3月のトピックスのまとめ

血中コレステロールを調節する遺伝子を発見:群大生体調節研究所
研究成果は欧州学術専門誌「EMBO Journal」電子版で公開された。血中コレステロール量を調節する新薬開発などで活用できる可能性があるという。

大腸がんの発症率を高めるDNA変異(SNP)を特定
大腸がんに関連するDNA解析では最も大規模な調査で、30日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表した。

ラット実験で肝硬変の完治に成功:心筋梗塞の治療に応用も
肝硬変は、肝炎などがきっかけで臓器の細胞が硬くなる病気で、進行すると肝臓がんを引き起こす危険性が高いとされている。

花粉の出ないスギの開発に成功:石川県
植樹できるまでに約3年かかるが、早くもほかの自治体や製薬会社から問い合わせが相次いでいるという。

血管老化を抑える体内物質を特定:脳卒中や動脈瘤予防に期待
糖尿病や高血圧になると血管が老化し、脳卒中や動脈瘤が起きやすくなる。この体内物質(HGF)によって血管老化を抑えて病気を予防するという期待がかかりそうだ。

寝ている間に基礎体温を測定:世界初の温度計が5月に発売
従来の基礎体温計は毎朝、決まった時間に口の中に入れて測らなくてはならず、「面倒くさい」と挫折する人が多かった。働く女性など生活が不規則になりがちな女性には重宝されそうだ。

患者の皮膚から万能細胞:京大が研究計画
iPS細胞は移植医療への応用が期待されるが、実用化はまだ先。それとは別に患者の生体組織を使うことで、病気の解明や新薬開発が加速すると期待されている。

乳がん細胞の増殖と転移を促す遺伝子を特定:米国立研究所
この遺伝子はギャングのボスのように多数の遺伝子の働きを変え、がん細胞の増殖と転移を促す。乳がんの悪性度の診断法や治療法の開発につながりそうだ。

筋委縮性側索硬化症(ALS)の進行抑制をラットで確認
引き続き効果と安全性が確認されれば、少数の患者を対象にした臨床試験を来春にも始める計画。

血液凝固阻止剤「ヘパリン」を自主回収:米国の副作用報告を受け
回収対象は扶桑薬品工業、テルモ、大塚製薬工場の3社が製造販売する17製品。ヘパリンは豚の小腸から取った成分を精製してつくる薬で、国内約27万人の透析患者ほぼ全員が使っている。

骨粗鬆症の原因細胞をつくる酵素を発見:治療薬開発の可能性
人でこの酵素の働きを抑える物質が開発できれば、これらの病気の治療薬につながる可能性があるという。

イソフラボンの摂取で乳がんリスクが低下:厚労省研究班
調査は岩手、秋田、大阪など9府県の40−69歳の女性約2万5000人を平均で10年半追跡。この間に乳がんになった144人と、ならなかった288人について、保存してあった血液の成分を比較した。

朝食を食べる人は、朝食を抜く人よりも肥満が少ない:米研究
普段朝食を食べる若者ほど肥満度を測る指数であるBMIが低いことや、常に朝食を抜く人は毎日食べる人に比べて体重が平均2.3キロ多いことも分かった。

脂肪細胞の形成を刺激するタンパク質を発見:カロリンスカ研究所
このタンパク質は酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)で、新たな脂肪細胞の形成を刺激し、肥満の進行を促進する。

糖尿病の発症を抑える膵臓の仕組みを確認:東北大大学院
研究グループは、血糖値を下げるインスリンを分泌する「ベータ細胞」に負担がかかると、ベータ細胞内に「4EBP1」と呼ばれるタンパク質が多く作られ、ベータ細胞の働き過ぎを抑えることを突き止めた。

失明したラットの視力回復に成功:ヒトへの早期実用化を目指す
視野が狭まったり、視力が急に落ちる「網膜色素変性症」や「加齢黄斑変性症」の治療に応用できるという。

血中コレステロールを調節する遺伝子を発見:群大生体調節研究所

群馬大生体調節研究所の原田彰宏教授らの研究グループは、米国、台湾の大学との共同研究で、細胞がコレステロールを取り込む際に働く2つの遺伝子を発見したと発表した。
研究成果は欧州学術専門誌「EMBO Journal」電子版に同日付で公開された。血中コレステロール量を調節する新薬開発などで活用できる可能性があるという。

血中の悪玉コレステロール(LDL)が増えすぎると、高脂血症や動脈硬化など生活習慣病の原因になる。このため、研究グループは、体長約1ミリの線虫という生物(線形動物)の細胞を使って、人間の細胞がLDLを取り込む構造の解明を進めた。

その結果、線虫と人間が共通して持っている遺伝子「RAB35」と「RME-4」を発見。細胞表面の「LDL受容体」というタンパク質がLDLをとらえ、細胞内に効率良くコレステロールを取り込み再利用することで、血中コレステロールを適切に保っていたことが分かった。

原田教授らは「血中コレステロールを下げる展望ができた」と話しており、今後、血中コレステロールを調節する研究などに役立てていきたいとしている。(iza)

生活習慣病について
生活習慣病は、日常の生活習慣が発症に及ぼす影響が大きい病気の総称です。
具体的には、2型糖尿病、肥満症、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、虚血性心疾患(狭心症など)、脳血管障害(脳卒中)、大腸がんなどが含まれ、影響を及ぼすとされる生活習慣因子として、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどが上げられます。

生活習慣病は、不健康な生活習慣を続けるうちに、ゆっくりと進行していくのが特徴です。そのため、多くは中年以降に発症します。たとえば、塩分の多い食事を続けていると高血圧になり、脳卒中や狭心症、心筋梗塞のリスクを高めます。

また、過量の飲酒を続けていると高尿酸血症になりがちで、痛風、さらに腎機能障害へと進行していく可能性があります。

生活習慣病の特徴は、病状が相当悪化するまで自覚症状が現れないことです。
自覚症状が出たときには、完治させるのは困難という場合もあります。そのため、定期的に健康診断を受け、健康状態を把握しておくことが肝心です。

大腸がんの発症率を高めるDNA変異(SNP)を特定:7カ国研究チーム

大腸がんの発症率を高める3カ所のDNA変異(SNP)を、日欧など7カ国の研究チームが突き止めた。三つとも発症しやすい型だと、大腸がんの発症率は通常の2.6倍になった。大腸がんに関連するDNA解析では最も大規模な調査で、30日付の米科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表した。

研究チームは各国の大腸がん患者約1万7500人のDNAデータを解析し、発症に関連する三つのSNPを確認した。このうち、中村祐輔・東京大医科学研究所教授らのグループが、日本人約4400人分を解析した。

三つのSNPがいずれも発症率を高める型である割合は、欧米系が約280人に1人、日本人では約3500人に1人で日本人の方が低かった。日本人がそれぞれのSNPを持つ割合は4〜12%で、発症率を高めるSNPが一つだけの場合、発症率は通常の1.1〜1.2倍になった。

同研究所の松田浩一助教は「SNPを調べて発症しやすい型を持つことが分かれば、食事に気を配ったり検診を定期的に受けることで、予防や早期発見につながる」と話している。(毎日.jp)

大腸がん
その形態によって腺がんと表在性のがんに分けられます。大腸がんの90〜95%を占めるのは、粘膜層の腸腺に発生する腺がんです。これは、大腸の内側にできるポリープ(良性腫瘍)の一部ががん化し、腸壁の内部まで浸潤していくものです。

このタイプの大腸がんは比較的発見が容易です。またポリープががんに変化するまでには何年もかかるため、ポリープのうちに切除すれば、がんを予防することができます。

これに対し、もう一方の表在性のがんは、初めから粘膜表面にそってがん病巣が広がります。そして、腸壁の内部に広がったり腸の外側へ飛び出したりしないため、通常の造影剤を用いたエックス線撮影などでは発見しにくく、進展するまで気づかないこともあります。しかし近年、大腸がんの検査技術は急速に進歩しており、初期がんでも発見率が上昇しています。

ラット実験で肝硬変の完治に成功:心筋梗塞の治療に応用も

肝臓がんを引き起こす原因となる肝硬変について、ラットを使った実験で完全に治療することに成功したと、札幌医科大学医学部の新津洋司郎教授が31日、米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーの電子版に発表した。

肝硬変は、肝炎などがきっかけで臓器の細胞が硬くなる病気で、進行すると肝臓がんを引き起こす危険性が高いとされている。日本では年間4万人以上が肝硬変による肝臓がんで死亡しているという。

同教授のグループは肝臓が硬くなる原因物質を作り出す細胞に注目。この細胞を破壊する物質をビタミンAなどと組み合わせて作成し、人為的に肝硬変を起こさせたラットのしっぽから静脈注射したところ、ラットは生き延び、肝硬変も完全に治癒したという。

同教授はこの治療法が心筋梗塞などにも応用が可能としており「今後民間企業と共同で臨床試験を繰り返し、5年以内の実用化を目指したい」と話している。(jiji.com)

肝硬変について
肝臓の細胞が破壊されて、肝臓が硬くなる病気です。肝臓への血液の流れが悪くなるため、十分な酸素と栄養が供給されなくなり、肝臓の機能が低下してしまいます。

初期のうちは慢性肝炎と同様に、全身倦怠感や食欲不振が現れる程度で、特別な自覚症状はありません。やがて、手のひらが赤くなる手掌紅班、首筋や胸、肩、腕の付け根にクモ状血管腫という赤い斑点が出ることもあります。

病気が進むと白目が黄色くなる黄疸が現れ、むくみが出たり、腹水がたまっておなかが膨らんだり、手が鳥の羽のように震える「羽ばたき振戦」なども現れてきます。さらに進行すると、食道の静脈が太く変化してできた食道静脈瘤が破裂して生命にかかわる危険な状態になります。

花粉の出ないスギの開発に成功:石川県

石川県はこのほど、富山、新潟両県と共同で、「精英樹」と呼ばれる優れた形質の木で花粉の出ないスギの開発に成功した。現在石川県で15本の苗木を保有し、一番大きいのは高さ約30センチ。植樹できるまでに約3年かかるが、早くもほかの自治体や製薬会社から問い合わせが相次いでいるという。

日本人の5人に1人が悩むとされるスギ花粉症。全国に植樹され効果が表れるのは当分先だが、県の担当者は「まず苗木を2014年までに100本に増やしたい。長い目で見てもらえれば」と将来に期待している。

無花粉スギは自生するスギにも存在するが、形質が優れた精英樹のスギでは初めてという。石川県などは1992年に富山県で見つかった無花粉スギと、精英樹の有花粉のスギとの人工交配を繰り返して開発した。(shikoku.news)

花粉症について
スギやヒノキなどの花粉をアレルゲンとする季節性のアレルギー症状です。
からだが花粉を「自己ではないもの」として認知すると、これに対して抗体をつくります。
ここに花粉が再び入ってくると、抗原抗体反応が起き、この反応が刺激となってヒスタミンなどの化学物質が放出されます。その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといったアレルギー症状がもたらされるのです。

初めて花粉症になった年は、抗ヒスタミン薬などの対処療法しかありませんが、次の年からは、花粉が飛び始める2週間前ごろから、抗アレルギー薬を飲んで、症状を軽くするという方法があります。

また、時間はかかりますが、原因となる抗体に対する過敏性を低下させて、アレルギー反応を起こさないような体に作り変える、減感作療法という方法もあります。

血管老化を抑える体内物質を特定:脳卒中や動脈瘤予防に期待

肝細胞増殖因子(HGF)という体内物質が血管の老化を抑えることを、大阪大の真田文博研究生や森下竜一教授(臨床遺伝子治療学)らがマウス実験で明らかにした。糖尿病や高血圧になると血管が老化し、脳卒中や動脈瘤が起きやすくなる。HGFによって血管老化を抑えて病気を予防するという期待がかかりそうだ。28日に始まる日本循環器学会で発表する。

血管の形成や再生には、骨髄細胞から分化した細胞(EPC)の働きが関与するとみられる。ところが、糖尿病や高血圧になると血管が炎症などで傷ついても修復されにくい。
この原因を高血圧について探ると、高血圧を招くホルモン(アンジオテンシン2)によってEPCが老化し、能力が衰えるとわかった。

このホルモンの働きを、血管を新生する因子であるHGFによって抑制できないか、ヒトのEPCを移植したマウスで調べた。ホルモンだけを入れたマウスのEPCは、何も入れない場合の4分の1まで減った。一方、一緒にHGFを入れたマウスは減り具合が3分の2程度にとどまっていた。HGFを使うと、ホルモンで悪化した血流が改善することも分かった。

HGFの遺伝子治療薬は、脚の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症の治療薬として森下さんらが開発中。近く承認申請される見込みだ。(asahi.com)

脳卒中について
高血圧症でいつも動脈に高い圧力がかかっていれば、脳の細い動脈が疲労して、突然詰まったり、出血することがあります。また、動脈硬化があれば、脳の比較的太い血管が詰まることがあります。

そうなると、血液の循環に障害が起こり、酸素や栄養が脳に届かず、その働きが低下したり脳細胞が死亡します。それによって運動機能や言語機能が麻痺したりするのが脳卒中です。
いずれも生命の危機が発生します。脳卒中の起こりかたで脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞などに分かれます。

寝ている間に基礎体温を測定:世界初の温度計が5月に発売

ショーツに挟むだけで、寝ている間に基礎体温を測れる世界初の温度計が開発され、5月に発売される。従来の基礎体温計は毎朝、決まった時間に口の中に入れて測らなくてはならず、「面倒くさい」と挫折する人が多かった。働く女性など生活が不規則になりがちな女性には重宝されそうだ。

温度計は卵形で、ショーツのウエスト部分にクリップで挟む。皮膚に接触する部分とパジャマ側の2カ所にセンサーがあり、就寝中に10分間隔で測定。その間の最高温度を基礎体温とする。

従来品より0.5度ほど低く表示されるが、排卵前の低温期、排卵後の高温期という周期がわかる。データは温度計のQRコードから携帯電話で読み取り、蓄積できる。(asahi.com)

基礎体温について
基礎体温とは必要最低限のエネルギーしか使っていないとき、つまり寝ているときの体温をいいます。眠っているときに自分で体温は測れませんから、朝起きて婦人体温計ですぐ測ったときの体温を基礎体温としています。

成熟期の女性の場合は、ある一定の周期で低温相と高温相の二相性を描くという特徴があります。つまり、1.月経が始まると体温が下がり、約2週間、低温期が続く。2.低温期の最終日に。さらに体温は下がる。3.その後、次の月経が始まる直前まで体温は高くなる、という周期を繰り返します。

こうした体温の変化は、排卵後、プロゲステロン(黄体ホルモン)が脳の温熱中枢を刺激するために起こります。体温が二相を描くということは、女性ホルモンがキチンと分泌されている証拠です。

患者の皮膚から万能細胞:京大が研究計画

筋ジストロフィーなど約10種類の病気の患者の皮膚から、さまざまな組織に成長する万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」をつくり、発症メカニズムの解明や新たな治療法開発に役立てる研究計画を、京都大の中畑龍俊教授(発達小児科学)と山中伸弥教授らがまとめた。

iPS細胞は移植医療への応用が期待されるが、実用化はまだ先。それとは別に患者の生体組織を使うことで、病気の解明や新薬開発が加速すると期待されている。

iPS細胞から患部組織を育て、遺伝子の働きなど病気が起きる過程を詳しく調べる。中畑教授は「まったく異なる角度で病気の正体に迫ることができそう。新しい治療法も生まれるのでは」と期待している。対象は、筋ジストロフィーや1型糖尿病など約10種類の病気。(Shikoku.news)

筋ジストロフィーとは?
筋肉の線維に編成や壊死が起こり、徐々に筋力が低下していく病気です。
筋ジストロフィーの種類については、デュシェンヌ型、ベッカー型、肢帯型などさまざまですが、患者数が最も多く、症状が重いのはデュシェンヌ型です。

筋肉の障害のために、転倒しやすい、階段の昇降が困難といった症状から始まります。次第に筋肉組織が脂肪組織に置き換えられるため、ふくらはぎが肥大してきます。

デュシェンヌ型は重症化しやすく、進行すると歩行不能になり、末期には呼吸困難に陥って、人工呼吸器が必要になることもあります。幼児期に発症し、20代で亡くなる場合が多いです。
一方、ベッカー型は、腕や太ももの筋肉が障害されることが多く、デュシェンヌ型より軽症で、進行も遅いのが特徴で、60歳代になっても自力で歩ける人もいます。

乳がん細胞の増殖と転移を促す遺伝子を特定:米国立研究所

乳がんが悪性化する時に決定的な役割を果たす遺伝子をローレンス・バークリー国立研究所の厚井重松輝美上級研究員らのグループが見つけた。13日付の英科学誌ネイチャー(記事への直リンクです)に発表した。この遺伝子はギャングのボスのように多数の遺伝子の働きを変え、がん細胞の増殖と転移を促す。乳がんの悪性度の診断法や治療法の開発につながりそうだ。

グループは、転移した乳がん細胞で働いているSATB1という遺伝子に注目。SATB1が活発に働くと、患者の生存率が下がる傾向があることを見つけた。

培養した乳がんの細胞でSATB1が働かないようにすると、1000以上の遺伝子の働きが変化し、がん細胞の増殖が抑えられた。マウスのがんではSATB1が働かないようにすると増殖や転移が抑えられ、働くようにすると転移が増えた。

「1個の遺伝子が乳がんの転移を決めている可能性がある。この遺伝子を標的にした治療法が考えられるだろう」と厚井重松さん。(asahi.com)

乳がんの検査・診断について
乳がんに対しては地方自治体で集団検診が行われています。かつては乳がん検診といえば視診と触診だけでした。しかし、近年はX線で乳房を撮影する「マンモグラフィー」も取り入れられています。マンモグラフィーが視診と触診に比べて確実性が高く、小さな異常も発見できます。

自覚症状を訴えて病院に訪れた人には、上記の検査のほかに、超音波(エコー)診断も行います。この方法では、乳房内部の5ミリメートル以上のしこりやかたまりをとらえることができます。
マンモグラフィーは、乳腺組織が密な人ではがんを発見しにくいことがあり、その場合は超音波診断のほうが有効です。

筋委縮性側索硬化症(ALS)の進行抑制をラットで確認

動神経が死んで全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)になったラットの脊髄に、神経細胞を増やす働きがある物質を投与し病気の進行を抑える実験に、青木正志東北大講師(神経内科)らの研究チームが成功した。引き続き効果と安全性が確認されれば、少数の患者を対象にした臨床試験を来春にも始める計画。名古屋市で開催の日本再生医療学会で14日、発表する。

青木講師らは、ALSを発症するよう遺伝子操作したラットの脊髄で、病気の進行に伴って神経のもとになる「前駆細胞」と呼ばれる細胞が増えているのを見つけた。

前駆細胞が神経になるのを助けてやればALSの症状の改善につながる可能性があると考え、ALSラットの脊髄に、神経を含む多様な細胞を増やす働きがある肝細胞増殖因子(HGF)という物質を、約1カ月にわたりチューブで投与した。

発症から死ぬまでの日数は平均28日で、比較のため生理食塩水を投与したラットの同17日に比べ、約1・6倍長かった。脊髄内の神経細胞数も、食塩水ラットの倍以上多く残っていた。

チームは、HGFの働きで、脊髄の細胞死を抑制したり、前駆細胞が神経に成長するのを促進したりした結果ではないかとみている。(Shikoku.news)

筋委縮性側索硬化症(ALS)とは?
運動神経細胞の死滅や損傷によって起こる病気(運動ニューロン病)の一つです。主に40〜50歳以降にみられ、手足やのど、舌などの筋肉が次第にやせて、力が出なくなります。

最初は手指が動かしにくく、ひじから先の筋肉がやせてきます。筋肉が衰えると、不規則にピクピク動く症状(筋線維束攣縮)がみられるようになります。のどの筋肉がやせると、話しにくい、飲み込みにくいといった症状が現れます。
症状は進行し、平均2〜3年で呼吸障害に至り、人工呼吸器が必要になります。ただ、感覚や知能は末期まで保たれるのが普通です。

現在、治療法は確立されていません。病気の進行を遅らせるリルゾールの服用で、生存期間を延長させることが可能な場合があります。対症療法としては、痛みには鎮痛薬や適度なリハビリテーションが、不安や不眠には抗うつ薬や睡眠薬が用いられます。

血液凝固阻止剤「ヘパリン」を自主回収:米国の副作用報告を受け

厚生労働省は10日、人工透析などに使われる血液凝固阻止剤「ヘパリン」投与後にアレルギーなど重い副作用が米国で相次いだことを受け、日本国内でヘパリンを製造販売する3社が製品の自主回収を始めたと発表した。

回収対象は扶桑薬品工業テルモ大塚製薬工場の3社が製造販売する17製品。ヘパリンは豚の小腸から取った成分を精製してつくる薬で、国内約27万人の透析患者ほぼ全員が使っている。

米食品医薬品局は2月末、米バクスター社製のヘパリンの副作用報告が昨年末から急増し、21人が死亡したと発表。副作用との因果関係は不明だが、製品の一部からヘパリンに似た異物の混入が確認されたという。

回収対象は、透析患者向けの5割強を占めるため、医療現場の混乱も懸念される。厚労省は「あくまで予防的な措置。他社の製品に替えてほしいが、無理ならば十分に患者に説明して使ってほしい」と話している。(YOMIURI ONLINE)

人工透析(血液浄化療法)について
血液透析(HD)…血液を体外に導き出し、人工腎臓(透析器)を通して浄化してから体内に戻します。血液が半透膜の透析液に接している間に余分な水分や有害物質が除去されて、電解質のバランスがよくなります。1回4〜5時間で、週2〜3回行います。

持続腹膜透析(CAPD)…腹膜が半透膜であることを利用し、腹膜の中に透析液を注入して血液浄化を行います。近年、連続性携帯腹膜灌流という方法が開発され、透析液の入ったバッグを身につけることで、自宅や職場での透析が可能になっています。

骨粗鬆症の原因細胞をつくる酵素を発見:治療薬開発の可能性

体内で過剰になると、骨粗鬆症や関節リウマチを起こす「破骨細胞」をつくる酵素を、高柳広東京医科歯科大教授(骨免疫学)らのチームが発見、七日付の米医学誌セルに発表した。
人でこの酵素の働きを抑える物質が開発できれば、これらの病気の治療薬につながる可能性があるという。

破骨細胞は骨を吸収する役割をしており、骨をつくる骨芽細胞とバランスよく働くことで正常な骨を保っている。研究チームは破骨細胞で働いている遺伝子を網羅的に解析。「Btk」と「Tec」という二つの酵素をつくる遺伝子の働きが高まっていることを見つけた。

遺伝子を欠いたマウスを作製したところ、破骨細胞がつくられず、骨がすき間なく埋まり強度が低下する「大理石骨病」を発症。研究チームは、二つの酵素が破骨細胞を形成する役割をしていると判断した。

二つの酵素の働きを抑える薬剤を、関節リウマチや骨粗しょう症を発症させたマウスに投与したところ、症状が改善したという。(中国新聞)

骨粗鬆症について
骨は、カルシウムの代謝によって新しい骨に生まれ変わりますが、年齢とともに、骨をつくる細胞よりも壊す細胞の働きが強くなって骨量が減少します。骨粗鬆症は、骨量が減少するために骨がもろくなり、骨折しやすくなった状態です。
とくに女性の場合は、妊娠や出産によってカルシウムが減少しますが、閉経を迎える50歳前後から骨粗鬆症が増えてきます。

骨粗鬆症の人は、転倒すると骨折を起こしやすくなります。多いのは、手首と大腿骨頚部、肩の骨折です。手首の骨折は、外来でも治療できますが、大腿骨や肩の骨折は、入院が必要なことが多く、寝たきりにつながる場合もあります。
また、しりもちをつくなどの軽い力が背骨に加わっただけで起こる脊椎の圧迫骨折も少なくありません。

イソフラボンの摂取で乳がんリスクが低下:厚労省研究班

大豆などに含まれているイソフラボンの一種「ゲニステイン」の血中濃度が高い女性は、低い女性に比べ乳がんになる危険性が低くとなるとの疫学調査を、厚生労働省研究班が発表した。血中濃度は食事として摂取する量に比例して高くなるという。

調査は岩手、秋田、大阪など9府県の40−69歳の女性約2万5000人を平均で10年半追跡。この間に乳がんになった144人と、ならなかった288人について、保存してあった血液の成分を比較した。

血中のゲニステインの濃度で対象を4グループに分けた結果、中央値が血液1ミリリットル中に約354ナノグラム(ナノは10億分の1)と最も多いグループは、約32ナノグラムと最小のグループより乳がんの危険性が3分の1と低かった。もう一つのイソフラボン「ダイゼイン」では同様の関連はみられなかった。(Shikoku.news)

乳がんについて
乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。
最もかかりやすいのは40〜50歳代の女性で、次いで60歳代、30歳代の順となっています。
詳しい原因は不明ですが、食生活の欧米化、動物性脂肪の取りすぎ、初産年齢の上昇、母乳授乳の減少、独身女性の増加などが関係していると考えられています。
近年、日本でも増加の一途をたどっており、女性のがんの第一位となるものと予想されています。

乳がんの症状と経過
乳房の外側上方にできやすく、初期にはしこりやひきつれができて痛みはありません。
また、乳頭から血液のような、あるいはサラッとした感じの液の分泌が見られる場合もあります。
進行すると、病変部に潰瘍ができ、脇の下や頚部のリンパ節が腫れてきます。

朝食を食べる人は、朝食を抜く人よりも肥満が少ない:米研究

朝食をきちんと食べる十代の若者は、朝食を抜く若者よりも体重が軽く、よく体を動かし、健康的な食生活を送っているとの調査結果が明らかになった。

調査はミネソタ州に住むの若者を対象に、14歳程度から5年間にわたって体重や食生活、その他の生活様式を追跡。それによると、普段朝食を食べる若者ほど肥満度を測る指数であるBMIが低いことや、常に朝食を抜く人は毎日食べる人に比べて体重が平均2.3キロ多いことも分かった。

調査担当者は「朝食をこまめに食べる子どもほど活動的で、全般的に食生活も良い。つまり脂肪やコレステロールの摂取は少なく、食物繊維の摂取が多くなる」と説明した。(ロイター)

BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗

その結果18.5以上25未満であれば普通体重の範囲となり、25以上なら肥満と判定します。
BMIを割り出して、肥満の範囲に入る結果が出たとしても、本当に肥満といえるのか、危険な太り方なのかどうかは、体重に占める脂肪の割合や、脂肪のつき方によって違ってきます。

肥満は、体に脂肪がたまりすぎた状態のことですから、筋肉量の多く、いわゆる固太りは、肥満とはいえません。BMIが25以上の場合は、医師の診察を受け、肥満とかかわりのある病気の検査をしてもらうようにしましょう。

脂肪細胞の形成を刺激するタンパク質を発見:カロリンスカ研究所

スウェーデンのカロリンスカ研究所は、脂肪細胞の形成を刺激するタンパク質を突き止めたことを明らかにした。肥満の改善に有効な治療法につながるものと期待されている。米国のインターネット誌パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンスに掲載された。

このタンパク質は酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)で、新たな脂肪細胞の形成を刺激し、肥満の進行を促進する。研究は細胞培養とネズミを使った実験に基づいて行われ、肥満の患者はTRAPのレベルが非常に高いことが分かった。

研究の中心となったアンデルソン教授は、TRAPの人体への影響を抑制することによって、肥満治療の新たな方法につながる可能性があると述べている。(時事通信)

肥満について
肥満は、消費するエネルギー以上のエネルギーを、毎日、長期にわたって摂取し続けることによって起こります。つまり、食べすぎ・飲みすぎが長い間続き、運動量が減少することが原因です。

こういった過飲食は、多くの場合、食習慣や精神的な不満に原因しているといわれています。ただ、まれに、脳の視床下部や前頭葉の病変によって、食欲が異常に亢進することもあります。

内臓脂肪型肥満では、皮下脂肪型肥満に比べて、糖・脂肪代謝異常が著名であることがわかりました。この両者はCTスキャンで鑑別することができます。
肥満の大部分は単純性肥満で、ホルモンの異常が原因で太ることがわかっているのは、副腎皮質ホルモンの過剰分泌によるクッシング症候群が主なものです。

糖尿病の発症を抑える膵臓の仕組みを確認:東北大大学院

インスリンを分泌する膵臓の細胞のオーバーワークを防ぎ、糖尿病の発症や悪化を抑える膵臓内の仕組みを、東北大大学院の石原寿光講師(分子代謝病態学)らの研究グループが確認、4日付の米科学誌セル・メタボリズムオンライン版に発表した。
食べ過ぎや運動不足などで増え続けている糖尿病の治療薬開発につながる可能性があるという。

研究グループは、血糖値を下げるインスリンを分泌する「ベータ細胞」に負担がかかると、ベータ細胞内に「4E−BP1」と呼ばれるタンパク質が多く作られ、ベータ細胞の働き過ぎを抑えることを突き止めた。

実験でマウスの「4E−BP1」をなくしたところ、ベータ細胞の働き過ぎが続き、ベータ細胞が次々と死滅。インスリンを分泌する力が弱まって血糖値が上がり、糖尿病が悪化したという。(さきがけOn the web)

糖尿病について
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、インスリンの作用が低下する病気です。インスリンには、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源として筋肉に蓄えたり、脂肪として長期的に貯蔵するのを促進するはたらきがあります。

インスリンの作用が低下すると、血液中のブドウ糖が細胞で利用されないため、血液中の濃度が上昇し(血糖値が上がり)、尿中にも糖が混じるようになります。

糖尿病が進行すると、細小血管がおかされ、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。また、メタボリック症候群と呼ばれる病態に加え、禁煙などの危険因子が重なると、動脈硬化を基盤とした大血管障害を合併し、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こします。

失明したラットの視力回復に成功:ヒトへの早期実用化を目指す

東北大先進医工学研究機構の富田浩史准教授(眼科学)らの研究グループが、緑藻の遺伝子を失明したラットの網膜に注入し、視力を回復させる実験に成功した。
視野が狭まったり、視力が急に落ちる「網膜色素変性症」や「加齢黄斑変性症」の治療に応用できるという。

加齢黄斑変性症

網膜色素変性症は4000人に1人、加齢黄斑変性症は50歳以上の約1%の割合で発症するとされる。原因が分からず、特に網膜色素変性症は根本的な治療法が見つかっていない。
研究グループは、ミドリムシのように光合成をし、動く緑藻類が光を認識できることに着目した。水田などにすむ緑藻類の一種「クラミドモナス」から遺伝子「チャネルロドプシン2」を取り出し、網膜色素変性症で失明したラットの網膜に注入した。
光によって神経細胞を活動させるたんぱく質を生成する性質がこの遺伝子にあり、6週間後にラットの周囲で物を動かす実験をして首の動きから視力回復が実証された。

ヒトの場合は局所麻酔をしたうえで、注射器で網膜に遺伝子を注入する方法が考えられ、富田准教授は「10〜15分程度で手術でき、安全性の確認を進めて早期の実用化を目指したい」と話している。研究成果は14日、名古屋市で開かれる「第7回日本再生医療学会」で発表する。(毎日新聞)

加齢黄斑変性症について
網膜の中心の黄斑部に、老化によって異常が起こります。網膜の外側にある網膜色素上皮の細胞が老化すると、そこに老廃物がたまってきます。その老廃物を吸収するために、脈絡膜の血管から新たに新生血管ができます。

ところが、急ごしらえの新生血管は、もろくて破れやすいため、出血したり、血液成分が周囲に漏れ出してしまいます。この新生血管が網膜の中に入ってきて、出血やむくみを起こします。

新生血管が黄斑の領域に発生し、黄斑が膨れ上がってきて異常が起こると、視力障害が現れます。初期にはものの中心がぼやけたり、黒ずんで見えたり、ゆがんで見えるようになります。
進行すると、著しい視力の低下があり、みたいものが見えないという状態になります。放置すると失明の危険性もあります。

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