています。進行すると、貧血や血小板減少などが起こり、免疫不全による感染や出血、自己免疫疾患などが起こってきます。

骨髄性の場合は、抗がん剤などを用いた薬物療法と化学療法を用います。より確実な治療法は、骨髄移植です。リンパ性の場合は、初期には余り治療を行なう必要はありません。
症状が出てきたら、抗がん剤を用いますが、合併してくる免疫不全などの治療も大切となります。
また白血病は、よくなったと判断されても、再発するケースが多く、定期的な検査が欠かせません。

関連記事:グリベック(イマチニブ)投与でGISTの再発率が低下

幹細胞移植でラットの聴力回復:メニエール病の治療に期待

様々な細胞に分化する幹細胞を難聴のラットの内耳に移植し、聴力を回復することに、厚生労働省研究班(主任研究者=松永達雄・国立病院機構東京医療センター室長)が成功した。
難聴や激しいめまいがおこるメニエール病の治療法の開発に道を開くもので、米病理学誌最新号で報告した。

音を脳神経に伝える内耳には、音を電気信号に変えるのに必要な細胞(線維細胞)と信号をセンサーのように感知する細胞(有毛細胞)がある。
難聴は、こうした細胞が何らかの原因で死んでしまって起こる。しかし、センサー役の有毛細胞に幹細胞を移植しても、聴力は回復しなかった。
松永室長らは、有毛細胞が生きていて、線維細胞だけが死んでいる難聴に着目。線維細胞を人工的に死滅させたラットの内耳に、骨髄から採取した幹細胞を移植し、聴力が回復するか試した。

その結果、半数のラットで幹細胞が生着し、線維細胞と同じたんぱく質を作ることを確認。
2週間後、聴力を比較したところ、何もしない7匹のラットの聴力の自然回復は平均37%だったのに対し、幹細胞が生着したラット6匹は平均60%まで向上した。線維細胞の障害や異常は、健康な人の聴力が突然落ちる「突発性難聴」や、メニエール病に関係していると指摘される。
松永室長は「慢性化した難聴でも、音を感じる細胞や神経が生きていれば、幹細胞の移植で聴力が回復するかもしれない」と話している。(YOMIURI ONLINE)

メニエール病とは?
メニエール病とは、聴覚や平衡感覚をつかさどる内耳の障害により、耳鳴りや難聴をともなう回転性のめまい(ぐるぐる回る感じがして立っていられない)が繰り返し起こる病気です。
発作は数時間でおさまりますが、繰り返していくうちに難聴だけが回復しなくなり、進行していきます。

内耳にリンパ液がたまりすぎるのが原因のひとつとされていますが、どうしてリンパ液がたまるのかはわかっていません。ストレスや過労が発作の引き金になるといわれています。
なおこの病名は、耳の病気で起こるめまいを発見したメニエールというフランス人医師に由来しています。

問診により上記の症状があれば、メニエール病が強く疑われます。平衡機能検査、頭部CT検査、耳のX線検査などが行なわれる場合があります。

メニエール病の治療
発作が起こったときは、横になって安静にします。薬物療法としては、鎮静薬、ビタミン剤、血管を拡張するための薬などを用います。
難聴が進行する場合は、内耳のリンパ液を取るための手術を行ないます。

不整脈治療剤「タンボコール」が適応拡大へ:エーザイ

エーザイは、不整脈治療剤「タンボコール」が発作性心房細動・粗動の適応追加の承認を受けたと発表した。発作性心房細動とは、頻脈性不整脈のうち心房内に多数の不規則な興奮が発作的に発生した状態のことをいう。
一方、心房内に規則的な興奮が発作的に発生した状態を発作性心房粗動といい、ともに激しい動悸を引き起こすだけでなく、心原性脳塞栓症を引き起こすリスクを有している。
心房に問題がある不整脈の国内患者数は100万人以上とされており、高齢化に伴って今後も増えるとみられている。

タンボコールは、心筋のナトリウムチャネル遮断作用により、発作性心房細動・粗動を抑制あるいは予防し、1日2回の服用で安定した効果を得られるという特長を有している。

タンボコールの副作用
心臓の刺激伝達系に直接作用し、その作用が強い薬なので、とくに注意が必要です。
服用のしかたを間違えると、かえって心臓の機能を悪化させることさえあります。
吐き気、腹部不快感、頭痛、ふらつき、ときに重篤な不整脈、Brugada症候群といわれる特有の心電図変化、肝障害などが起こることがあります。

不整脈とは?
正常な脈拍数を毎分50〜100として、これを逸脱するものを広く不整脈と呼んでいます。
治療の必要がないものもありますが、重い心臓病の兆候や突然死に繋がるものもあるので、きちんと検査を受けることが大切です。特に最近では、絶対不整脈を呈する心房細動が多く、心臓でできた血栓が脳梗塞の原因となるので注意が必要です。

不整脈の症状としては、動悸や胸部の不快感、息切れ、めまい、倦怠感などがみられます。ただし、症状があらわれない場合も少なくありません。

脈拍をみれば不整脈の存在がわかりますが、正確な診断のために心電図を調べます。
また、不整脈は常に現れるわけではないので、通常の心電図でわからないこともあります。その場合は、ホルター心電図が有効です。
なお、原因となる疾患の有無を探るためには、胸部X線単純撮影や心臓超音波などを行ないます。

緊急医師派遣制度を初適用:5県に医師7人を派遣へ

厚生労働省は26日、国による緊急医師派遣制度の初のケースとして、近く北海道、岩手、栃木、和歌山、大分の1道4県にある6病院に計7人の医師を送り出すことを明らかにした。

派遣先は北海道社会事業協会岩内病院(内科)、岩手県立大船渡病院(循環器科)、岩手県立宮古病院(循環器科)、栃木県の大田原赤十字病院(内科)、和歌山県の新宮市立医療センター(産婦人科)、大分県の竹田医師会病院(救急)。
人数は宮古病院が2人、ほかの5病院は1人ずつ。いずれも医師不足が深刻だとして道や県が派遣を要請した。

派遣する医師は国立病院機構日本赤十字社から選ばれ、8月ごろまでに着任。派遣期間は3−6カ月間となる。

厚労省は11日、政府、与党がまとめた緊急医師確保対策の一環として、医師派遣のルールを公表。国に派遣を求めるための条件として「過去6カ月以内に休診に追い込まれた診療科がある」ことなどを定めた。(さきがけon the web)

緊急医師派遣制度における医師派遣先の要件

  1. (都道府県をブロック別に分けた)二次医療圏内の中核病院
  2. 過去六カ月以内に休診に追い込まれた、もしくは今後六カ月以内に休診に追い込まれる診療科がある
  3. 大学に派遣を依頼したり、求人広告を出しても医師を確保できない−など。

これらの要件について都道府県の医療対策協議会が検討し、派遣が必要と判断した場合に厚労省に要請。同省などがあらためて必要性や優先順位を検討します。
派遣のための人材は国立病院機構や日本赤十字社など全国に病院を持つ組織にリストアップしてもらうほか、医療機関を退職した医師からの公募も行ないます。複数の医師によるローテーション制や、退職医師への研修を行うことも検討するとしています。

受動喫煙で認知症の発症リスクが3割増:米国神経学会

他人のたばこの煙に長年さらされると、認知症のリスクが高まることが、米カリフォルニア大バークレー校のタデウス・ヘイト氏らの調査研究で分かった。受動喫煙と認知症に関する調査は初めてとみられ、先月開かれた米国神経学会で発表された。

この研究は、認知症でない65歳以上の男女約3600人を対象に、喫煙や心血管疾患の有無などを調査。心血管疾患のない非喫煙者985人(うち受動喫煙者495人)を6年間追跡し、認知症の発症率を調べた。

この結果、30年以上受動喫煙しているグループは、受動喫煙していないグループと比べ、認知症発症のリスクが約3割高かった。脳に血液を供給する頸動脈に異常がある場合、この傾向がより顕著であることも分かった。30年以上受動喫煙していて頸動脈の異常がある人は、受動喫煙も異常もない人の2.4倍のリスクだった。(時事通信)

受動喫煙とは?
タバコを吸わない人が、自分の意志とは関係なくタバコの煙を吸わされることを「受動喫煙」といいます。タバコの煙は、本人が吸っている煙(主流煙)と火のついた部分から立ち上がる(副流煙)があります。有害物質は主流煙より副流煙の方が高い濃度で含まれています。

近年の研究では、主流煙を1とすると副流煙にはタールが3.4倍、ニコチンが2.8倍、一酸化炭素が4.7倍、二酸化炭素1.3倍、アンモニアが46.0倍(!) 、窒素酸化物が3.6倍の量がそれぞれ含まれていることがわかってきました。
副流煙は、上記に示すとおり主流煙よりはるかに有害です。
タバコを吸っていないからといって安心ではありません。受動喫煙によって、タバコを吸わない人も健康被害を受けています。

関連記事:受動喫煙が注意欠陥・多動性障害(ADHD)の一因の可能性

ウコン、クロレラがC型肝炎に悪影響:垣内雅彦三重大准教授ら

ウコン、クロレラなどの健康食品の一部に、表示のないまま平均摂取量を上回る鉄が含まれており、摂取していたC型慢性肝炎患者の病状改善を妨げるケースのあることが、垣内雅彦三重大准教授(肝臓内科)らの研究で分かった。
25日発売の「読売ウイークリー」(7月8日号)で詳報する。

鉄は健康なら過剰摂取の心配はない。だが、国内に約200万人いるC型肝炎患者の場合、肝臓に蓄積する恐れが高い。過剰な鉄は、活性酸素を作り、肝細胞を壊したり、がん化を進めたりする。
垣内准教授らは、同大付属病院で治療中のC型肝炎患者が日ごろ摂取している健康食品67品について鉄含有量を調べた。
その結果、クロレラ商品(錠剤)の一つでは、100グラム中138・3ミリ・グラムで、1日当たりの摂取量を計算すると11・1ミリ・グラムとなり、成人男性の1日の平均摂取量の8・1ミリ・グラムを上回った。

ケール商品(錠剤)の一つで100グラム中127・2ミリ・グラム、マルチビタミン剤で同118・7ミリ・グラムというケースがあり、秋ウコンのある商品でも同22・4ミリ・グラムという結果が出た。
垣内准教授らが目標に掲げるC型肝炎患者の鉄摂取量は「1日6ミリ・グラム以下」。健康食品11品で鉄を1日推計8・5ミリ・グラム取っていた患者は、健康食品をやめただけで肝機能の数値が改善したという。(YOMIURI ONLINE)

C型肝炎について
C型肝炎は、感染した人の約3/4がキャリア(肝炎を発症しないでウイルスが持続的に存在している状態)になり、そのまた3/4の人がウイルスを退治しきれずにC型慢性肝炎になります。
慢性肝炎では症状がみられないことが多く、肝炎が悪化したときに、だるさ、食欲不振、軽い黄疸などがみられ、その状態を繰り返します。
慢性肝炎の中の約半数が肝硬変へと進み、その一部に肝臓がんが発生します。

C型肝炎ウイルスの感染の有無は、スクリーニング(ふるいわけ)検査としてHCV抗体を調べます。
C型肝炎ウイルスに感染していることが確定したら、次に病気がどのレベルまで達しているかを調べることが大切です。
各種血液検査、腹部超音波検査、CT検査が有用ですが、さらに肝臓そのものを見る腹腔鏡検査や肝臓の組織を見る肝生検で、より正確な肝臓の状態を把握することができます。

スギ花粉症緩和米:6〜7年をめどに医薬品として商品化へ

農業生物資源研究所(茨城県)は、遺伝子組み換え技術によるスギ花粉症緩和米を医薬品として開発する計画を発表した。
この米はアレルギーの原因となるスギ花粉のアミノ酸配列を作る遺伝子を導入しており、数週間食べると、花粉への反応が下がることがマウスの実験で確認されている。

計画では、7月に田植えをして10月下旬に30−40キロを収穫。これをマウスなどに食べさせる動物実験で安全性を確かめる。安全性が確認されれば来年以降、人への効果や安全性も明らかにしていくという。

商品化には少なくとも6、7年かかる見込みで、同研究所は製薬会社にも協力を呼び掛ける。
同研究所は当初、食品としての開発を目指し、2005年から2年間、栽培して動物実験で安全性を確認した。だが厚生労働省が今年1月「食品でなく医薬品として扱うべきだ」と判断したため、医薬品としての開発に方針変更した。(神戸新聞)

花粉症緩和米とは?
スギ花粉症を引き起こすたんぱく質(アレルギー物質)の一部の遺伝子を米に組みこんでいます。
アレルギー物質を繰り返し注射することなどで症状を緩和する「減感作療法」と同じような仕組みで花粉症の治療効果が期待されています。注射の代わりに米を食べればよく、負担が軽くなるとされています。

花粉症とは?
アレルギー反応によって鼻炎の結膜炎のうち、スギなどの花粉がアレルゲン(抗原)となるものを花粉症といいます。
最もよく知られているのがスギ花粉ですが、そのほかヒノキやシラカバ、ブタクサ、ヨモギなどがアレルゲンとなる場合もあります。これらの花粉が鼻や目の粘膜に付着し、アレルギー反応によって炎症を引き起こします。

鼻炎症状としては、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが発作的に繰り返し起こります。目の症状はかゆみや涙などがあげられます。花または目の症状だけのこともありますが、多くは両方の症状が現れます。

ピクノジェノール効果に熱視線:美肌、老化防止、ED改善も

フランス南西部の海岸に生育する松の樹皮から抽出される成分「ピクノジェノール」が注目されている。血糖値低下や悪玉コレステロール減少、抗アレルギー、肩こりやむくみ軽減、美肌といった幅広い機能をもつとされ、カネボウ化粧品小林製薬などが、これを配合したさまざまな化粧品、健康食品を商品化。女優の杉本彩さんら愛用者の口コミ効果もあって、関連市場が拡大している。

インドネシア・バリ島で開催されたピクノジェノールの国際セミナーには、日本を含む世界13カ国から医師やメーカー関係者ら93人が参加し、最新の研究成果を発表。欧米で35年以上も研究され、安全性と有効性が実証されているだけに、エビデンス(科学的根拠)を重視する専門家たちも、その機能性に大きな関心を寄せている。

ピクノジェノールは、老化の原因となる活性酸素を除去するプロシアニジンなど40種類以上のフラボノイドを含み、強力な抗酸化作用と血流改善作用をもつのが特徴。スイスに本社を置くホーファーリサーチが機能性食品原料として独占的に製造している。

日本でもこの1月、鈴木信孝・金沢大大学院教授を会長とする「ピクノジェノール臨床研究会」が発足し、医学や栄養学の専門家による臨床研究がスタートした。代替医療の一環として利用する医師も出始めている。

カネボウ化粧品のピクノジェノール配合保湿液「アクアリーフ AODエッセンス」の開発を監修した、らら女性総合クリニック(横浜市)の松村圭子院長は「5年前から主に婦人科系疾患の臨床で使用している。美肌などの美容効果も評価したい」とし、需要の高まりを予測する。

バリ島のセミナーでは、勃起機能障害(ED)への改善効果をイタリアのラクイア大学のアンドレア・レッダ教授が発表して話題となった。
この機能に早くから着目していた小林製薬は、ピクノジェノールと、代謝を促すアミノ酸であるアルギニンを配合した栄養補助食品「EDICARE(エディケア)」を発売。
ホーファーのジェフ・ストロング学術担当ディレクターは、「これまで日本には(ピクノジェノールを配合した)ED対策商品が存在しなかったが、これで知名度は一気に上がるだろう」とみている。(Fuji Sankei Businessi)

メモ
色々調べてみると、ADHD(注意欠陥多動性障害)への効果がアメリカで認められ、特許も得ていたり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる血栓予防する作用が確認されていたり(こちらも特許取得)、生理痛や子宮内膜症による痛みに対する効果と、あらゆる分野に効能を発揮するようです。
ピクノジェノールはホーファー・リサーチ社が独占生産しているので、他の多くの健康食品のように製法や産地を比較する必要がないので、「○○が一番含まれているのは△■産です」とかいう宣伝文句に踊らされることもないでしょう。
杉本彩が胸元をバーンと出して、色目使いで宣伝しなくてもこれは売れますよ(笑)

代理出産の容認派が5割を超える:厚生労働省による意識調査

生殖補助医療について厚生労働省が実施した国民の意識調査で、子どもをほかの女性に産んでもらう代理出産を「社会的に認めてよい」とした人が54%にのぼったことが21日わかった。「認められない」は16%にとどまった。
代理出産の是非などを巡っては、厚労省などの依頼で日本学術会議が年内にも結論を出す予定で議論を進めており、今回の調査結果は影響を与えそうだ。

調査は3月、一般国民(20〜69歳の男女)5000人と小児科や産婦人科の医師らを対象に行った。一般国民への調査では、約3400人から回答を得た。
その約半数が代理出産を容認した一方で、「第三者の卵子を用いた体外受精」や「第三者の精子による人工授精」を認める回答は4割弱で、代理出産が最も強く支持されていた。

ただ、自分が子どもに恵まれない場合の代理出産については「利用したい」が10%、「配偶者が賛成したら利用したい」が41%。これに対し「配偶者が望んでも利用しない」も48%おり、より慎重な傾向がうかがえた。

代理出産をしてもらう女性は誰がいいか(複数回答)は「姉妹」が38%で最も多く、「分からない」が34%。「仲介業者から紹介される女性」28%、「母親」16%だった。(asahi.com)

代理出産とは?
妻が病気で子宮を摘出するなどして子どもを持てない夫婦が第三者の女性に子どもを産んでもらうことをいいます。タレントの向井亜紀さんのように、妻の卵子と夫の精子を使う場合と、夫の精子を第三者の女性の卵子と体外受精する場合などがあります。

日本産科婦人科学会は代理出産を禁じ、厚生労働省も妊娠・出産に対するリスク問題の観点から認めないという立場でしたが、法制化されていないのが現状です。
向井亜紀さんのケースでは、今年3月、最高裁において、「立法による速やかな対応が強く望まれる」としながらも、東京都品川区の出生届の受理を命じた東京高裁決定を破棄し、受理は認められないとする決定を下しています。
大半の人は海外で得た出生証明書を基に日本で実子として届け、受理されています。

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緑内障・高眼圧症治療剤「ミケランLA点眼液」が発売

大塚製薬千寿製薬は、1日1回点眼の持続性製剤、緑内障・高眼圧症治療剤「ミケランLA点眼液1%、2%」(一般名:カルテオロール塩酸塩)を7月3日に発売すると発表した。

「ミケランLA点眼液1%、2%」は、アルギン酸を添加することで薬剤の眼表面での滞留性を向上させ、眼内移行量を高めることにより1日1回点眼で眼圧コントロールを可能にした持続性点眼液。
更に、点眼時の使用感が従来の「ミケラン点眼液」と変わらないため、患者の点眼に対するコンプライアンスが高まることが期待されている。

緑内障・高眼圧症治療剤であるカルテオロール塩酸塩点眼液は、大塚製薬が開発し、1日2回点眼製剤として「ミケラン点眼液1%」及び「ミケラン点眼液2%」を発売、現在、海外48カ国で承認を取得し、広く医療現場で使用されている。
「ミケランLA点眼液」は、「ミケラン点眼液」と同様に大塚製薬と千寿製薬がコマーケティングを行う。

緑内障は年齢とともに視野障害が徐々に進行し、しかも失われた視野は元にもどらないため、生涯にわたり継続的に眼圧をコントロールする必要がある。
このため、薬剤の選択では、眼圧下降効果及び安全性に加え、点眼液の使用感が患者のコンプライアンスを高め、失明に至るリスクを軽減する重要な要因になることから、忍容性の良い持続性点眼液が求められていた。

関連記事:緑内障の進行をアルツハイマー病治療薬で抑制:東京医科歯科大

緑内障の進行をアルツハイマー病治療薬で抑制:東京医科歯科大

日本人の緑内障の7割を占める「正常眼圧緑内障」の進行を、アルツハイマー病の治療薬で抑えることに、東京医科歯科大の研究グループが、動物実験で成功した。
緑内障による失明の予防などにつながる研究成果で、米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版に掲載された。

緑内障は、視神経が損傷し、視野が次第に狭くなる病気。日本人の失明の原因のトップで、国内の患者数は約400万人。眼球の圧力(眼圧)が高くなると発症するタイプと、正常眼圧で起こるタイプがある。

同大の田中光一教授(分子神経科学)らは、マウスの網膜に、視神経に光の情報を伝えるアミノ酸の一種、グルタミン酸が異常に蓄積すると、視神経が損傷することに着目。余分なグルタミン酸を排除する機能をなくすと、マウスは、人間と同じ正常眼圧の緑内障を起こすことがわかった。

このモデルマウスに、欧米で認可されているアルツハイマー病治療薬(メマンチン)を1日1回、1週間注射すると、何もしないマウスは網膜の視神経の細胞が20%失われたのに対し、注射したマウスは3%の損傷に抑えられた。(YOMIURI ONLINE)

緑内障とは?
眼球内を循環する房水の流れが悪くなり、眼圧が高まって視神経が障害される病気です。
緑内障は急性緑内障と慢性緑内障に分けられます。急性の場合は、眼圧が急に高くなって、視力が衰え、眼の痛みや頭痛、吐き気、嘔吐などの症状があらわれます。
慢性の場合は、自覚症状が少なく、慢性に経過しますが、放置すると徐々に視力が低下し、視野が狭くなり、失明することもあります。

眼圧検査で眼圧が高いこと、眼底検査で網膜の視神経乳頭という箇所に陥凹があること、視野検査で異常があることの3点が確認されれば、緑内障と診断されます。
ただし、眼圧が基準内(21mmHg未満)の正常眼圧緑内障のほうが日本人には多いので、検査が大切です。

関連記事:緑内障・高眼圧症治療剤「ミケランLA点眼液」が発売

抗精神病薬「エビリファイ」の12mg錠が発売:大塚製薬

大塚製薬は、統合失調症などを対象とした抗精神病薬「エビリファイ」(一般名アリピプラゾール)の12mg錠を27日に発売すると発表した。
エビリファイは、既に発売されている3?錠、6?錠、散在1%のラインナップと合わせて4種類となり、今回の12mg錠の発売により、これまでよりも少ない錠剤数での服薬量調整が可能となった。7月からは1回14日分を超える長期処方が可能になる。

エビリファイ(ABILIFY)

統合失調症は、脳内の神経伝達物質の一つドーパミンの異常によって起こると考えられている。
エビリファイは、脳内でドーパミンが大量に放出されている時は抑制的に働き、少量しか放出されていない時には刺激する方向で作用する。眠気や体重増加がきたしにくいとされており、長期の継続服用が可能としている。

エビリファイは、大塚製薬が開発し世界で初めて米国で販売承認を取得、現在では国内を含め45カ国・地域で販売されている。2006年の全世界での売上高は2200億円超で同社の全売上高の約40%を占める主力製品となっている。

統合失調症について
統合失調症は、精神疾患の中でも最も慢性・消耗性の疾患で、世界人口の約1%が罹患していると言われています。統合失調症では、明晰な思考、感情のコントロール、決断、他者との繋がり、といった患者の社会的能力が阻害されます。

成人期初期に発病(発現)することが多く、幻覚や妄想といった陽性症状と社会的引きこもりや感情鈍磨といった陰性症状が特徴的です。 アメリカでは、200万人以上の人が統合失調症を罹っていますが、服用している薬剤を頻繁に変更する患者が少なくありません。
薬剤を変更する主な理由として、治療の効果が不十分なことや、体重増加や錐体外路系症状などの抗精神病薬による副作用が現れることが挙げられます。

ビタミンDの摂取量を高めるとがんリスクが軽減:米大学グループ

クレイトン大学(ネブラスカ州)の研究者らは、ビタミンDの摂取量を高めることにより、乳がんをはじめとするがんのリスクが劇的に軽減されるとする研究内容を発表した。
同大医学看護学部のコーン・ラッペ教授らは、研究開始前10年間にがんに罹患していない閉経後の女性1,179人を対象に、カルシウム(サプリメント)1日1,400〜1,500mg摂取群、カルシウム+ビタミンD 1日1,100IU(国際単位)併用摂取群、プラセボ摂取群の3群に割り付け、4年間追跡調査を行った。

4年後、カルシウム+ビタミンD 併用群はプラセボ群に比べがんの発症リスクが60%低く、カルシウム単独群では47%低かった。また、研究開始時に未診断の癌患者が含まれていたことを考慮して初年のデータを削除し、3年間での結果をみると、併用群の罹患リスクはプラセボ群に比べ77%低くなり、カルシウム単独群では変化はなかった。試験期間中に50人が皮膚以外のがんに罹患、乳がんが最も多く、肺がんや大腸がんもみられた。

他の研究でも、高用量ビタミンDとカルシウムの併用により閉経前女性の3分の1で乳がんリスクが低減することが示されている。研究グループは、ビタミンDの高用量摂取が1型糖尿病や高血圧症などと同様に、多くの種類のがんリスクを軽減することが明らかにされていることから、現状のビタミンDの1日推奨摂取量(51-70歳成人では400IU)を改め、閉経後女性では1日1,100IUまで高めることを進言している。

これに対し、米国癌協会(ACS)は「研究結果は興味深いが、被験者数が少なく、確実な結論を下す前に再現性の確認が必要であり、がんリスクの軽減目的でビタミン摂取を勧めるには時期尚早」と述べている。研究報告は、米医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」6月号に掲載された。(HealthDay News)

ビタミンDについて
食べ物からとったビタミンDは、肝臓と腎臓の酵素によって活性化ビタミンDに変換されます。
活性化ビタミンDは小腸でカルシウムとりんの吸収を促すため、血液中のカルシウム濃度が高まり、骨の形成が促進されます。

血液中のカルシウムは神経伝達や筋肉の収縮という重要な働きに関わるため、常に一定濃度に保つ必要があります。そのコントロールを行なうのも活性型ビタミンDの役目です。
血液中のカルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンなどと協力して小腸粘膜に作用し、腸管からカルシウム吸収を促進したり、骨からカルシウムをと貸し出したりしています。

ビタミンDが欠乏すると、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症になります。
子供では成長障害が起こり、背骨や足の骨が曲ったり、O脚、くる病になります。高齢者や閉経後の女性の骨粗しょう症の原因にもなります。

前立腺がん適応でタキソテールを優先審査品目に指定

サノフィ・アベンティスは、国内で承認申請中の抗悪性腫瘍剤 「タキソテール(一般名:ドセタキセル 水和物)」が厚生労働省より優先審査品目に指定されたと発表した。
同社は今年2月にホルモン不応性転移性前立腺がんの効能又は効果(適応症)を追加するため、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行っていた。

タキソテールは、2004年に欧米で承認されて以来、プレドニゾンとの併用療法としてホルモン不応性転移性前立腺がん治療の標準療法となっている。
海外での大規模臨床試験では、タキソテールを含んだレジメンは他のレジメンと比較して、生存期間の延長および生活の質(QOL)の向上に貢献していることを示していた。
しかし、日本国内においては、保険適用のある有効な薬剤の選択肢は決して多くなく、日本癌治療学会日本泌尿器科学会及び日本臨床腫瘍学会から速やかな審査・承認の要望書が厚生労働省に提出されていた。

タキソテールは、1996年、日本で初めてタキソイド系抗悪性腫瘍剤として、乳がんと非小細胞肺がんに対する治療薬として承認を取得。2000年には胃がん、頭頸部がん、卵巣がん、2004年には食道がん、2005年には子宮体がんの追加適応を取得し、現在7がん腫で使用されてい る。

前立腺がんについて
前立腺がんは、欧米ではとても頻度の高いがんです。日本でも増加傾向にあり、今後、食生活の欧米化や人口の高齢化を考えると、さらに増えていくと思われます。
50歳以降から加齢とともに増加する、男性の高齢者のがんといえます。

前立腺がんは、初期では無症状のことも少なくありません。進行すると、尿路通過障害として排尿困難や頻尿、残尿管などが現れます。
膀胱や尿道まで浸潤すると、排尿痛や血尿が出ることがあります。

前立腺がんの診断には触診(直腸内指診)が重要で、肛門から指を挿入して病変の有無を確認することができます。腫瘍マーカーは前立腺特異抗原であるPSAやPAPが使用されていて、診断や治療効果の判定に重視されています。

これらの初期診断でがんが疑われたら、前立腺超音波や膀胱尿道造影を行ないます。
似たような症状を示す前立腺肥大症や前立腺炎との鑑別が大切で、診断が難しい場合には、超音波で病変を確認しながら細胞を採取して、病理検査を行ない診断を確定させます。