4月のトピックスのまとめ

新型インフルエンザに鼻から予防ワクチン
実用化できれば注射器が不要になるうえ、様々な系統のウイルスに対しても効果が期待できる。マウスを使った実験で、2系統の鳥インフルエンザウイルスへの感染予防効果を確認した。

後期高齢者医療制度で人間ドックが自己負担に
新制度を運営する各都道府県の広域連合では、人間ドックや脳ドックに対する費用補助を実施しているところはないという。

乳製品を多く食べる男性は前立腺がんの発症率が1.6倍に?
乳製品は骨粗しょう症や高血圧、大腸がんの予防に有効だとする報告も多く、研究班は「乳製品の摂取を控えた方がいいかどうかは総合的な判断が必要。

前立腺がんのPSA検診を推奨:泌尿器科学会
50歳以上の男性にはPSA検診の利益と不利益の情報を提供した上で実施を推奨する指針を日本泌尿器科学会が発表した。

がんワクチンの臨床試験を拡大へ:東京大医科学研究所病院
がんワクチンは、がん細胞特有の目印物質(抗原)を複数注射し、がん細胞を攻撃する免疫力を増強する治療法で、副作用が少ないのが特徴。

緑内障の重症患者の6割が自動車を運転
公共交通機関が不便な地域では、物損事故を繰り返してもやむなく運転するケースもあるという。全国的にみても自家用車に頼る地域では同様の傾向があるとみられる。

中皮腫で死亡した患者の15%は誤診の可能性
中皮腫は診断が難しい病気とされるが、ほとんどは医師の知識不足が原因。誤診の場合、本来は必要のない劇薬治療や投薬代で患者に大きな負担を強いた可能性がある。

アスベスト(石綿)による労災認定が2年連続増加
集計によると、疾病別の内訳は肺がん100人、中皮腫40人、石綿肺26人など。このほか労災を申請中の人は88人、準備中の人は93人で、認定者数の増加が今後も続くとみられる。

iPS細胞を使いパーキンソン病の症状を改善:ラット実験で成功
米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させた。

ニガウリ(ゴーヤ)から糖尿病治療に有効な活性化合成分
ヒト細胞やマウスで実験した結果、ニガウリから抽出した数種類の化合物に、インスリンのように血糖値を下げる働きがあった。

レタスからアレルギー反応抑制成分:胃潰瘍治療や老化防止も
この成分は「チオレドキシン」というタンパク質。炎症反応を抑えてぜんそくやアトピー性皮膚炎の症状を和らげる効果がある。また胃潰瘍治療や老化防止にも効果が期待できるとして、京大が臨床試験を目指している。

筋委縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子を特定
研究チームは、遺伝性患者の中で、神経細胞に「TDP43」と呼ばれるたんぱく質が蓄積するごく少数の患者に着目。このTDP43を作り出す遺伝子がALSの原因であることを突き止めた。

慶応大病院が「予防医療センター」の新設を計画
心臓外科や脳外科のように臓器別に分かれている各診療科から、がんや心臓病、認知症など病気のターゲットごとに必要な人材を集める「診療クラスター」という横断的組織を構築。

多発性硬化症治療薬で症状悪化、副作用:37%が治療中止
この薬の使用後、手足のまひが急激に進行して歩けなくなるなどの患者が7人いた、との報告があったため、厚労省研究班は全国977医療機関に緊急調査を実施した。

飲むワクチンで花粉症患者の症状が改善
花粉症を引き起こすたんぱく質をスギ花粉から取り出し、弱毒化して錠剤として飲む方法で、花粉症患者8割以上の症状が改善した。

強度不足でバルーンカテーテルを自主回収へ:ニプロ
医療機器「バルーンカテーテル」の強度が不十分で、空気が血管内に混入する恐れがあるとして、「サイドキック」「ギムレット」という2製品計5680個を自主回収すると発表。

オーダーメード医療の実現へ向け、日米が共同研究へ
日米でトップの研究機関が、こうした共同研究を行うのは初めて。互いの能力や資源を効率的に利用した方が研究に無駄がなく、治療の標準化も図れると判断した。

ムコ多糖症の治療薬「ナグラザイム」が発売:アンジェスMG
ナグラザイムは、米医薬品メーカー、バイオマリン・ファーマシューティカルが開発したムコ多糖症VI型治療薬。ムコ多糖症VI型患者で欠損している酵素を外部から補うために開発された。

体内吸収型のステントを発売へ:閉塞性動脈硬化症などを対象
狭まった血管に入れて広がりを保持する「ステント」という医療器具を、体内で分解・吸収される製品とすることに、京都のメーカーが成功した。

統合失調症の発症に関与するタンパク質を発見
このタンパク質の働きを抑える物質が見つかれば、統合失調症などの治療薬に使える可能性があるといい、アステラス製薬が研究を進めている。

レタスからアレルギー反応抑制成分:胃潰瘍治療や老化防止も

レタスの葉に含まれる葉緑体に、アレルギー反応を抑える薬剤成分をつくらせることに、京都大奈良先端科学技術大学院大の研究チームが成功した。
植物を工場として利用し、安全で安価に薬品を製造する手法につながる成果。将来は“食べるアレルギー薬”が登場する可能性もありそうだ。

この成分は「チオレドキシン」というタンパク質。炎症反応を抑えてぜんそくやアトピー性皮膚炎の症状を和らげる効果がある。また胃潰瘍治療や老化防止にも効果が期待できるとして、京大が臨床試験を目指している。チームはタンパク質の貯蔵能力が高い葉緑体の遺伝子を組み換え、効率的にタンパク質を合成するよう工夫したという。(shikoku.news)

アトピー性皮膚炎について
花粉やほこり、ダニ、特定の成分などに過敏に反応し、湿疹にも見える皮膚炎が起こる病気です。アトピー体質という特異的な体質の人に起きるもので、遺伝性が強いといわれています。特に成人になってから発症するケースが増加する傾向にあります。

最近の住環境は、ダニが繁殖しやすく、それらがアレルギー症状の原因物質(アレルゲン)となっていると考えられています。

年代によって症状の現れ方は異なりますが、思春期以降は、首のまわりが黒ずみ、皮膚が苔癬化(厚ぼったく、きめが荒い状態)して、強いかゆみを訴えます。

顔面に紅班が生じるケースもあり、角質が剥がれ落ちてしまうこともあります。
季節によって症状の重さは変化します。通常は夏季に軽減し、冬季は乾燥して悪化します。

筋委縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子を特定

運動神経が衰え、全身の筋肉が徐々に麻痺する難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の原因が、細胞の核外にたまるたんぱく質を作り出す遺伝子であることが、新潟大学脳研究所の研究でわかった。ALS患者の大半を占める非遺伝性の患者の治療にもつながることが期待される。26日の米国神経学会誌で公表された。

同研究所の説明では、ALS患者の約1割が遺伝性で、多くは全身の細胞にある遺伝子(SOD1)が変異している。これまでは、これらALS1と呼ばれる患者の研究が中心だったが、約9割を占める非遺伝性の患者は組織が異なるため研究が進まず、その治療方法も課題となっていた。

同大の研究チームは、遺伝性患者の中で、神経細胞に「TDP43」と呼ばれるたんぱく質が蓄積するごく少数の患者に着目。このTDP43を作り出す遺伝子がALSの原因であることを突き止めた。TDP43が蓄積することで神経がなくなる引き金になることもわかった。

非遺伝性の患者の多くはTDP43がかたまって蓄積しているため、こうした患者の治療にも道が開けたといえそうだ。研究を進めた小野寺理准教授は「TDP43がなぜ蓄積して悪さをするのかのメカニズム、たまらないようにするにはどうすればいいかなど、さらに研究を進め、治療に役立てたい」と話している。(YOMIURI ONLINE)

筋委縮性側索硬化症(ALS)とは?
運動神経細胞の死滅や損傷によって起こる病気(運動ニューロン病)の一つです。主に40〜50歳以降にみられ、手足やのど、舌などの筋肉が次第にやせて、力が出なくなります。

最初は手指が動かしにくく、ひじから先の筋肉がやせてきます。筋肉が衰えると、不規則にピクピク動く症状(筋線維束攣縮)がみられるようになります。のどの筋肉がやせると、話しにくい、飲み込みにくいといった症状が現れます。
症状は進行し、平均2〜3年で呼吸障害に至り、人工呼吸器が必要になります。ただ、感覚や知能は末期まで保たれるのが普通です。

現在、治療法は確立されていません。病気の進行を遅らせるリルゾールの服用で、生存期間を延長させることが可能な場合があります。対症療法としては、痛みには鎮痛薬や適度なリハビリテーションが、不安や不眠には抗うつ薬や睡眠薬が用いられます。

新型インフルエンザに鼻から予防ワクチン

聖マリアンナ医科大学の清野研一郎・准教授らは新型インフルエンザの発生に備え、鼻の粘膜にスプレーで吹き付けて使う予防ワクチンを開発した。実用化できれば注射器が不要になるうえ、様々な系統のウイルスに対しても効果が期待できる。マウスを使った実験で、2系統の鳥インフルエンザウイルスへの感染予防効果を確認した。3―5年以内の臨床応用を目指している。

開発したワクチンは、ベトナムで採取された病原性の強い「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスをもとに作製した。免疫効果を高めるため、「海綿」という海洋生物から発見された化合物を補助剤として加えてある。鼻の粘膜に投与すると、体内の免疫細胞が活性化されて粘膜にウイルスへの抗体ができ、感染を防止する。(NIKKEI NET)

新型インフルエンザについて
新型インフルエンザとは、今までヒトが感染したことのない新しいタイプのインフルエンザのことです。近年、アジアを中心に鳥の間で流行しているのは鳥インフルエンザであり、新型インフルエンザとは異なります。
鳥インフルエンザは、まれにヒトに感染することがありますが、通常ヒトからヒトには感染しません。
これが変化してヒトからヒトに感染する力を持った場合が新型インフルエンザとなります。

新型インフルエンザに対しては、全ての人が抵抗力(免疫)を持っていないため、世界中で同時大流行(パンデミック)し、人命や社会経済活動に多くの被害をもたらすことが心配されています。

がんワクチンの臨床試験を拡大へ:東京大医科学研究所病院

東京大医科学研究所病院は5月から、手術や抗がん剤、放射線などの治療が適さない乳がん大腸がんなどの患者約170人を対象に、大規模で本格的な「がんワクチン」による臨床試験を行う方針を決めた。

がんワクチンは、がん細胞特有の目印物質(抗原)を複数注射し、がん細胞を攻撃する免疫力を増強する治療法で、副作用が少ないのが特徴。国内13大学で行われた小規模試験では一部のがん患者でがんの増殖抑制効果が確認されており、成果が注目される。

同病院が臨床試験を行うのは、食道がん、胃がん、膵臓がん、乳がん、肺がん、大腸がんの6種。代表的ながんを対象に網羅的に試験を行うのは国内で初めて。

対象は、ワクチン投与以外に治療法のない患者。例えば、女性ホルモンや「HER2」という遺伝子が病気の進行に深くかかわっている乳がんでは、これらを抑える薬が効果を示しているが、臨床試験の対象は、こうした治療薬の対象とならない患者で、乳がんでは年間4000〜8000人が該当するとみられる。

がんの目印物質(抗原)は、これまで東大医科学研究所のヒトゲノム解析センターが50種類近くを見つけている。今回はそれらの中から10種類を選び、患者には1〜4種類のがん抗原1ミリ・グラムを1週間に2回ずつ計8回注射。がん細胞を攻撃する白血球を活性化して、がん細胞の縮小や再発防止を目指す。(YOMIURI ONLINE)

乳がんについて
乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。
最もかかりやすいのは40〜50歳代の女性で、次いで60歳代、30歳代の順となっています。
詳しい原因は不明ですが、食生活の欧米化、動物性脂肪の取りすぎ、初産年齢の上昇、母乳授乳の減少、独身女性の増加などが関係していると考えられています。
近年、日本でも増加の一途をたどっており、女性のがんの第一位となるものと予想されています。

乳がんの症状と経過
乳房の外側上方にできやすく、初期にはしこりやひきつれができて痛みはありません。
また、乳頭から血液のような、あるいはサラッとした感じの液の分泌が見られる場合もあります。
進行すると、病変部に潰瘍ができ、脇の下や頚部のリンパ節が腫れてきます。

ニガウリ(ゴーヤ)から糖尿病治療に有効な活性化合成分

体によいとされ、漢方薬にも使われるニガウリ(ゴーヤ)の複数の有効成分と作用を、中国とオーストラリアのチームが突き止めた。「良薬は口に苦し」が科学的に裏づけられた。

ニガウリ(ゴーヤ)

米専門誌に論文を発表したのは、中国科学院上海薬物研究所と豪ガーバン医学研究所。ヒト細胞やマウスで実験した結果、ニガウリから抽出した数種類の化合物に、インスリンのように血糖値を下げる働きがあった。これらの物質が細胞内で脂肪燃焼にかかわる酵素を活性化させ、代謝を高めることも確かめた。

ニガウリは糖尿病やダイエットに効果があるとされる。同研究所の葉陽・主任研究員は「ニガウリは500年以上前の中国の書物で、体の暑さを除き、気を養い、渇きをいやすと紹介されている。そうした効用を科学的に解明することで、新しい薬の開発につながるかも」という。(asahi.com)

糖尿病について
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、インスリンの作用が低下する病気です。インスリンには、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源として筋肉に蓄えたり、脂肪として長期的に貯蔵するのを促進するはたらきがあります。

インスリンの作用が低下すると、血液中のブドウ糖が細胞で利用されないため、血液中の濃度が上昇し(血糖値が上がり)、尿中にも糖が混じるようになります。

糖尿病が進行すると、細小血管がおかされ、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。また、メタボリック症候群と呼ばれる病態に加え、禁煙などの危険因子が重なると、動脈硬化を基盤とした大血管障害を合併し、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こします。

アスベスト(石綿)による労災認定が2年連続増加

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い中皮腫や肺がんなどになったとして、2007年に労災認定された人が189人いることが23日、全国建設労働組合総連合(68万100人)の調査で分かった。同じ調査で把握した認定者数は05年が90人、06年は179人。2年連続で増加した。

アスベスト

集計によると、疾病別の内訳は肺がん100人、中皮腫40人、石綿肺26人など。このほか労災を申請中の人は88人、準備中の人は93人で、認定者数の増加が今後も続くとみられる。

肺がんは喫煙との因果関係も強く、認定のハードルが高いとされるが、今回の調査では、肺がんの認定者数が中皮腫を大きく上回った。

全建総連の宮本一労働対策部長は「建設現場では肺がんを引き起こす白石綿という石綿が多く使われた。建設労働者の肺がんでは、石綿との関連をもっと検証するべきだ」と話している。(shikoku.news)

肺がんについて
肺がんの多くは、腺がんと扁平上皮がんという、気管支の粘膜に発生する2種類のがんです。近年の肺がんの増加の背景として考えられているのは、環境汚染と喫煙です。喫煙と肺がんの関係については多くの報告がありますが、大量喫煙者に肺がんが多いのは間違いのない事実です。

現在までの疫学調査によると、喫煙量が多いほど、また喫煙開始年齢が若いほど、肺がん発生率が高くなることがわかっています。一方、禁煙をすれば、徐々に発がん率が低下し、非喫煙者波になることがわかっていますので、禁煙は肺がん対策の基本中の基本とされています。

肺がんの症状は、がんの発生場所や進行状態にもよりますが、呼吸器系に現れる症状は、咳、痰、血痰、胸痛、呼吸困難などで、そのほか発熱、食欲不振、倦怠感などをともなうこともあります。

慶応大病院が「予防医療センター」の新設を計画

慶応大病院が「予防医療センター」(仮称)の新設を計画していることがわかった。「病気予防」に特化して院内の各診療科を横断的に組織し、がん、心臓病、脳卒中、認知症などの予防、早期発見、早期治療を行う。大学病院としては異例の試みで、来年から再来年にかけての開設を目指し、21世紀にふさわしい医療のあり方を示す考えだ。

創立150年を迎えた慶応大は、高齢化の進展に合わせて「健康寿命の延伸」という課題に取り組むためセンターを計画。同病院のある信濃町キャンパスを刷新するのに伴い、新施設を建設するという。

センターでは、心臓外科や脳外科のように臓器別に分かれている各診療科から、がんや心臓病、認知症など病気のターゲットごとに必要な人材を集める「診療クラスター」という横断的組織を構築。予防や早期発見・早期治療に総合的に取り組む。

ハード面では、がんの診断に利用されているPET(陽電子放射線断層撮影)について、国内外の民間企業と連携して、日本人に多い心筋梗塞や脳梗塞などの診断をはじめ、認知症の兆しなども発見できるようにする研究開発を行うという。

また、腰痛や関節症のような日常生活に著しい障害を与える「生活機能病」についても点検できる態勢を整備する。糖尿病などの生活習慣病の啓発にも力を注ぐという。(産経新聞)

陽電子放射断層撮影(PET)装置について
RI(ラジオアイソトープ=放射性同位元素)を体内に投与し、RIが体外に発する放射線を検出器で測定し、コンピュータ処理して断層画像を得られるようにした検査です。
さまざまなRIを用いて、糖代謝、タンパク代謝、酸素消費量などを調べることができます。

人体組織内の糖代謝を調べる「FDG-PET」が最もよく行なわれています。多くの腫瘍で糖の代謝が亢進することを利用した検査で、非常に小さい段階での腫瘍発見に有用な場合があります。
しかし、RIが高価で半減期が短いため一部の医療機関でしか受けることができないのが難点となっています。

後期高齢者医療制度で人間ドックが自己負担に

75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(通称・長寿医療制度)に移ったことで、市町村の国民健康保険で独自に実施されている人間ドック費用の補助が受けられないケースが相次いでいる。

多くの市町村国保では、加入者が人間ドックを受ける際に費用の一部を負担している。厚生労働省によると、05年度時点で1200余りの市町村国保が人間ドックの助成制度を設けていた。

しかし、4月から75歳以上の人は新制度に移行したことで、国保独自の支援を受けられなくなった。新制度を運営する各都道府県の広域連合では、人間ドックや脳ドックに対する費用補助を実施しているところはないという。

京都府では、昨年度まで26市町村中23の自治体で人間ドックに補助が出ていた。広域連合での補助も検討したが「保険料が膨らむほか、国保以外の人もいる」などとして、見送ったという。
横浜市では、3万〜4万円かかる人間ドックが、国保からの補助があり、1万3千円の自己負担で受診できた。(asahi.com)

人間ドックについて
人間ドックは、労働安全衛生法や老人保健法に基づいて行なわれる定期健診や基本健康診査とは異なり、法律とは無関係に私的機関によって実施されているものです。
一般の定期健診より検査項目が多く、胃がん検査に内視鏡が用いられるなど、より高度な検査が行われます。

検査日程は、日帰り型の1日人間ドックや1泊2日ドックなど、いくつかのコースがありますが、1日型と1泊2日が一般的です。時間をかけるコースほど、検査項目が多くなります。
検査費用は健康保険が適用されませんので、自己負担となります。なお、受検者の勤める企業によっては、補助金を出しているところもありますので、1度チェックしてみるとよいと思います。

30〜40歳代の人は2年に1回、50歳代以降の人は1年に1回、人間ドックを受けるのが理想です。

多発性硬化症治療薬で症状悪化、副作用:37%が治療中止

手足のまひや視覚障害などが出る難病「多発性硬化症」の治療薬インターフェロンベータの使用後に、症状の悪化や副作用のため治療を中止した例が37%にのぼることが、厚生労働省研究班の緊急全国調査でわかった。

インターフェロンベータ

日本神経治療学会日本神経免疫学会は2004年、一時的に症状が悪化しても進行を抑える可能性があるので薬の使用を中止すべきではない、とする治療指針を作成したが、両学会はこの指針の見直しを始めた。

この薬の使用後、手足のまひが急激に進行して歩けなくなるなどの患者が7人いた、との報告があったため、厚労省研究班は全国977医療機関に緊急調査を実施した。治療を受けた患者計308人のデータを分析したところ、37%に当たる114人が治療を中止していた。理由は「副作用(40%)」「効果がない、不十分(19%)」「症状が悪化(11%)」などだった。(YOMIURI ONLINE)

多発性硬化症とは?
脳や脊髄など中枢神経に脱髄変化(神経線維を保護している髄鞘が破壊されること)が生じて、運動障害や知覚障害が起きる病気です。ウイルスかアレルギーあるいは免疫反応異常が原因とされていますが、はっきりわかっていません。厚生労働省の難病の指定(特定疾患)を受けています。

「多発性」と名がつくように、数々の神経障害がみられます。典型的な症状は視力障害で、ものが二重に見えてたり、視力低下、痛みなどが起こります。手足の力が抜ける、動きがぎこちなくなるなどの運動障害もよくみられます。
そのほか、体の一部が刺されるような異常感覚、しびれ、痛みをともなうことがあります。

多発性硬化症は30歳前後に発症しやすく、寛解(症状が消失すること)と再発を繰り返していくうちに重症化していきます。

飲むワクチンで花粉症患者の症状が改善

花粉症を引き起こすたんぱく質をスギ花粉から取り出し、弱毒化して錠剤として飲む方法で、花粉症患者8割以上の症状が改善したと、山口大の加藤昭夫名誉教授の研究室が学会で発表した。

加藤名誉教授によると、2006年に花粉症の原因となるたんぱく質を1日に0.7ミリグラム摂取するよう調整した錠剤を患者40人に30日間投与したところ、34人の症状が改善。うち5人は完治したという。

治療の原理は注射と同じだが、注射による治療が数年かけて、継続的に行わなければならないのに対し、この「経口ワクチン」による方法は錠剤を1カ月飲むだけで、「手軽な治療法」としている。(時事通信)

花粉症について
スギやヒノキなどの花粉をアレルゲンとする季節性のアレルギー症状です。
からだが花粉を「自己ではないもの」として認知すると、これに対して抗体をつくります。
ここに花粉が再び入ってくると、抗原抗体反応が起き、この反応が刺激となってヒスタミンなどの化学物質が放出されます。その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといったアレルギー症状がもたらされるのです。

初めて花粉症になった年は、抗ヒスタミン薬などの対処療法しかありませんが、次の年からは、花粉が飛び始める2週間前ごろから、抗アレルギー薬を飲んで、症状を軽くするという方法があります。

また、時間はかかりますが、原因となる抗体に対する過敏性を低下させて、アレルギー反応を起こさないような体に作り変える、減感作療法という方法もあります。

強度不足でバルーンカテーテルを自主回収へ:ニプロ

医療機器大手のニプロは17日、心臓の血管を風船で拡張するための医療機器「バルーンカテーテル」の強度が不十分で、空気が血管内に混入する恐れがあるとして、「サイドキック」「ギムレット」という2製品計5680個を自主回収すると発表した。

狭心症などの治療のため、プラスチック製のカテーテル(管)の先に取り付けた風船を心臓の血管内で膨らませて使うもので、2007年11月、千葉県の病院で患者の血管内に空気が混入する事故が1件あった。

回収対象は06年11月〜07年8月に販売された製品で、全国の病院など247施設に納入されている。(YOMIURI ONLINE)

狭心症とは?
冠動脈の内腔が動脈硬化によって狭くなる「狭窄」がすすみ、運ばれる血液量が少なくなり、心臓を構成する心筋が一時的に酸素不足になって胸痛が生じます。
労作性狭心症と安静狭心症があり、症状が頻繁に起こったり、症状の持続時間が長くなるなど、悪化した状態を不安定狭心症といいます。

狭心症と症状は、胸部の広い範囲に鈍痛、圧迫感、胸を締め付けられるような痛みが生じます。痛みが、喉や顎、左上腕、背部にもみられ、またみぞおちあたりにも起こり、胃・十二指腸、胆嚢、すい臓の病気と間違われることもあります。

治療には、冠動脈の内腔を広げる薬剤や脈拍を抑える薬剤などを服用します。
また、冠動脈の狭窄部を広げるバルーン療法やステント植え込み術、バイパスなどの外科的治療を行います。

緑内障の重症患者の6割が自動車を運転:事故を起こすケースも

視野が狭くなった重症の緑内障患者の6割が自動車を運転し、4人に1人は事故を起こしている−。自治医科大病院の外来患者の分析で、こんな結果が出た。
公共交通機関が不便な地域では、物損事故を繰り返してもやむなく運転するケースもあるという。同大の国松志保講師は「全国的にみても自家用車に頼る地域では同様の傾向があるとみられる。医師が患者に注意喚起していく必要がある」と指摘する。17日から横浜市で開かれる日本眼科学会で発表する。

緑内障は眼圧上昇などにより視神経が傷ついて視野が狭くなる病気。40歳以上の約5%がかかっているとされる。調査は昨年7〜12月に同病院の緑内障外来を受診した患者377人のうち、視野の狭くなる度合いが最も進み、かつ視力が0.7以上の患者35人を対象にした。

このうち、日常的に運転していたのは22人。平均年齢は58歳で、運転していない13人の平均年齢(69歳)より若かった。緑内障を発症していた過去5年間に事故を起こした人は6人(27%)で、最も多かった55歳の男性は物損事故3回、人身事故1回の計4回だった。(毎日.jp)

緑内障とは?
眼球内を循環する房水の流れが悪くなり、眼圧が高まって視神経が障害される病気です。
緑内障は急性緑内障と慢性緑内障に分けられます。急性の場合は、眼圧が急に高くなって、視力が衰え、眼の痛みや頭痛、吐き気、嘔吐などの症状があらわれます。

慢性の場合は、自覚症状が少なく、慢性に経過しますが、放置すると徐々に視力が低下し、視野が狭くなり、失明することもあります。

眼圧検査で眼圧が高いこと、眼底検査で網膜の視神経乳頭という箇所に陥凹があること、視野検査で異常があることの3点が確認されれば、緑内障と診断されます。
ただし、眼圧が基準内(21mmHg未満)の正常眼圧緑内障のほうが日本人には多いので、検査が大切です。

乳製品を多く食べる男性は前立腺がんの発症率が1.6倍に?

乳製品をたくさん食べる男性は、ほとんどとらない男性に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になることが、厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。
乳製品は骨粗しょう症や高血圧、大腸がんの予防に有効だとする報告も多く、研究班は「乳製品の摂取を控えた方がいいかどうかは総合的な判断が必要で、現時点での結論は出せない」としている。

研究班は、95年と98年に登録した全国10府県に住む45〜74歳(登録当時)の男性約4万3000人を04年まで追跡。このうち329人が前立腺がんを発症した。
牛乳やヨーグルトなど乳製品の摂取量によって4群で分析した結果、最も多い群は、ほとんどとらない群に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になった。摂取量が多いほど危険性が高まる傾向がみられた。

乳製品に多く含まれるカルシウムと飽和脂肪酸は、前立腺がん発症の危険性を高める可能性のあることが報告されている。(毎日.jp)

前立腺がんについて
前立腺がんは、精液を作っている前立腺の外側に発生するもので、日本でも最近増えているがんの一つです。初期には自覚症状に乏しいため、早期発見の難しいがんですが、治療による延命効果が高いことで知られています。

早期では無症状ですが、進行すると前立腺肥大症と同様に、夜中に何度もトイレに起きたり、排尿の勢いが弱くなったり、排尿そのものに時間がかかるようになります。

前立腺がんは男性ホルモンが症状を悪化させ、女性ホルモンが症状を改善します。そのため、薬や手術によって男性ホルモンの分泌を抑えたり、女性ホルモンを長期間投与します。早期なら、前立腺を摘出する手術によって完治も期待できます。

オーダーメード医療の実現へ向け、日米が共同研究へ

患者一人ひとりの遺伝子レベルの体質に応じて治療するオーダーメード医療の研究を、日米の研究機関が共同で始める。15日、理化学研究所 ゲノム医科学研究センターと、米国立保健研究所(NIH)傘下の研究機関などが合意書に署名した。まず、乳がんの治療や脳梗塞の予防など5件の研究にとりかかる。

日米でトップの研究機関が、こうした共同研究を行うのは初めて。互いの能力や資源を効率的に利用した方が研究に無駄がなく、治療の標準化も図れると判断した。NIHの研究機関は、国立がん研究所など3機関で、これらが関与する薬理遺伝学研究ネットワークも参加する。

ゲノム医科学研究センターとともに国際薬理遺伝学研究連合を創設し、薬の効果や副作用にかかわる体質の研究を急ぎ、臨床への応用を早める。

米国は、オーダーメード医療に積極的で、一部の薬については米食品医薬品局が使用前の遺伝子検査を推奨している。研究には米国の有力大学や有名病院も加わる。(asahi.com)

オーダーメード医療とは
個人によって違う遺伝子情報にもとづいておこなわれる診断・治療のことです。遺伝子情報を調べることで、治療薬の効果や副作用の有無などがあらかじめ分かり、患者個人に最適な治療を行うことができると考えられており、DNA配列の解読技術が進んだことで実現の可能性を帯びてきました。病名が決まるとそれに応じた画一的な治療がなされる「レディーメード医療」に比べコストはかかるものの、副作用が少なく、より確実な効果が期待できるとされています。

すべての病気をオーダーメード医療で治療しようという研究も進んでいます。文部科学省が進めるオーダーメード医療実現化プロジェクトでは、東大医科学研究所のゲノム解析センターが中心となり、世界最速クラスの遺伝子解析装置を使って全国の病院で集めた30万人分の患者の遺伝子を解析しています。

ムコ多糖症の治療薬「ナグラザイム」が発売:アンジェスMG

遺伝子治療薬の研究・開発、販売などを手掛けるアンジェスMGは、先天性の難病とされるムコ多糖症VI型向け治療薬「ナグラザイム円的静注液5mg」の発売を開始した。同製品は、自社で販売する初の製品となる。

ナグラザイムは、米医薬品メーカー、バイオマリン・ファーマシューティカルが開発したムコ多糖症VI型治療薬。ムコ多糖症VI型患者で欠損している酵素を外部から補うために開発された。酵素を補う方式の治療薬で世界で初めて承認された。アンジェスMGは、ナグラザイムの日本国内での開発・販売権を取得した。(Fujisankei Businessi)

ムコ多糖症について
ムコ多糖症は、正式にはムコ多糖代謝異常症といいムコ多糖(アミノ糖を成分にもつ多糖の一群)を分解する酵素が、生まれつき欠けていることにより、全身(特に皮膚、骨、軟骨などの結合組織)に ムコ多糖の切れ端が蓄積し、種々の臓器や組織が次第に損なわれる進行性の病気です。

その中には7つの主な型があってそれぞれ異なった酵素の欠損によりムコ多糖症T型からZ型に分類され、ハラー(IH型)、シャイエ(IS型)、ハンター(U型)、サンフィリポ(V型)、モルキオ(W型)、マルトラーミー(Y型)、スラィ(Z型)の各症候群として知られています。

これらの約半分は、種々の程度の知的障害を伴い、ほとんどは進行性で、成人に達するに死亡する型もあります。主な症状は、著しい骨の変化、短い首、関節が固くなる、粗い顔つき等です。その他、角膜混濁、難聴、肝肥腫、心臓疾患、低身長などの症状がみられます。

中皮腫で死亡した患者の15%は誤診の可能性:知識不足が原因か

アスベスト(石綿)の吸引が発症原因とされるがんの一種「中皮腫」で死亡した全国の患者のうち、約15%は死因が中皮腫でなく誤診だった可能性があることが、岡山労災病院の岸本卓巳副院長らのグループの研究で分かった。

中皮腫は診断が難しい病気とされるが、ほとんどは医師の知識不足が原因。誤診の場合、本来は必要のない劇薬治療や投薬代で患者に大きな負担を強いた可能性がある。国の救済金(弔慰金)支給制度に混乱を与える可能性もあり、診断技術の向上が急務の課題として浮かび上がった。

研究では、平成15〜17年の間、死因が中皮腫となっている全国の死亡届約400人分を再調査。遺族の許可を得てカルテやエックス線の記録を調べたところ、約15%に当たる約60人が検査が不十分なまま中皮腫と診断されていた。
検査のための細胞を採取する個所が不適切だったり、レントゲンを読み間違えるなど、医師の中皮腫に対する知識不足が原因のケースがほとんど。

こうした不十分な検査では、中皮腫と特定することはできず、病名も別のがんで、石綿とは無関係だった可能性があるという。(産経新聞)

胸膜中皮腫について
胸膜に起こるがんで、アスベスト(石綿)を扱う仕事に長年従事した人に発病しやすいといわれていましたが、石綿関連工場の周辺に住んでいた人にも発症したことがわかり、社会問題になっています。

胸膜中皮腫の症状には、息切れや胸痛、疲労感などがみられますが、診断をつけるのは難しく、胸部エックス線検査で胸水と胸膜肥厚がある場合にこの病気を疑います。

正確に診断がつけば、手術で腫瘍と周辺組織を切除します。併せて抗がん剤や放射線療法を行うことがあります。ただ、高齢になってから発症するケースがほとんどで、また、発見されたときはかなり進行していることが多いため、手術が困難なうえ、抗がん剤や放射線治療も、効果はあまり期待できません。

iPS細胞を使いパーキンソン病の症状を改善:ラット実験で成功

新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から作り出した神経細胞を使い、パーキンソン病のラットを治療することに、米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らのグループが成功した。iPS細胞が神経病の治療に使えることを初めて示した成果。米科学アカデミー紀要に7日発表した。

研究グループは、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化させた。パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹の脳に移植したところ、8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなった。

パーキンソン病は、ドーパミン細胞の異常で手のふるえなどが起きる難病。移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めたらしい。
患者自身の皮膚などからiPS細胞を作れば、拒絶反応なしにこうした移植治療ができると期待される。(YOMIURI ONLINE)

パーキンソン病とは?
中脳にある黒質(黒い色素を含む細胞が集まっている場所です)の神経細胞が変性するために、手足のふるえ、筋肉のこわばり、動きの低下などの症状が現れてくる病気です。

不随意運動(無意識に行われる筋肉の動き)をコントロールしているのは大脳基底核で、大脳基底核へ情報を伝達するのは、中脳の黒質から放出されるドーパミンという神経伝達物質です。
その黒質が何らかの影響で損傷を受け、ドーパミンが不足して大脳基底核が正常に機能できなくなるために起こると考えられています。

日本における患者数は、平成17年度厚生労働省患者調査より約14万5000人と推計されていますが、50〜60歳代で発症することが多く、高齢化に伴って患者数は増加しています。

体内吸収型のステントを発売へ:閉塞性動脈硬化症などを対象

狭まった血管に入れて広がりを保持する「ステント」という医療器具を、体内で分解・吸収される製品とすることに、京都のメーカーが成功した。欧州基準への適合を認められ、初夏にも欧州で発売される。生体吸収性ステントは欧米で研究中だが、販売のめどが立ったのは世界初という。将来は日本でも承認を目指す。

開発したのは、医療器具製造販売「京都医療設計」。器具は網型の筒状で直径5〜8ミリ、長さ3.6センチ。動脈硬化などで狭まった血管内の病変部に入れ、風船状のバルーンカテーテルで押し広げて固定。血流を確保する。今回の製品は、材料に生体分解性ポリマーのPLLAという合成樹脂を使用。水分で分解されて2〜3年後には血管内に吸収されるのが特徴だ。

PLLAは、今も骨をつなぐピンとして治療に使われている。開発では血管内で筒状の形を数カ月保てる強度にするため、化学構造を工夫した。03年からドイツなどの病院で臨床試験。昨秋、医療器具としての流通が可能になる欧州の安全性基準「CEマーク」を取得した。足の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症などを対象に販売される。(asahi.com)

閉塞性動脈硬化症とは?
閉塞性動脈硬化症は、手足の末梢動脈が詰まる病気のことで、患者数は約50万人とされています。50歳以上の中高年男性に多く、脂肪分の多い食生活の影響などで患者数は年々増加傾向にあります。

症状は足に現れ、血行不良から足が冷たくなったり、歩くと痛む「間欠性跛行(はこう)」という症状が出たりします。血管が詰まって、壊死(えし)し、切断を余儀なくされる患者も2%います。

治療の第一歩は、病気を悪化させる危険を減らすことです。喫煙、糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満、運動不足、ストレスなどの改善が重要で、禁煙は絶対とされています。
それでも症状が改善しない場合、運動療法や薬物療法が行われます。運動療法では、自転車こぎなどの運動を1日30分程度、週3回。薬物療法は、血液をサラサラにする抗血小板薬を服用します。

これらの治療で十分な効果が得られない場合、足の付け根の動脈などに細い管(カテーテル)を挿入し、管の先に付けた風船を膨らませたり、金網の筒(ステント)を置いたりして狭くなった血管を広げる「血管内治療」が行なわれます。

統合失調症の発症に関与するタンパク質を発見

記憶や行動に影響を及ぼし、統合失調症の発症にもかかわるタンパク質を、アステラス製薬(東京)の松本光之主管研究員と米国立精神衛生研究所などのチームが発見し、米科学アカデミー紀要(電子版)に7日付で発表した。

このタンパク質の働きを抑える物質が見つかれば、統合失調症などの治療薬に使える可能性があるといい、同社が研究を進めている。

中枢神経で強く働いている「SREB2」と呼ばれるタンパク質。人や動物のゲノム(全遺伝情報)を利用した薬の研究過程で見つかった。

松本さんらは、SREB2が脳で過剰に機能するマウスと、働かないマウスの2種類をつくって調べたところ、過剰なマウスでは脳が小さくなり中のすき間が拡大。記憶や情報処理など、統合失調症と関連する障害も観察された。

一方、SREB2が働かないマウスでは脳の重量が増加、記憶力も向上するなど逆の傾向がみられた。(shikoku.news)

統合失調症について
統合失調症は、精神疾患の中でも最も慢性・消耗性の疾患で、世界人口の約1%が罹患していると言われています。統合失調症では、明晰な思考、感情のコントロール、決断、他者との繋がり、といった患者の社会的能力が阻害されます。

成人期初期に発病(発現)することが多く、幻覚や妄想といった陽性症状と社会的引きこもりや感情鈍磨といった陰性症状が特徴的です。 日本では、70万人以上の人が統合失調症を罹っていますが、服用している薬剤を頻繁に変更する患者が少なくありません。
薬剤を変更する主な理由として、治療の効果が不十分なことや、体重増加や錐体外路系症状などの抗精神病薬による副作用が現れることが挙げられます。

統合失調症の患者は病識がない場合が多く、薬を処方どおりに服用しないことがありますので、病識がもてるまでの間は家族など周囲の人が薬を管理することが必要となります。
病気ではないと思っている人に薬を服用してもらうことは簡単ではありませんが、服用は治療の基本です。

家族をはじめ、担当医を含めた医療関係者(看護師、薬剤師、精神科ソーシャルワーカー、臨床心理士)などが、連携しながら本人を援助していくことが大切です。

×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。