大阪大学発ベンチャーの製薬会社、アンジェスMG(大阪府)は18日、遺伝子治療薬の承認を早ければ年内にも厚生労働省に申請することを明らかにした。同社によると、遺伝子治療薬の承認申請は国内で初めてという。
申請する薬は、糖尿病などによる動脈硬化で足の血管が詰まる「閉塞性動脈硬化症」を治療する新薬。遺伝子を含んでおり、筋肉に注射することで、新たに血管をつくる作用がある。
臨床試験では、投薬した患者の約7割で症状が改善、有効性が認められたという。
アンジェスMGは2002年9月、大学発ベンチャーとして初めて東京証券取引所マザーズに上場。この遺伝子治療薬をめぐっては、臨床試験を担当した大阪大教授らが同社の未公開株を取得していたことが分かり、問題となった。(四国新聞)
閉塞性動脈硬化症とは?
閉塞性動脈硬化症は、手足の末梢動脈が詰まる病気のことで、患者数は約50万人とされています。50歳以上の中高年男性に多く、脂肪分の多い食生活の影響などで患者数は年々増加傾向にあります。
症状は足に現れ、血行不良から足が冷たくなったり、歩くと痛む「間欠性跛行(はこう)」という症状が出たりします。血管が詰まって、壊死(えし)し、切断を余儀なくされる患者も2%います。
治療の第一歩は、病気を悪化させる危険を減らすことです。喫煙、糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満、運動不足、ストレスなどの改善が重要で、禁煙は絶対とされています。
それでも症状が改善しない場合、運動療法や薬物療法が行われます。運動療法では、自転車こぎなどの運動を1日30分程度、週3回。薬物療法は、血液をサラサラにする抗血小板薬を服用します。
これらの治療で十分な効果が得られない場合、足の付け根の動脈などに細い管(カテーテル)を挿入し、管の先に付けた風船を膨らませたり、金網の筒(ステント)を置いたりして狭くなった血管を広げる「血管内治療」が行なわれます。