11月のトピックスのまとめ Vol.1

医学関連記事のまとめ

受精卵を使わず、人の皮膚から万能細胞:山中伸弥教授ら
人の皮膚細胞などに複数の遺伝子を組み込み、各種の組織のもとになる万能細胞(人工多能性幹細胞=iPS細胞)をつくることに、京都大・再生医科学研究所の山中伸弥教授らが成功した。

iPS細胞による再生医療の実用化研究:国が全面的に支援へ
「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の作製に世界で初めて成功したのを受け、iPS細胞利用を中心に据えた再生医療の実用化研究に本格的に乗り出す。

エーザイが肥満症治療薬「KES524」の承認申請
満腹感を得やすくして過剰な栄養摂取を抑え、体内での熱の生成を高めて体重を減らす。1年から1年半後に発売できる見通し。

世界初となる椎間板の再生医療、臨床研究を了承:東海大学
研究対象は、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎椎間板症に苦しむ20〜30歳の患者10人で、これらの病気は患部だけでなく、周辺部も弱っている症例が多く、その補強を目的としている。

尖圭コンジローマ治療薬「ベセルナクリーム5%」が発売
従来は外科手術で患部を切除していたが塗り薬で治療できるため患者の負担が軽くなる。

「足湯」による温熱治療で拡張型心筋症が改善
体の深部の温度が上がって末梢血管の血流がスムーズになることで、心臓のポンプ機能への負担が軽減する。

重症心不全の「免疫吸着療法」を発表:信州大学医学部
既存の装置を応用して血液から病因物質のみを除去するもので、10月中旬から治療に着手。近く全国規模の研究会を立ち上げ、健康保険の適用を目指して効果を立証していく。

大豆で脳梗塞や心筋梗塞の予防:閉経後の女性に効果
大豆に含まれるイソフラボンなどの複数成分の効果に加え、一緒に野菜や海藻などを食べる献立になりやすいため。

タミフルと睡眠障害の因果関係はなし:厚労省作業グループ
異常行動が、寝起きの状態で多く起きていることから、タミフル輸入販売元の中外製薬に対して睡眠試験の実施を指示していた。

血流検査も可能なCT「アクイリオン・ワン」
東芝メディカルシステムズは、心臓や脳の形だけでなく血流なども検査できる新型のコンピューター断層撮影装置(CT)「アクイリオン・ワン」を開発した。

マイコプラズマはクラゲ骨格構造:治療薬開発に期待
肺炎治療では抗生物質の効かない耐性菌が問題になっており、マイコプラズマ性肺炎の新たな治療薬開発が期待される。

タンパク質「ガレクチン9」に感染症を予防する作用
炎症が関係するリウマチや膠原病など、自己免疫疾患の新たな治療薬として期待されるほか、インフルエンザなどの感染症治療にも役立つとしている。

更年期障害、診断つかず重複検査:年間434億円が無駄と推定
更年期障害の女性が、発症から適切な治療を受けるまでに、多い人で10か所以上、平均2・4か所の診療科を受診していた。

葉酸の摂取量が少ないほど、うつ症状の人が多い:初の国内調査
日常の食事が精神的な健康にかかわっていることを示す研究。関連は欧米では報告されていたが、日本人のデータは初めてという。国際栄養学雑誌に近く発表する。

幹細胞注射で脳梗塞の後遺症を治療:国立循環器病センター
腰の骨から採った骨髄中の幹細胞を注射して脳の血管を再生させ、脳梗塞による後遺症の治療を目指す臨床試験を、国立循環器病センターが年内にも始める。

アルツハイマー病関連たんぱく質が老化による物忘れの原因に
このたんぱく質が脳内に蓄積すると、アルツハイマー病の原因になる神経細胞の変質(神経原繊維変化)をもたらすが、早期に発見できれば、発症予防が期待できるという。

ウイルス遺伝子の差異でインターフェロンの有効性を判定
患者のウイルスの変異をあらかじめ検査しておけば、無用な治療をせずに、副作用や高額な医療費を避けることができる。

生活習慣病管理料を引き下げへ:利用促進で糖尿病などを予防
中医協の調査では「患者の負担増につながる」などの理由から、予防指導をした医療機関は11%にとどまり、利用しやすい額への引き下げが必要と判断した。

11月のトピックスのまとめ Vol.2

11月分の医学関連記事(その2)

薄毛に悩む男性の6人に1人は治療不要
ストレスの強さを示す数値が、治療が必要とされる他の男性より高く、ふさふさでも髪が薄いと思い込み、悩みを深めている実態も明らかになった。

メタボリック症候群の診断基準の見直しへ全国調査:厚生労働省
「男性に厳しく、女性に甘い」といわれるウエストの数値を中心に、将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを予測するのに最もふさわしい基準値をつくるのが狙い。

子宮筋幹細胞をヒトで確認:慶応大グループ
幹細胞は子宮筋腫の発生にかかわっている可能性があり、子宮筋腫の仕組み解明や治療に道が開けると期待される。

がんワクチンの臨床試験を開始へ:実用化に向けて前進
がんワクチンは、副作用の少ない第4の治療法として国内の大学で臨床試験が行われているが、実用化は足踏みしていた。

緑内障・高眼圧症治療剤「トラバタンズ点眼液0.004%」が発売
1日1回の点眼で確実な眼圧下降効果を有し、防腐剤として多くの点眼剤に用いられている塩化ベンザルコニウム(BAC)を含有しない初めてのプロスタグランジン系緑内障、高眼圧症治療剤。

リウマチ薬「レミケード」:クローン病向け継続投与の効能追加
クローン病は口から小腸、大腸、肛門まで炎症を起こして、腹痛や発熱などの症状が繰り返し現れる病気。国内には約2万4000人の患者がいるとされる。

メタボ対策サプリメント「ミドルナビ」が発売:ファンケル
ガルシニアエキスのほか、中性脂肪やコレステロール値に期待できるウコン、善玉物質の分泌促進や悪玉物質の抑制にかかわるニームリーフ、ビタミンB1などを配合。

ポリフェノールの大量生成に成功:シードライフテック
ポリフェノールは「レスベラトロール」といい、米国の科学者が昨年、寿命の長さを左右する遺伝子を活性化させる働きがあることを発見、米科学専門誌ネイチャーなどに掲載されて脚光を浴びた。

3割のインスリン治療患者が「もっと早く治療を始めればよかった」
一方で既に治療中の患者は、3割が「もっと早く始めればよかった」と答えるなど評価は高く、意識の差が浮き彫りになった。

がん健診を1年以内に受けた人は3割:がん対策に関する世論調査
政府に対する要望では「がんの早期発見」を挙げる人が最も多く、がん検診の受診率を高める体制づくりが求められている。

骨髄バンクでドナーのデータ管理ミス:3688人分が一時消去
適合から移植まで最短でも70日程度かかる事情があるなか、多くの患者の登録が2カ月以内に取り消されたことや、他にも該当ドナーがいたことから、財団は「影響は少なかった」とみている。

インフルエンザが今冬も流行の兆し:過去10年で最多の患者数
感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は「首都圏で患者が増えると、他の地域にも感染を広げる恐れがあり要注意だ」と指摘。

樹状細胞でぜんそくを治療:理化学研究所
普通の樹状細胞は免疫反応を活性化する働きがあるが、作った細胞は免疫を抑える働きをもつため「制御性樹状細胞」と名付けられた。

後発医薬品の使用を原則へ:処方箋の様式を再変更
欧米では後発品の数量ベースでの市場シェアが60%前後に上る国も多いが、日本は17%程度にとどまる。政府は2012年度までにシェアを30%以上に引き上げる方針を掲げている。

ウイルス性肝炎の検査を完全無料化へ:舛添厚生労働相
ウイルス性肝炎は自覚症状のない感染者が300万人程度いるとされており、検査による感染の早期発見を促す狙いとみられる。

太りすぎで発がんリスクが上昇:世界がん研究基金
発症の危険性を下げるには、肥満度を示すBMI値(体重を身長の2乗で割った数値)を20〜25に保つのが望ましいという。

やけど治療用の培養表皮「ジェイス」の保険適用を申請:J-TEC
今後数カ月で薬価が決まるとみられ、保険適用後は培養表皮を使ったやけど治療法が幅広く使えるようになる。

開業医の診療報酬:夜間診察を厚く、初診・再診料を引き下げ
夜間の救急医療で開業医が一定の役割を担うよう促すことで、病院勤務医が診る救急患者数を減らし、負担軽減するのが狙い。

エーザイが肥満症治療薬「KES524」の承認申請

エーザイは、肥満症の飲み薬「KES524」を厚生労働省に承認申請したと発表した。満腹感を得やすくして過剰な栄養摂取を抑え、体内での熱の生成を高めて体重を減らす。1年から1年半後に発売できる見通し。

肥満症治療薬「KES524」について

同社は海外事業を積極展開しているが、注目度の高いメタボリック(内臓脂肪)症候群向けの新薬を投入し、国内事業の基盤も強化する。肥満症の飲み薬「KES524」は、エーザイが1997年に独製薬会社のクノール(現・米アボット子会社)から日本での開発販売権を取得した。現在は世界83カ国で承認されている。(NIKKEI NET)

メタボリック・シンドロームとは?
生活習慣病のなかの、内臓脂肪蓄積型肥満、脂質代謝異常、高血圧、糖代謝異常の4つは、とくに「メタボリックシンドローム」と呼ばれ、これらの要素が複数合併すると、それぞれが軽症でも動脈硬化が加速され、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まってきます。

メタボリックシンドロームの診断基準は、ウエスト周囲径が男性85cm以上/女性90cm以上で、かつ下記のA・B・Cのうちの2項目を満たすときです。

  • A.脂質異常…中性脂肪150mg/dl以上あるいはHDLコレステロール40mg/dl未満
  • B.血圧異常…最高血圧130mmHg以上あるいは最低血圧85mmHg以上
  • C.糖代謝異常…空腹時血糖110mg/dl以上

関連記事:メタボ対策サプリメント「ミドルナビ」が発売:ファンケル

大豆で脳梗塞や心筋梗塞の予防:閉経後の女性に効果

大豆製品をよく食べる女性は、脳梗塞や心筋梗塞になりにくいことが、厚生労働省研究班の大規模追跡調査で分かった。閉経後の女性に特に効果がある。
大豆に含まれる複数成分の効果に加え、一緒に野菜や海藻などを食べる献立になりやすいためらしい。米医学誌「サーキュレーション」に掲載された。

女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンを多く含む

研究班は、40〜59歳で心臓病やがんにかかっていない男女計4万462人(男女比1対1)を対象に、90〜02年の13年間、健康状態を追跡した。そのデータを基に、大豆製品を1日に食べる量別に5群に分けて、脳梗塞と心筋梗塞の発症率との関係を分析した。

その結果、一番よく食べる群の女性は、脳梗塞や心筋梗塞になる危険性が、一番食べない群の女性に比べ0.39倍と低かった。さらに、女性の半数を占める閉経後の人に対象を絞ると、危険性が0.25倍と大幅に低くなった。男性では、食べる人も食べない人も差がなかった。一番よく食べる群が1日に食べる大豆製品の量は、納豆を1パックまたは豆腐3分の1丁程度。

大豆は、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンを多く含む。ビタミンEなども豊富だ。(asahi.com)

脳梗塞について
脳梗塞は脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、脳の組織が死んでしまうものです。
血管の詰まりかたには2つあります。高血圧や動脈硬化によって脳血管に血栓ができて詰まるのが脳血栓で、心臓など脳以外でできた血栓や脂肪のかたまりが血液に運ばれて脳の動脈で引っ掛かって詰まるのが脳塞栓です。
ただし最近は、アステローム血栓性梗塞症、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症の3つに分類する考え方が一般的になっています。

  • アステローム血栓性梗塞症…頚動脈や脳の太い血管が詰まり、血流が途絶えてできた大きめの梗塞です。
  • ラクナ梗塞…脳動脈は太い血管から細い血管へと枝分かれしていますが、その最先端のごく細い血管が詰まってできた小さめの梗塞です。
  • 心原性脳塞栓症…心臓でできた大きな血栓が脳動脈に流れ込み、比較的太い血栓を詰まらせるために起こります。突発的に起こるので、症状も急激に現れ、重くなりがちです。

関連記事:果物に脳卒中や心筋梗塞の予防効果

世界初となる椎間板の再生医療、臨床研究を了承:東海大学

骨髄などに含まれる幹細胞を使った再生医療の臨床研究について、厚生労働省の審査委員会は、東海大学が申請した椎間板関連の研究を審査・了承した。
12月に開かれる厚労省の部会で了承されると、来春に研究がスタートする見通し。厚労省などによると、椎間板の再生医療は世界初。

椎間板の再生医療について

この幹細胞は自ら分裂しながら、椎間板などの細胞を生産する特殊な細胞。研究対象は、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎椎間板症に苦しむ20〜30歳の患者10人で、これらの病気は患部だけでなく、周辺部も弱っている症例が多く、その補強を目的としている。

患部を外科手術で取り去った後、患者の体から椎間板の細胞と骨髄の幹細胞を取り出し、一緒に培養してから患部周辺の椎間板に注射する。(YOMIURI ONLINE)

腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は、背骨に加わる衝撃を和らげるクッションの役目をしていますが、年齢とともに弾力がなくなると、繰り返し負担がかかったり無理な姿勢をとることで、まわりの線維輪に亀裂が入り、中の髄核が押し出されてくることがあります。この髄核が腰髄の神経根を圧迫して、腰痛やしびれを起こすものが腰椎椎間板ヘルニアです。

ぎっくり腰のように、腰に突然激しい痛みが起こる場合と、徐々に痛みが強くなる場合があります。また、ぎっくり腰を数年前から何度も繰り返しているうちに、腰椎椎間板ヘルニアに移行するケースもあります。

腰痛にくわえて下肢のしびれや痛み(坐骨神経痛)が生じます。体を動かすと痛みが強くなるため、しだいに椅子などに座っている時間が長くなってしまいます。

血流検査も可能なCT「アクイリオン・ワン」

東芝メディカルシステムズは27日、心臓や脳の形だけでなく血流なども検査できる新型のコンピューター断層撮影装置(CT)「アクイリオン・ワン」を開発したと発表した。
エックス線の被曝量も大幅に低減し、心臓検査では従来の約4分の1という。2008年夏以降に日米で発売する。

スキャナーが1回転する間に撮れる画像の枚数は既存の最上位機種の5倍にあたる320枚。静止画像を撮影する場合、既存機種は撮影範囲が狭いため、心臓や脳など臓器全体を撮影するには4―5回転する必要がある。新型CTは撮影範囲が広く1回転で済むため、撮影時間が10分の1から5分の1以下に短縮でき被曝量も減らせる。(日本経済新聞)

コンピューター断層撮影装置(CT)
横たえた体を、円筒状のX線発射装置の中でスライドさせながら、360度の方向から一定の間隔で撮影し、コンピュータ処理して、体内の多数の断面画像や立体映像を得るものです。

体の奥深くの臓器にも対応でき、全身の臓器の病気を観察することができます。
通常のCT検査で診断が確定できない場合は、造影剤を血管から注入して、病変部位を浮き出させる方法が用いられます。

尖圭コンジローマ治療薬「ベセルナクリーム5%」が発売

持田製薬は、尖圭コンジローマ治療薬「ベセルナクリーム5%」を国内で初めて発売する。従来は外科手術で患部を切除していたが塗り薬で治療できるため患者の負担が軽くなる。同社が重点分野と位置付けている婦人科分野の強化につなげる。

ベセルナクリームについて

ベセルナクリームは体内の免疫状態を高めて、ウイルスや腫瘍を死滅させる効果がある。尖圭コンジローマ治療薬として発売するが、今後は、日光によって皮膚にいぼ状の腫瘍ができる日光角化症の治療にも使えるように臨床試験(治験)を始める予定だ。(NIKKEI NET)

尖圭コンジローマとは
外陰部、会陰、肛門の周囲、子宮頚部などに小さないぼ(腫瘍の一種)ができる病気です。子宮頸がんの発生にも関係しているヒトパピローマウイルスの感染が原因で、放置するとどんどん拡がっていきます。

自然に治ることもありますが、治療には電気凝固、外科的切除、冷凍療法、レーザー療法、制がん剤軟膏の塗布などを行います。どの治療法にするかは、いぼのできている場所や範囲によって判断されますが、いずれにしても完治までには相当の時間が必要です。

関連記事:子宮内膜症の治療薬「ディナゲスト錠」が承認へ

「足湯」による温熱治療で拡張型心筋症が改善

「足湯」による温熱治療で、心臓移植を待つ患者の心臓血管機能が改善することが、国立循環器病センターの研究でわかった。体の深部の温度が上がって末梢血管の血流がスムーズになることで、心臓のポンプ機能への負担が軽減するらしい。

足湯

駒村和雄・心臓動態研究室長は、これまでに、全身浴のできない20〜40歳代の移植待機患者4人に対して、温かい蒸気の出る「足湯」装置を使い、42度で15分間温め、30分間保温する治療を2週間行った。

最も効果があったのは、重症の拡張型心筋症で人工心臓を装着した20歳代の男性で、足湯治療により、心筋に酸素や栄養を送る血管の広がりやすさ(血管内皮機能)が正常値まで改善した。
さらに、心臓が血液を送り出す能力も向上して、左心房の内径が縮小、リハビリで歩く速度も速くなったという。

駒村室長は「足湯は、血管の機能を改善して、従来の薬物治療を後押しする効果がある。心臓にも効果があるのか研究を積み重ねて検証していきたい」と話している。(YOMIURI ONLINE)

拡張型心筋症について
心筋細胞の変性によって収縮力が低下して心室が拡大する病気です。体を動かすと息切れする、下肢がむくむなど、心不全症状が現れ、徐々に悪化していきます。
ウイルス感染による心筋炎の慢性化が発症と関わっているケースもありますが、多くは原因不明です。

治療には、血管拡張作用とともに、心筋の働きを改善することで延命効果が期待できるACE阻害薬やβ-遮断薬が使われます。血液のうっ滞が起こりやすいので、血栓を防ぐための抗凝固やくも使用されます。

関連記事:重症心不全の「免疫吸着療法」を発表:信州大学医学部

iPS細胞による再生医療の実用化研究:国が全面的に支援へ

文部科学省は、京都大の山中伸弥教授のグループが、あらゆる臓器・組織の細胞に変化する能力を持つ「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の作製に世界で初めて成功したのを受け、iPS細胞利用を中心に据えた再生医療の実用化研究に本格的に乗り出すことを決めた。

再生医療の実用化へ競争激化

内閣府も早期の臨床応用のための枠組みを早急に策定し、国内での研究を加速する「オールジャパン」体制を構築する方針だ。米国でもブッシュ大統領が、同様にiPS細胞を作製した米大学の研究を支援する意向で、再生医療の実用化を巡って、国際競争が激化するのは必至だ。

文科省の計画は、今後5年間に70億円を投入し、〈1〉ヒトiPS細胞などの万能細胞の大量培養法の開発〈2〉サルなどの動物を使った再生医療研究〈3〉研究用ヒトiPS細胞バンクの整備――などを重点的に進める。

ヒトiPS細胞は、受精卵を壊して作る胚性幹細胞(ES細胞)と違い、倫理的批判は少ないが、作製の過程で、がん遺伝子を組み込むなど安全性に課題を残すため、こうした課題を克服する。iPS細胞を使った再生医療の実用化を担う研究機関を年度内に公募、有識者による評価委員会を新設して絞り込む。(YOMIURI ONLINE)

メモ
海外取材陣(米紙TIME)に今回の実験について訊かれた山中伸弥教授の回答をまとめてみました。

  1. 従来の方法では、一つの幹細胞に関する実験のたびに500ページもの書類×3を提出しなければならずやってられない。
  2. 書類作成に1ヶ月、政府の審査にさらに1ヶ月かかる。ライバルがその間10回以上実験できてしまうのでやっぱりやってられない。
  3. 1,2を回避するには人工的に幹細胞を作り出さないといけなかった。
  4. 厚生労働省の事務方トップが3年ごとに交代するので、予算の確保が難しく、長期的なプログラムは無理。とにかく3年以内に結果を出すのが大切。

関連記事:ヒトの皮膚から万能細胞:山中伸弥教授グループ

重症心不全の「免疫吸着療法」を発表:信州大学医学部

信州大学医学部は、拡張型心筋症による重症心不全の治療法として、慶応大学などと国内初の共同研究を進める「免疫吸着療法」を発表した。
既存の装置を応用して血液から病因物質のみを除去するもので、10月中旬から治療に着手。近く全国規模の研究会を立ち上げ、健康保険の適用を目指して効果を立証していく。

拡張型心筋症について

拡張型心筋症は、心臓病末期に起きる心不全の主因の一つ。心筋梗塞における血管再生治療のような対策がなく、これまではドナー不足が顕著な心移植に頼らざるを得なかった。

免疫吸着療法では、複数疾患で血液浄化に使われる吸着装置と血しょう分離器を併用する。自己抗体と呼ばれる血液中の病因物質を選択してこし取り、血漿成分を体内へ戻す仕組み。

信大は、6年前から入退院を繰り返していた県内の70代女性患者に、週1回のペースで計3回の治療を実施。発症時は呼吸困難などで日常生活に支障があったが、血流が一部回復し、薬物治療など外来での経過対応が可能になったという。
信大、慶応大などは今後3年間に約60例の治療を行い、参加施設を増やしながらデータ集積を図る。(長野日報)

拡張型心筋症について
血液を送り出す心室の内腔が拡大します。心筋の収縮力が低下するために血液を送り出しにくく、しばしばうっ血性心不全を起こすほか、不整脈や血液のかたまりが血管内に詰まる塞栓症をともなうこともあります。

おもな症状は、動悸、疲労感、呼吸困難、むくみ、胸部圧迫感、不整脈などを生じます。治療には、心不全対策、不整脈や塞栓症予防のために薬剤を用います。
重症の場合は、記事内にあるように心臓移植に頼らざるを得ませんでした。

関連記事:心不全につながるタンパク質を発見:治療薬の開発に期待

タミフルと睡眠障害の因果関係はなし:厚労省作業グループ

インフルエンザ治療薬タミフルと異常行動の因果関係を調べている厚生労働省の作業グループは、タミフル服用後の睡眠時の脳波の変化などを調べたところ、「現時点ではタミフルとの因果関係は認められない」とする臨床試験の中間報告を公表した。

タミフル

異常行動が、寝起きの状態で多く起きていることから、タミフル輸入販売元の中外製薬に対して睡眠試験の実施を指示。20代前半の健康な男性11人にタミフルを投与したところ、睡眠時の異常行動は見られず、タミフル服用の有無と脳波の変化の関係も見られなかったという。試験は30人になるまで続ける予定。

また、同省に寄せられたタミフル服用後の異常行動の報告件数は、01年の発売から今年9月末までで282人に達した。5月末時点の集計では211人だった。(asahi.com)

インフルエンザとは
インフルエンザウイルスに感染して起こるかぜで、冬に流行し、流行性感冒とも呼ばれます。症状が重く、合併症も起こりやすく、感染力も強いのが特徴です。

潜伏期間は1〜2日。急に寒気がして発熱し、38〜40度にもなります。全身の倦怠感、頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛など強い全身症状が起こります。
鼻水やのどの痛みなどはあまりなく、発熱や倦怠感といった全身の症状の後に、咳がではじめます。発熱後2〜3日してから気管支炎を併発し、咳や痰が出ることが多いです。

インフルエンザウイルスそのものによるウイルス性肺炎が起こる可能性もありますが、かぜのときと同様、細菌の二次感染で起こる細菌性肺炎などが起こりやすいものです。
とくに乳幼児やお年寄りなどが細菌性肺炎を起こすと、ときに生命にかかわります。

関連記事:タミフルに脳細胞を興奮させる作用:ラット実験で確認

マイコプラズマはクラゲ骨格構造:治療薬開発に期待

肺炎の病原菌であるマイコプラズマの細胞内にクラゲのような骨格構造があることを、大阪市立大学の宮田真人教授らが突き止めた。米科学アカデミー紀要(電子版)に20日、発表した。
肺炎治療では抗生物質の効かない耐性菌が問題になっており、マイコプラズマ性肺炎の新たな治療薬開発につながりそうだ。

肺炎マイコプラズマ

マイコプラズマのうち、魚に感染してえらに炎症を引き起こすタイプで研究した。細胞膜とDNA(デオキシリボ核酸)を界面活性剤などで除去し、電子顕微鏡で観察した。
クラゲの傘と触手のような骨格構造をしているのが分かった。傘を先頭に前進し、20―30本ある触手にはひもの結び目のような形が約300―500個あり、その一つ一つが細胞外側に突き出た足とつながっていた。肺炎のなかでマイコプラズマが原因で起こるものは約1割。(NIKKEI NET)

マイコプラズマ肺炎とは?
肺炎マイコプラズマという、細菌によく似た微生物病原体の感染によって発病します。患者の咳とともに空気中に飛び散って感染します。症状としては、熱とともに、睡眠に支障をきたすほどの強い咳が長時間続きます。

発熱も一定ではなく、38〜40度くらいまで出ることもあれば、微熱程度とか、あるいはまったく熱が出ないこともあります。また、咽頭炎や気管支炎を併発することもあります。

治療にはテトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質の投与が有効です。

関連記事:温泉マンションで大量のレジオネラ菌が検出

受精卵を使わず、人の皮膚から万能細胞:再生医療に現実味

人の皮膚細胞などに複数の遺伝子を組み込み、各種の組織のもとになる万能細胞(人工多能性幹細胞=iPS細胞)をつくることに、京都大・再生医科学研究所の山中伸弥教授らが成功した。米科学誌セル(電子版)に発表する。
米ウィスコンシン大も同日、米科学誌サイエンス(電子版)に同様の成果を発表する。人間の体細胞から万能細胞ができたことで、臓器や組織を補う再生医療が現実味を帯びてきた。

代表的な万能細胞の胚性幹(ES)細胞は、生命の萌芽(ほうが)である受精卵を壊してつくるので批判が根強い。山中教授と高橋和利助教らは昨年8月、マウスの皮膚の細胞に四つの遺伝子を組み込み、世界で初めてiPS細胞を作製。受精卵を壊す必要がなく、倫理問題が少ないとして注目された。

山中教授らは今回、成人の顔の皮膚の細胞や関節にある滑膜の細胞に、マウスの場合と同じ四つの遺伝子を導入。人やサルのES細胞の培養用の増殖因子を使ったり、マウスより長く培養したりして、人間のiPS細胞をつくるのに成功した。この細胞が、神経細胞や心筋細胞、軟骨などへ分化できることも確認したという。

山中教授は「再生医療の実現にはまだ少し時間がかかるが、ねらった細胞に効率よく分化させたり、安全性を高めたりして、臨床応用につなげたい」と話している。

一方、米ウィスコンシン大のチームは、山中教授らの4遺伝子のうち二つを別の遺伝子にして、新生児の皮膚細胞からiPS細胞をつくった。(asahi.com)

iPS細胞について
iPS細胞はES細胞に類似した形態、増殖能、および遺伝子発現を示します。
またマウス皮下に移植すると様々な分化細胞や組織から形成される奇形腫が形成されること、および、マウス初期胚に移植するとその後の胎児発生に寄与することから、iPS細胞は万能性を有していることがわかっています。

脊髄損傷や心不全などの患者体細胞から、iPS 細胞を誘導し、さらに神経細胞や心筋細胞を分化させることにより、倫理的問題や拒絶反応のない細胞移植療法の実現が期待されています。

関連記事:iPS細胞による再生医療の実用化研究:国が全面的に支援へ

タンパク質「ガレクチン9」に感染症を予防する作用

炎症反応を抑える作用があるタンパク質「ガレクチン9」に、体内に侵入した細菌やウイルスを退治する働きを強める作用があるらしいことを、香川大の平島光臣教授(免疫病理学)と米ハーバード大などの研究チームが突き止め、16日付の米科学誌サイエンスに発表した。

大腸菌を攻撃するマクロファージ

炎症が関係するリウマチや膠原病など、自己免疫疾患の新たな治療薬として期待される。平島教授は「インフルエンザなどの感染症治療にも役立ちそうだ」としている。

平島教授らは、ガレクチンが結合する細胞表面の受容体に着目。白血球の一種マクロファージの受容体にガレクチンがくっつくと、細菌やウイルスを食べるマクロファージの働きが強まることを確かめた。(shikoku.news)

膠原病について
膠原病は、皮膚や関節、筋肉などの結合組織などの炎症によって、全身組織に障害が生じる病気の総称です。多くは原因不明ですが、自己免疫の異常が関与しているとみられており「自己免疫疾患」とも呼ばれています。

代表的な膠原病には、関節がおかされる関節リウマチ、皮膚や腎臓がおかされる全身性エリテマトーデス、消化管がおかされる強皮症、筋肉がおかされる皮膚筋炎などがあります。

関連記事:薬剤耐性のサルモネラ菌が増加中

更年期障害、診断つかず重複検査:年間434億円が無駄と推定

更年期障害になった女性が、なかなか診断がつかないために複数の診療科を受診し、同様の検査を重複して受けることにより、全国で年間434億円分の検査が過剰に行われているとの推計を、西村周三・京都大学教授(医療経済学)がまとめた。

更年期障害について

更年期に伴う骨粗鬆症高血圧などの治療薬も、少なくとも年間188億円分が不適切に処方されていると見積もられた。東京都内で開かれた日本更年期医学会で発表された。
患者が医療機関を渡り歩く例は腰痛、頭痛など他にも多く、医療費の高騰を防ぐためにも重複検査の是正が求められそうだ。

調査は、更年期障害の女性約300人へのアンケート調査や、婦人科のほか内科、整形外科、精神科の医師計約1800人への調査をもとに、受診回数、検査項目を推計して算出した。

その結果、更年期障害の女性が、発症から適切な治療を受けるまでに、多い人で10か所以上、平均2・4か所の診療科を受診していた。その過程で重複して受けた検査の費用は、骨粗鬆症のエックス線、骨量検査、高血圧の心電図検査、うつ症状の脳波測定など、計434億円に上った。

更年期の年代にあたる45〜59歳の女性全体に使われた骨粗鬆症や高血圧、高コレステロールの治療薬(年間1640億円)のうち、更年期障害と正しく診断されず不適切に処方されたのは188億円だった。

過剰な検査や投薬の背景は、各診療科の医師が個別の症状しか診ず、問診も不十分なことや、患者側も知識が乏しく診療科を訪ね歩く点にあるとみられる。(YOMIURI ONLINE)

更年期障害について
女性は、40歳半ばくらいから、さまざまな体の変化を感じるようになります。
おもに月経が不規則になる、顔や体がほてる、腰や手足は冷える、イライラしたり気分が落ち込む、また、眠れない、頭痛がするなどです。

こうした体の変調で「更年期」の始まりを自覚することになります。
更年期とは、医学的には、閉経前後の計10年くらいをいい、閉経とは、女性ホルモン(エストロゲン)をつくっていた卵巣が衰え、その働きを止めた状態です。

エストロゲンが減ることにより、さまざまな影響、つまり更年期の症状が出てくるわけです。日常生活にも影響するようなひどい症状が出る場合、それを更年期障害といいます。

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葉酸の摂取量が少ないほど、うつ症状の人が多い:初の国内調査

野菜や果物などに含まれる葉酸の摂取量が少ないほど、うつ症状の人が多い傾向にあることを、村上健太郎東京大学医学部助教と溝上哲也国立国際医療センター研究所部長らが調査で見つけた。

葉酸とうつの関係について

日常の食事が精神的な健康にかかわっていることを示す研究。関連は欧米では報告されていたが、日本人のデータは初めてという。国際栄養学雑誌に近く発表する。

研究グループは昨年、福岡県の20代から60代の517人(男性309人、女性208人)に、過去1カ月間に食べたものを詳しく聞き、各栄養成分の摂取量を算出した。同時に別の質問でうつ症状があるかどうかを調べ、摂取した各栄養素との関連を探った。

その結果、葉酸の摂取が少ない人ほどうつ症状の割合が高かった。摂取が多い人では、少ない人よりうつ症状が半減していた。この傾向は女性でもうかがえたが、男性でよりはっきりしていた。(shikoku.news)

うつ病について
1日中、気分の落ち込みがありますが、とくに朝方にひどく、夕方にかけて軽くなっていく傾向があり、これを日内変動といいます。

睡眠障害はほとんどの患者が訴える症状で、全く眠れない、寝ついてもすぐに目が覚める、朝早く目が覚めるなどのタイプがあります。食欲も低下し、味気なく感じます。逆に、睡眠欲と食欲が、異常に高まり、仮眠や過食になる人もいます。
そのほか、性欲減退、疲労・倦怠、頭痛、めまい、便秘・下痢などもみられます。

精神的症状としては、決断力が鈍り、仕事に対する医薬や趣味に対する興味もわかなくなります。気持ちが落ち着かなくなり、イライラして焦りや不安も強くなります。
動作は緩慢になり、ひどくなると、意識があるのに身動きができなくなることもあります。
また、罪悪感は特徴的な症状で、自分のことを責める気持ち(自責感)が強くなります。

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幹細胞注射で脳梗塞の後遺症を治療:国立循環器病センター

腰の骨から採った骨髄中の幹細胞を注射して脳の血管を再生させ、脳梗塞による後遺症の治療を目指す臨床試験を、国立循環器病センターが年内にも始める。重い後遺症が残る重症患者を対象とし、治療効果も検証する幹細胞治療は国内初となる。

脳梗塞の治療について

発症後7〜10日の間に腰の骨から骨髄を採取。その日のうちに、骨髄単核球細胞といわれる幹細胞を分離して注射する。1カ月後に、臨床試験を直接担当しない部署が安全性や効果を評価する。
マウスの実験や人間の研究では、発症後7〜10日に神経幹細胞が損傷部位に集まる。骨髄単核球細胞には血管再生を促す働きがあるので、血管によって神経幹細胞がうまく定着すれば、症状の改善が見込めるという。

虚血性心疾患の患者に対して骨髄幹細胞を移植し、血管の再生などを目指す臨床試験を計画している大阪大医学部の澤芳樹教授(心臓血管外科)は臨床研究について「安全性が検証され、効果がはっきりすれば、日常医療として普及する可能性がある」と話している。(asahi.com)

脳梗塞について
脳梗塞は脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、脳の組織が死んでしまうものです。
血管の詰まりかたには2つあります。高血圧や動脈硬化によって脳血管に血栓ができて詰まるのが脳血栓で、心臓など脳以外でできた血栓や脂肪のかたまりが血液に運ばれて脳の動脈で引っ掛かって詰まるのが脳塞栓です。
ただし最近は、アステローム血栓性梗塞症、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症の3つに分類する考え方が一般的になっています。

  • アステローム血栓性梗塞症…頚動脈や脳の太い血管が詰まり、血流が途絶えてできた大きめの梗塞です。
  • ラクナ梗塞…脳動脈は太い血管から細い血管へと枝分かれしていますが、その最先端のごく細い血管が詰まってできた小さめの梗塞です。
  • 心原性脳塞栓症…心臓でできた大きな血栓が脳動脈に流れ込み、比較的太い血栓を詰まらせるために起こります。突発的に起こるので、症状も急激に現れ、重くなりがちです。

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アルツハイマー病関連たんぱく質が老化による物忘れの原因に

アルツハイマー病に関与するたんぱく質の一つが、老化に伴う記憶障害の原因になっていることを、理化学研究所の高島明彦アルツハイマー病研究チームリーダーらがマウスを使った実験で確認し、15日付の学会誌に発表した。
このたんぱく質が脳内に蓄積すると、アルツハイマー病の原因になる神経細胞の変質(神経原繊維変化)をもたらすが、早期に発見できれば、発症予防が期待できるという。

タウたんぱく質について

人間の脳は老化に伴い、記憶の形成にかかわる嗅内野という部位に「過剰リン酸化タウたんぱく質」が蓄積し、神経原繊維変化が発生。その後「ベータアミロイド(Aβ)」と呼ばれる別のたんぱく質により脳の広い部位に神経原繊維変化が拡大、アルツハイマー病に至る。

研究チームは、ヒトのタウたんぱく質を作るマウス(タウマウス)を遺伝子操作でつくった。学習、記憶行動と神経細胞の活動を調べたところ、若いタウマウスでは通常のマウスとの違いはなかったが、老齢では嗅内野の神経原繊維変化が起きていなくても、記憶能力が極端に低下していた。

老齢タウマウスの嗅内野を詳しく調べると、神経細胞同士のつながり(シナプス)の減少が判明。タウたんぱく質が神経原繊維変化とは別に、シナプスを減少させて記憶障害を起こしていることが分かった。

神経原繊維変化は元に戻せないが、タウたんぱく質は薬剤で害を与えない状態に変化させることができるため、早期の発見により、記憶障害の改善やアルツハイマー病への進行を防げる可能性があるという。(jiji.com)

アルツハイマー病について
脳の神経細胞が急激に破壊される認知症です。ついさっきのことを忘れるなどの記憶障害から始まり、症状は緩やかに進行します。初期には運動麻痺などの神経症状を伴わないのが特徴ですが、妄想などの症状は、比較的早く現れます。運動機能が保たれている分、徘徊などの行動が問題となります。

脳の神経細胞の病的な破壊が進み、神経が萎縮していくことが原因です。
アルツハイマー病になると、アミロイドベータという異常たんぱく質がたまることが突き止められてから、これを標的とする治療法の開発が進んでいます。

関連記事:糖尿病患者、予備軍はアルツハイマー病のリスクが4.6倍

ウイルス遺伝子の差異でインターフェロンの有効性を判定

C型慢性肝炎の治療薬「インターフェロン」を抗ウイルス剤と併用して投与しても一部の患者に効かないのは、C型肝炎ウイルスの遺伝子変異が要因となっていることが、虎の門病院(東京)のグループの研究で判明した。
患者のウイルスの変異をあらかじめ検査しておけば、無用な治療をせずに、副作用や高額な医療費を避けることができる。日本人患者の約15%が該当するとみられる。

インターフェロンとリバビリンについて

研究グループはは抗ウイルス剤「リバビリン」を併用した際の効果の差も、ウイルスの遺伝子配列の違いが原因ではないかと考え、併用療法が有効な患者と無効な患者のウイルスの遺伝子配列を解析。特定の2カ所の遺伝子配列に変異があると効かなかった。特に50歳以上の女性では効かなかったという。

C型肝炎の標準的な治療はインターフェロンとリバビリンの併用。薬が効けばウイルスがゼロになる完治となり、肝臓がんの発病を防ぐことが期待できる。
併用療法は1b型でも半数以上の患者に有効だが、1年間投与してみないと有効か無効か分からないという問題がある。(asahi.com)

C型肝炎の治療について
インターフェロンでの治療が主体となりますが、発熱、悪寒、全身倦怠感などの風に似た症状や、血小板、白血球の現象などの副作用が生じるケースも少なくないので、肝炎の状態を考慮しながら慎重に行います。

血液中のC型肝炎ウイルスの量が多い場合は、抗ウイルス薬のリバビリンの内服を併用します。近年は、新しいタイプのコンセンサス・インターフェロンが開発され、従来のものに比べて数倍の効果が期待できます。また、鉄分をひかえた食事が重要だとされています。

関連記事:C型肝炎のインターフェロン治療を全額助成へ

生活習慣病管理料を引き下げへ:利用促進で糖尿病などを予防

厚生労働省は、糖尿病など生活習慣病の予防策の一環として、医師が食生活改善や運動習慣の指導をした場合の診療報酬(生活習慣病管理料)の引き下げを厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に提案した。

生活習慣病管理料の引き下げについて

厚労省は糖尿病や高血圧症、高脂血症といった生活習慣病の「予備軍」を減らすことが、将来の医療費抑制につながるとみて、予防に取り組んでおり、医師が「療養計画書」に、食事や運動、喫煙など改善すべき項目や目標などを細かく記入して患者に分かりやすく指導した場合に、生活習慣病管理料として診療報酬を算定している。

中医協の7月の調査では「患者の負担増につながる」などの理由から、予防指導をした医療機関は11・3%にとどまり、利用しやすい額への引き下げが必要と判断した。
療養計画書の書式も一部簡素化することで医師の負担軽減も図り、医療機関にも積極的に取り組んでもらうようにもする。

また、厚労省は、糖尿病対策として「糖尿病足病変」など合併症の進行を防ぐための専門的指導や長時間の人工透析について報酬を手厚くする方針も示した。(産経新聞)

生活習慣病について
生活習慣病は、日常の生活習慣が発症に及ぼす影響が大きい病気の総称です。
具体的には、2型糖尿病、肥満症、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、虚血性心疾患(狭心症など)、脳血管障害(脳卒中)、大腸がんなどが含まれ、影響を及ぼすとされる生活習慣因子として、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどが上げられます。

生活習慣病は、不健康な生活習慣を続けるうちに、ゆっくりと進行していくのが特徴です。そのため、多くは中年以降に発症します。たとえば、塩分の多い食事を続けていると高血圧になり、脳卒中や狭心症、心筋梗塞のリスクを高めます。

また、過量の飲酒を続けていると高尿酸血症になりがちで、痛風、さらに腎機能障害へと進行していく可能性があります。

生活習慣病の特徴は、病状が相当悪化するまで自覚症状が現れないことです。
自覚症状が出たときには、完治させるのは困難という場合もあります。そのため、定期的に健康診断を受け、健康状態を把握しておくことが肝心です。

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