7対1制度で新卒看護師が大病院に集中:地方の看護師不足に拍車

日本医師会(日医、唐沢祥人会長)は4日、昨春の診療報酬改定で看護師の手厚い配置区分が新設されたのに伴う影響の調査結果を発表した。
新設された最も手厚い「入院患者7人当たり看護師1人」の病院に勤務する看護師の比率は、看護師全体の26・6%で、昨年12月の21・5%より5・1ポイント増加。全国の医療機関で看護師争奪が繰り広げられ、新卒看護師の多くが「7対1」を届け出ている大規模病院に吸収されたとしている。

日医は「地方の小規模医療機関の看護師不足につながっている」として、今後は高度医療や救急医療を実施している病院に限定するなど「7対1」の要件見直しを中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)に求めていく考えだ。

調査は、昨秋調査した全国2091病院に今年4月時点の看護師数などを聞き、1099病院(全国の病院の12・3%に相当)から回答があった。(shikoku news)

メモ
病院経営や看護師の待遇改善にはプラスですが、看護師確保は簡単ではありません。
7対1への移行は報酬が加算されるため、昨春から都市部の病院や大学病院がこぞって大量募集をかけ、地方の看護師不足に拍車がかかっています。10対1の時ですら慢性的な看護師不足が問題になっていましたから、これからはもっと大変ですね・・・

立命館中学・高校が医歯薬進学コースを開設

学校法人立命館(京都市)は、2008年度から、立命館高校に医歯薬学系大学・学部への進学を目指す「メディカルサイエンスコース(MSC)」、立命館中に理科の授業などに力を入れる「アドバンストコース(ADC)」を開設する、と発表した。

昨春、立命館小を開設後、難関国立大医学部などへの進学を希望する保護者が増えているといい、要望にこたえるため両コースを設置する。
MSCは、9クラス(1クラス定員40人)のうち1クラスをあてる。毎週土曜も授業を行い、これまでの週35単位よりも4単位多い週39単位にして物理、化学、生物を必修にする。ADCは、六クラス(同36人)のうち1クラスで、隔週土曜に授業を行い週37単位にする。

来春入試で両コースとも約30人を募集する。汐崎澄夫・立命館中高校長は「高校には『医と倫理』の授業を設ける。学力だけでなく、豊かな人間性を持った人材を育成したい」と話している。
高校から医学部などを目指すコースは、同志社女子中高(上京区)が03年度、「ワイルド・ローヴァーコース」を設置している。(京都新聞)

メモ
去年の新聞(3大新聞のどこか)に「最近の高校生の職業意識」という特集が連載で組まれていて、都内有名大学医学部に入学した新1回生(女子)のインタビューが掲載されていました。
内容は「どうして医者を志すことにしたのか」だったのですが、この女学生曰く『給料はいいし、定年がない、一般の会社は潰れることはあっても、この世から病気はなくなることは絶対ないから需要は常にある。美味しいところしか見えないから。』とのことでした(笑)

この生徒だけではなく、このような感覚で医師を志す高校生が増加している傾向にあるとのこと。
現実は、勤務医の多くが慢性的過労で、半数近くが「辞めたい」という調査結果がありますし、文字通り「命を削って」頑張っている人が大勢います。
給料だって労働環境を鑑みれば、決して抜きん出て多いわけではないですよね。
医師不足の中、医師を目指す生徒が増えるのはいい傾向なのでしょうが、もう少し職業に対しての倫理とか患者側の気持ちも考えてもらいたいですね。

アルツハイマー病の早期治療と予防に向け国際共同研究

アルツハイマー病の早期治療と予防に向けて、兆候となる現象を脳の画像撮影や血液検査などで見つけようという研究が、今秋から国内25以上の施設で始まる。
昨年、大規模な研究を始めた米国に同調し、欧州や豪州とともに国際共同研究として実施する。
データを比べて世界共通の指標ができれば、治療法の効果が客観的に判定できるようになる。

アルツハイマー病の推定患者数は日本で約150万人、米国で約450万人とされる。
予防法や根本的な治療法の開発が望まれるが、現状では客観的な診断指標が少なく効果の判定が不確実だ。

今秋からの研究は米国立保健研究所(NIH)が中心になって始めた「アルツハイマー病神経画像研究(ADNI)」の日本版で、岩坪威・東京大教授(神経病理学)が代表。
東北大病院、筑波大病院など全国25以上の施設で、合計600人規模の研究をめざす。MRI(磁気共鳴断層撮影)で脳の容積を精密に量るほか、脳髄液や血液の検査などを約半年ごとに3年以上続ける。

狙いは、通常の老化の過程と、軽度認知障害からアルツハイマー病になる際の違いを明らかにすることだ。脳の特定の領域が縮む速度が一定以上ならアルツハイマー病になる率が極めて高いといったことがわかれば、将来、早期に治療を開始することが可能になる。脳の細胞死が進む前に異常をとらえることが、根本的な治療の第一歩になる。(asahi.com)

アルツハイマー病について
脳の神経細胞が急激に破壊される認知症です。ついさっきのことを忘れるなどの記憶障害から始まり、症状は緩やかに進行します。初期には運動麻痺などの神経症状を伴わないのが特徴ですが、妄想などの症状は、比較的早く現れます。運動機能が保たれている分、徘徊などの行動が問題となります。

脳の神経細胞の病的な破壊が進み、神経が萎縮していくことが原因です。
アルツハイマー病になると、アミロイドベータという異常たんぱく質がたまることが突き止められてから、これを標的とする治療法の開発が進んでいます。

現在、この病気を完治させる薬はありませんが、アリセプトという薬が、初期から中期のアルツハイマー病の記憶障害や学習障害を改善し、病気の進行を緩やかにする効果が確認されています。

関連記事:認知症治療薬「アリセプト」の適応拡大申請を取り下げ

ピロリ菌の祖先は深海微生物:海洋研究開発機構がゲノム解読

人間の胃の中に生息し、胃潰瘍や慢性胃炎の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の祖先が、深海底の熱水噴出口付近に生息する特殊な微生物(熱水孔細菌)であることを、海洋研究開発機構の研究チームが3日までに、熱水孔細菌の全遺伝情報(ゲノム)解読で突き止めた。研究成果は米アカデミー紀要電子版に掲載される。

熱水孔細菌の仲間は、世界中の熱水噴出口付近に生息。光合成が不可能な暗黒、高圧の環境下でも硫黄や水素をエネルギー源に有機物を作り出す。単独で生息するほか、貝やエビなどの体表や細胞内で共生する。

海洋機構の中川聡研究員らは、沖縄本島北北西の水深約1000メートルにある、300度を超す熱水噴出口付近で採取した2種の細菌のゲノム解読に成功。水素など周囲に存在する元素に応じて複数の酵素を使い分け、エネルギーを生成している仕組みを明らかにした。(時事通信)

ピロリ菌とは?
正式な名前をヘリコバクター・ピロリといいます。螺旋状の形をしていて、胃の粘膜に住みついています。胃の中に入ってきた細菌は通常、胃酸によって殺されますが、ピロリ菌は持っている酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変え、アルカリ性のアンモニアで胃酸を中和して、胃酸の殺菌作用を逃れているのです。

ピロリ菌は胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因になるのではないかといわれています。ただし、ピロリ菌が陽性でも潰瘍が起こらない人、陰性でも潰瘍を起こす人がいて、ピロリ菌だけが原因とはいえません。他の因子(ストレス、食生活、体質、喫煙など)も関係していると考えられています。

関連記事:ピロリ菌が胃がん作る仕組みを解明:京都大大学院医学研究科

プリオン病の進行を遅らせる物質を発見:岐阜大の桑田一夫教授ら

岐阜大人獣感染防御研究センターの桑田一夫教授と長崎大や福岡大の共同研究グループは3日、脳がスポンジ状に委縮し、脳神経の障害が急速に進む難病クロイツフェルト・ヤコブ病などプリオン病の病状の進行を遅らせる物質を発見したと発表した。

正常なプリオンタンパク質に結合することで異常なプリオンタンパク質に変形するのを抑える仕組み。マウスの実験で効果があったといい、同教授は「研究を進めてヤコブ病治療薬の開発につなげたい」と話している。研究成果は近く、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

プリオン病は正常プリオンが異常プリオンの感染によって次々に変形して発症する。
桑田教授らは正常プリオンのへこみである分子ポケットに収まる低分子の有機化合物をデータベースから選び出して合成。これが正常プリオンと結合して変形を抑えることを突き止め、「GN8」と名付けた。(秋田魁新報)

プリオン病とは?
プリオン病は、脳神経細胞が冒され、脳がスカスカの状態になり、進行性不眠、自律神経障害で無動無言状態となり死亡するまれな病気です。
牛では狂牛病、BSEなどと呼ばれております。もともと羊の伝染病でしたが、イギリスでは羊の脳や肉骨粉を牛の飼料に使ったため牛に感染し、さらに狂牛病の牛を人が食べたため人に発病すると考えられています。すなわち、羊→牛→人へと種の壁を超えて伝播する病気です。

「特定健康診査」と「特定保健指導」で2800億円市場誕生

生活習慣病を予防するために平成20年度から始まる「特定健康診査」と「特定保健指導」で、新たに最大2800億円超の医療市場が生まれることが、日本政策投資銀行の分析でわかった。

特定健診・保健指導は、国のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策の柱として、企業の健康保険組合や国民健康保険を運営する市区町村などに採用が義務づけられる。
健診、指導費はかかるものの、医療費の3分の1を占める糖尿病など生活習慣病を予防して、結果的に、将来の医療費を抑制する取り組みだ。
政投銀は「経営難の医療機関が収益態勢を改善するチャンスにもなる」と注目しており、この分野に参入を検討する病院などへの支援を強化していく方針だ。

特定健診は、腹囲測定と血液検査を40〜74歳の被保険者と被扶養者(計約5600万人)に実施するもの。現在はメニューにない健診もある。
政投銀は、健保組合などが新たに支払う健診費用について、厚生労働省の目標健診率(保険別に65〜85%)が達成されれば、単価が5000円として年間800億円、9000円なら1400億円に達するとみている。

特定健診でメタボやその予備軍と判定されると、面接や食事、運動のアドバイスといった特定保健指導を程度に応じて最長6カ月間受ける。この指導料の単価は、軽度の「動機づけ支援」で7000〜1万2000円、重度の「積極的支援」では3万〜6万円と推定し、対象者(約946万人)の45%(厚労省目標)に実施した場合、総額で年間730億〜1411億円になると推計している。
近年、多くの医療機関が設備投資の増加と診療報酬の引き下げなどにより、厳しい経営を強いられている。(産経新聞)

メタボリックシンドロームとは?
生活習慣病の代表格に肥満症、高血圧、糖尿病、高脂血症があります。これらの疾患は肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が原因であるとされ、内臓脂肪によりさまざまな病気が引きおこされる状態をメタボリックシンドロームといいます。

高血圧、高脂血症、糖尿病などひとつひとつの症状は軽くても、複合すると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが急激に増大することから注目されています。
診断基準の必須項目としてウエスト径があり、男性85センチ以上、女性90センチ以上がメタボリックシンドローム診断のポイントとなります。

関連記事:特定健康診査・特定保健指導とは?

ショウジョウバエから自閉症発症の原因遺伝子を探る

金沢大学国際科学実験センターの小泉惠太准教授らは一日までに、人間の遺伝子配列と類似したショウジョウバエ遺伝子の中から、神経組織発達にかかわる遺伝子六十五個を特定し、その三分の一が人間の自閉症の原因と推測される遺伝子とほぼ同じ位置にあることを突き止めた。

人とショウジョウバエの場合、位置が同じ遺伝子は同様の働きをする確率が高く、既に半数の働きが解明されているショウジョウバエの遺伝子を基に、自閉症発症の原因遺伝子の特定や、治療法開発にもつながると期待される。
研究はノーベル生理学・医学賞受賞者のマーシャル・ニーレンバーグ博士と共同で始まり、同大の21世紀COEプログラム「発達・学習・記憶と障害の革新脳科学の創成」の一環で行われている。

ショウジョウバエは、人の半分ほどの約一万三千六百個の遺伝子を持つ。人のさまざまな病気の原因として確認されている遺伝子の60%以上が、ショウジョウバエにもあることが知られている。

小泉准教授らは、これまでの研究で、ショウジョウバエの遺伝子のうち七千三百十二個を解析。
その中から六十五個が神経組織生成に関係することを確認し、「神経発生に関わる遺伝子」として今春、「米国学士院紀要(PNAS)」に発表した。

一方、自閉症に関連があると考えられる人の遺伝子は三、四十種類が報告されているが、大まかな位置しか分かっていなかった。小泉准教授が人の遺伝子リストとショウジョウバエの六十五個の遺伝子リストの照合を進めた結果、ショウジョウバエの神経遺伝子約二十個が人の自閉症関連遺伝子とほぼ同じ位置にあることが分かった。

原因遺伝子の位置や役割が把握できれば自閉症発症のメカニズム解明に大きく役立つと考えられる。培養したマウスの脳神経を使って二次実験を始めた小泉准教授は、「研究を裏付ける成果を二、三年以内に出したい」と話している。(北國新聞)

メモ
最近はダイハード4.0公開に合わせて、ブルース・ウィリス主演の過去の作品がTV放送されていますが、先週放送された「マーキュリーライジング」はこの自閉症が重要なテーマになっていましたね。
自閉症をテーマにした映画といえばダスティン・ホフマンとトム・クルーズ主演の「レインマン」が演技、ストーリー、そして自閉症を理解するきっかけになるという点で最高傑作であることは間違いありませんが、「マーキュリー〜」の方も自閉症の少年を演じたマイコ・ヒューズの演技が素晴らしく、完全にブルース・ウィリスを喰ってました。

ハエに関する医学記事:マゴットセラピー:ハエ幼虫で難治性潰瘍を治療

がん診療連携拠点病院:人材難による専門医不足が深刻

地域のがん医療の要として国が指定した「がん診療連携拠点病院」で、抗がん剤と放射線治療のいずれの専門医もそろっているのは半数に満たないことが、日本経済新聞社の調査で分かった。
地方の病院を中心に6分の1には、どちらの専門医もおらず、人材難を背景にした診療体制の地域差が浮き彫りになった。

また、拠点病院の充実した診療体制を担保するための指定要件を満たしていない病院も2割以上あった。要件の一つである「相談窓口への専任者の配置」は21%がクリアしておらず、患者の痛みを和らげる「緩和ケアチーム」の整備や、患者情報を管理する「院内がん登録の実施」という要件も、それぞれ2%が未実施だった。(NIKKEI)

がん診療連携拠点病院とは?
がん診療連携拠点病院とは、全国どこでも質の高いがん医療を確保するため、がん医療の均てん化を目標として、国が指定する医療機関です。がん診療連携拠点病院には2種類があり、主な機能は次のとおりです。

  1. 都道府県がん診療拠点病院
    地域がん診療拠点病院への指導(医師研修,診療支援等)を行います。なお,地域がん診療連携拠点病院としての機能も有します。
  2. 地域がん診療連携拠点病院
    二次医療圏の中心的役割を担う病院として、専門的ながん診療の実施や地域の医療機関と連携した医療の提供等を行います。

慢性疲労症候群(CFS)に新たな診断指針:日本疲労学会

原因不明の激しい疲労が半年以上も続き、通常の日常生活が送れなくなる「慢性疲労症候群(CFS)」の新しい診断指針を、日本疲労学会の委員会(委員長=倉恒弘彦・関西福祉科学大教授)がまとめた。30日、東京で始まった学会総会で発表した。

慢性疲労症候群について

新指針では、リウマチや慢性感染症など8種類の病態でないことを確認した上で、「体を動かした後、24時間以上疲労が続く」「思考や集中力の低下」など特徴的な症状を10項目に絞り、うち5項目以上を満たすことを診断基準にした。5項目未満の患者は新たに設けた「特発性慢性疲労(ICF)」と診断する。

92年に旧厚生省研究班が作った現在の診断基準は本人の自覚症状が中心で、臨床現場で混乱が起きることがあった。最新の研究成果とも合わなくなっていた。
CFS患者は10万人当たり約300人、潜在患者はその10倍との推計がある。診断がつかないまま病院を渡り歩いたり、職場で「なまけ病」とそしられたりする患者も多く、同学会は新指針でこうした問題が減るとみている。(asahi.com)

慢性疲労症候群(CFS)とは?
がんや甲状腺疾患、更年期障害などの病気はないのに、日常生活が困難になるほど強い疲労感が半年以上続く場合を、慢性疲労症候群と呼びます。
疲労感だけでなく、微熱や頭痛、関節痛、思考力の低下、睡眠障害といった症状を伴い、寝たきりになることもあり、過労で疲れが取れない状態とは全く異なります。

原因はよくわかっていませんが、最近はストレスの影響が注目されています。
ストレスを受けると、脳の視床下部などの反応で、様々なホルモンのバランスが崩れます。
病原体から体を守る免疫系にも影響し、外敵と闘う細胞(NK細胞)の活動が低下します。
すると、体内に潜んでいたウイルスが勢いづき、それを攻撃する免疫物質が作られるが、調節がうまくいかず、かえって神経系や内分泌系(ホルモン)にダメージを与える―。

これらの悪循環の結果、体中から神経を通して脳に信号を伝える各種の神経伝達物質が減り、脳の細胞が変調をきたして異常な疲労感が生じる、という説が有力視されています。

関連記事:CNMS(頚性神経筋症候群)とは?