日焼けマシンの使用は発ガンリスクが高い:WHO研究機関

世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、日焼けサロンやスポーツジムで使われ、人工的に紫外線を出す「日焼けマシン」の使用は発がんリスクを確実に高めるとして、発がんリスク分類でもっとも危険性の高い「グループ1」に引き上げた。

IARCは、日焼けマシンと皮膚がん(メラノーマ)との関係を調べた19論文を分析。30歳未満で日焼けマシンを使った経験のある人は、使ったことのない人より75%もリスクが高いことがわかった。日焼けマシンの使用による、眼球の色素細胞にできるがんのリスクも高かった。

従来、紫外線のうちB紫外線(UVB)にだけ発がん性があると考えられていたが、地上に降り注ぐ紫外線の95%を占めるA紫外線(UVA)もUVBと同じように発がん性があることもわかったという。(asahi.com)

メラノーマ(悪性黒色腫)
皮膚がんの中でも、特に悪性度が高いがんです。日本人の場合は足の裏やつめなどに多く発生しています。輪郭がハッキリしない黒褐色のほくろで、かゆみや出血をともなう場合は、すぐに皮膚科を受診しましょう。

治療は手術が原則です。病変部だけではなく、リンパ節まで切除する場合があります。欠損した部位には植皮や皮弁移植を行います。



簡易尿検査でも男性のクラミジア感染判定が可能に:英研究

「迅速検査法」と呼ばれる簡単な尿検査により、男性のクラミジア感染症を早期に発見し、セックスによるパートナーへの感染リスクを軽減できることが、英国の研究グループによって報告された。英国医師会誌「BMJ」オンライン版に7月28日掲載された。

従来のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法に代表されるの核酸増幅検査では技術的に複雑なうえに、高コスト、さらに検査結果が出るまでに数日が必要であったことから、パートナーへの伝播リスクをそのまま放置してしまうという欠点があった。

ケンブリッジ大学のヘレン・リー博士が開発した尿による簡易検査は高い感受性(82.6%)および特異性(98.5%)が認められ、かつ1時間以内に結果を得ることができるので、クラミジアの感染が分かったその場で治療を開始することができる。

クラミジアは抗生物質で簡単に治療できるが、放置していると女性では不妊症および子宮外妊娠などの妊娠や出産に影響を与える合併症を引き起こす可能性があるほか、近年の研究ではクラミジア感染症が不妊症の原因となることが明らかになっている。

緑黄色野菜が大腸がんを抑制する仕組みを解明

埼玉県立がんセンター・臨床腫瘍研究所(川尻要専門員)らのグループは、緑黄色野菜に多く含まれるインドール化合物が大腸がんの発生を抑制する仕組みを解明、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

グループによると、緑黄色野菜が大腸がんの予防に効果があることは以前から知られていたが、どのような仕組みで効果が生じるのかは分かっていなかった。今回の研究で、インドールがAhRというタンパク質を活性化させ、がんを引き起こす物質β―カテニンを分解するメカニズムが初めて明らかになった。大腸がんの予防法の開発への応用が期待される。

インドール化合物は、ブロッコリーやキャベツ、カリフラワーなどアブラナ科の野菜に多く含まれる。グループによると、大腸がんは、細胞増殖を進めるβ―カテニンとそれを分解するタンパク質APCとの割合が遺伝子変異で崩れ、β―カテニンが過剰に蓄積することで発症するとされていた。(shikoku.news)

大腸がん
その形態によって腺がんと表在性のがんに分けられます。大腸がんの90〜95%を占めるのは、粘膜層の腸腺に発生する腺がんです。これは、大腸の内側にできるポリープ(良性腫瘍)の一部ががん化し、腸壁の内部まで浸潤していくものです。

このタイプの大腸がんは比較的発見が容易です。またポリープががんに変化するまでには何年もかかるため、ポリープのうちに切除すれば、がんを予防することができます。

これに対し、もう一方の表在性のがんは、初めから粘膜表面にそってがん病巣が広がります。そして、腸壁の内部に広がったり腸の外側へ飛び出したりしないため、通常の造影剤を用いたX線撮影などでは発見しにくく、進展するまで気づかないこともあります。しかし近年、大腸がんの検査技術は急速に進歩しており、初期がんでも発見率が上昇しています。

遺伝子の組み込みでインスリン分泌細胞を作成:米ハーバード大

膵臓に豊富に含まれる細胞にわずか3種類の遺伝子を組み込んで、血糖を下げるインスリンを分泌する細胞へと体内でつくり変えることに、米ハーバード大チームがマウス実験で成功、英科学誌ネイチャー(電子版)に28日付で発表した。インスリンをつくれない糖尿病の再生医療に応用が期待される成果。

再生医療の分野では、山中伸弥京都大教授が、皮膚などの体細胞を未分化な状態に戻した新型万能細胞「iPS細胞」が注目を集めている。だが今回は、体細胞を未分化な状態にせず、直接別の細胞に転換できることを初めて示した。万能細胞より、必要な細胞を早く得られる可能性がある。

チームは膵臓の形成にかかわる約200種類の遺伝子の機能を調べ、膵臓でインスリン分泌を担う「ベータ細胞」づくりに重要とみられる遺伝子を絞り込んだ。
最終的にそのうち3種類を、膵臓の約95%を占める「外分泌細胞」と呼ばれる細胞に特殊なウイルスで組み込むと、膵臓に1%程度しか含まれないベータ細胞とそっくりな細胞に変えられることを突き止めた。(下野新聞)

糖尿病について
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、インスリンの作用が低下する病気です。インスリンには、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギー源として筋肉に蓄えたり、脂肪として長期的に貯蔵するのを促進するはたらきがあります。

インスリンの作用が低下すると、血液中のブドウ糖が細胞で利用されないため、血液中の濃度が上昇し(血糖値が上がり)、尿中にも糖が混じるようになります。

糖尿病が進行すると、細小血管がおかされ、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。また、メタボリック症候群と呼ばれる病態に加え、禁煙などの危険因子が重なると、動脈硬化を基盤とした大血管障害を合併し、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こします。

温熱療法と免疫療法の併用で副作用の少ないがん治療

同志社大と教育研究分野で連携する包括協定を結ぶ医療法人「医聖会」は、温熱療法と免疫療法を併用した副作用の少ないがん治療を、9月下旬から京都市左京区の診療施設「百万遍クリニック」で始めると発表した。

医聖会によると、温熱療法は患部を電磁波などで40−43度に温めてがん細胞を死滅させる。免疫療法は患者のリンパ球などの免疫細胞を体外で増殖させて体に戻し、がんを攻撃させる。

いずれの療法も手術や抗がん剤、放射線では治療が難しいがんに有効とされ、併用した治療が近年実績を上げている。(shikoku.news)

免疫療法
人間の体に備わっている免疫力を強化して、がん細胞を攻撃しようというものです。もともと体に備わった機能なので、副作用の少ない治療法ですが、単独でがんを治せるほど強力ではありません。

血液中からリンパ球を取り出し、手術で摘出した自分のがん組織及びサイトカインと一緒に体外で培養し、体内に戻すCTL療法や、がん細胞などの抗原の特徴をTリンパ球に伝える樹状細胞をがん組織や人工抗原などと一緒に体外で培養し、がん細胞の情報を教え込んでから体内に戻す樹状細胞療法、インターフェロンなどのサイトカインを産生するNKT細胞を活性化して体内に戻すNKT療法などがあります。

カラコンを高度管理医療機器に指定:相次ぐトラブルを受け

「おしゃれ用カラーコンタクト」について、厚生労働省薬事・食品衛生審議会の専門部会は、視力矯正のためのコンタクトレンズと同様に、薬事法上の「高度管理医療機器」に指定し、販売規制することを決めた。来年4月にも施行する。

カラーコンタクトは現在、かつらなどと同じく雑貨品扱い。規制は事実上皆無で、品質基準もなく、自由に販売できる。若い女性を中心に流行するが、角膜炎角膜びらんなどの障害が多数報告され、厚労省は規制を決めた。

同機器に指定されると、製造工程や製造方法の審査などがある。販売事業者は都道府県知事の許可を得る必要がある。また販売時に、装着リスクを説明することも義務づけられる。(asahi.com)

角膜炎
細菌や真菌(カビ)などの感染、怪我やコンタクトレンズなどによる外傷、全身の病気などが原因で、黒目の部分にあたる角膜に炎症が起こり、眼の痛みや流涙、視力低下を引き起こす病気です。

重症化すると、角膜実質にまで病気が及び、角膜の透明性が失われる角膜潰瘍になります。この段階になると、治療後も傷あとが残るため、視力障害が起こることもあります。

サリドマイドの販売再開を前に被害防止対策を本格化

催奇形性が社会問題となり、46年前に販売が中止されたサリドマイドについて、厚生労働省は、国内での販売再開をにらんだ被害防止策の検討を本格的に始める。有識者らによる安全対策検討会を設置し、26日に初会合を開く。

血液のがんの一種である「多発性骨髄腫」治療薬としての製造承認をめぐる同省の審査が、大詰めを迎えたのを受けた措置。薬害の被害者団体から厳格な安全管理体制を求める声が出ていた。

承認申請は、藤本製薬が2006年8月に同省へ提出。審査してきた薬事・食品衛生審議会の部会が27日、多発性骨髄腫への有効性などについて結論をまとめる見通しだ。同省は、審議会と検討会の両方の意見を踏まえ、最終的に承認の可否を決める。(shikoku.news)

サリドマイド
副作用のない睡眠薬として開発・販売されましたが、妊婦が用いた場合に催奇形性があり、販売中止となりました。
しかし、90年代に多発性骨髄腫に有効との報告が相次ぎ、がんの治療薬として再び注目されるようになりました。欧米諸国や韓国などでは承認され、サリドマイドを含む併用療法が標準的な治療薬となりつつあります。

セカンドオピニオンの外来数が倍増

がんなど重大な病気の治療方法で、患者が最初に訪れた病院の主治医以外に意見を求めることができる制度「セカンドオピニオン」の外来数が2007年は1729件と、診療報酬改定前の05年に比べ倍増したことが21日、厚生労働省のサンプル調査で分かった。

別の病院の医師にセカンドオピニオンを求める患者を何らかの方法で受け入れる病院は回答を寄せたうち34%となるなど受け入れ態勢も進み、制度が定着し始めていることが浮き彫りになった。

2006年度の診療報酬改定で、主治医がカルテや画像のコピーなどの診療情報を提供すれば5000円(患者負担は原則3割)の報酬を受け取れるようになり、患者がセカンドオピニオン外来を利用しやすくなったのが影響したとみられる。(shikoku.news)

セカンドオピニオン
ある同じ病気に対して、複数の医師から意見を聞いて、治療方針決定の参考にすることです。現在診てもらっている主治医とは別の医療機関に所属する医師や、専門領域や立場の異なる医師に意見を求めることにより客観的に公正な見解を述べてもらいます。

シフト勤務で高血圧リスクが増大:不規則な睡眠リズムが原因

仕事の時間帯が昼だったり夜だったりする交代制(シフト)勤務の人は、そうでない人と比べて血圧が高くなる危険が約1.2倍あるとする調査結果を千葉大の研究グループがまとめた。仕事そのものはきつくなくても、不規則な睡眠時間で血圧が上がりやすくなる可能性があるという。

関東地方のある大手製造企業の事業所で、昼間勤務の約4千人と交代制の約2700人を対象に91年、健康状態の調査を始めた。05年に改めて状態を調べた。交代制は午前7時、午後3時、同11時からそれぞれ始まり、いずれも8時間勤務。

最初に血圧を測ってから05年までの間に収縮期の血圧が30%以上高くなった人は、日勤で全体の6.0%だったのに対し交代制では9.5%。年齢や体形、喫煙習慣など血圧を上げる他の要因を除いて分析しても、交代制勤務の方が1.23倍上がりやすかった。

交代制勤務については、肥満や糖尿病を招きやすいといった報告がある。海外では、心臓病のリスクが高まるとの調査結果もある。睡眠リズムの乱れなどが理由とされる。(asahi.com)

高血圧について
年齢とともに血管は弾力を失い、また血管の内側に脂質などがたまって細くなるために、流れる血液が血管にかける圧力(血圧)が高くなります(本態性高血圧)。腎臓病やホルモンの分泌異常などのの病気が原因になることもあります(二次性高血圧)。

血圧が高いと、更に血管を傷めたり、脂質などが蓄積するのを促進し、動脈硬化を進めます。その結果、腎臓病を悪化させ、脳卒中や心臓発作の危険を高めます。

親知らずの細胞からiPS細胞を作成

「親知らず」の歯の細胞から、様々な細胞に変化する新型万能細胞(iPS細胞)を作製することに、産業技術総合研究所の大串始・主幹研究員らが成功した。

東京大学で21日開かれたシンポジウムで発表した。歯科医院などで抜いた親知らずを集めてiPS細胞の種類を増やせば、拒絶反応のない再生医療への応用が近づくと期待される。

大串研究員らは、日本人の女児(10)から抜いた親知らずの歯の細胞に、世界で初めてiPS細胞を作った山中伸弥・京都大教授が用いた3種類の遺伝子を組み入れた。約35日間培養したところ、高い増殖能力を持つiPS細胞が出現。様々な種類の細胞に変化できる能力も確認した。(YOMIURI ONLINE)

iPS細胞
数種類の遺伝子を体細胞に導入して、様々な細胞に成長することができる能力を持たせた細胞のことです。山中伸弥京都大教授らが2006年、マウスの皮膚細胞から作製、2007年11月、ヒトの皮膚細胞からの作製にも成功して大きなニュースとなりました。

患者自身の細胞からつくったiPS細胞は患者と同じ遺伝情報を持つため、再生医療に使った場合、拒絶反応がありません。病気の仕組み解明や薬の開発、副作用試験の応用も期待されています。

ターメリック(ウコン)から記憶力を高める物質:武蔵野大学

武蔵野大は、米ソーク研究所との共同研究で、カレーのスパイスの一種ターメリック(ウコン)から作った化合物に記憶力を高める効果があることが動物実験でわかった、と発表した。アルツハイマー病など脳疾患の予防などに役立つ成果として注目される。

同大の阿部和穂教授らは、インドでアルツハイマー病の患者が少ないことに着目。
その秘密は食生活にあるとして、同国の代表的料理カレーに含まれる様々なスパイスの効果を調べたが、ターメリックに、加齢などによる脳の神経細胞の損傷を防ぐ働きがあることを確認したにとどまった。そこで研究チームは、米ソーク研究所がターメリックの成分(クルクミン)から作った新化合物「CNB―001」の効果をラットを使って調べた。

その結果、ターメリック由来の化合物を飲むと、飲まないラットに比べて、記憶力が高まっていることが観察できた。阿部教授は「新化合物は、脳の記憶にかかわる海馬部分を直接活性化している可能性が高い。今後は、安全性を確認し新薬の開発を目指したい」と話している。(YOMIURI ONLINE)

ターメリックとは?
ターメリックとはカレー粉の主要なスパイスで、日本名はウコンです。ウコンはインドや中国で古くから、黄疸など効く生薬として重宝され、日本でも肝臓や胃腸の薬、強心薬として使われていました。

現在もウコンの薬効には定評があります。肝臓障害を改善・予防し、肝臓の機能強化にはたらくとされていますが、これは、ウコンの主成分であるクルクミンの強い解毒作用と胆汁の分泌を著しく促進する作用によるものと考えられています。

また、近年の研究では、クルクミンは大腸がんを抑制することが明らかになり、クルクミンを経口摂取すると腸管でテトラヒドロクルクミンというさらに強力な抗酸化物質に変化することもわかっています。

メタボの必須条件から腹囲が外れる:年内に暫定基準

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準が国際的に統一され、腹囲が診断の必須条件から外れることが分かった。年内にも暫定基準が公表され、今後、世界のメタボ診断や治療・研究は、統一基準に基づいて行われる。

世界には複数のメタボ診断基準があり、混乱が生じている。このため、約150カ国の専門家が参加する国際糖尿病連合(IDF)と、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)が中心となって、診断基準の統一を呼び掛け、今年2月から協議を進めた。

IDF基準は、腹囲が基準値以上で、中性脂肪など血液検査の結果の4項目のうち2項目に異常があればメタボと診断する。腹囲は人種別に定めている。
一方、NCEPと米心臓協会・米国心肺血液研究所は、腹囲など5項目のうち3項目に異常があればメタボとする。腹囲は必須条件ではなく、基準値は1種類しかない。日本はIDFと同じ考え方に基づく。

統一基準はNCEPを基本とし、腹囲は必須条件から外れるが、人種別に定める。NCEP基準は肥満でなくても他の項目に異常があればメタボと診断される。日本では、肥満ではない生活習慣病患者も多く、腹囲を必須にした場合、「見落とし」を懸念する声が出ていた。(毎日.jp)

メタボリックシンドローム
内臓脂肪が過剰にたまってお腹周りが大きくなり、この内臓脂肪から分泌される様々な生活活性物質(アディポサイトカイン)に異常が生じることや、血糖を下げるインスリンというホルモンの作用が上手くいかなくなることによって、高血圧、脂質代謝異常、高血糖などが発生する病気です。さらに高尿酸血症、脂肪肝などの発病にも関係します。

メタボリックシンドロームを放置すると、これらが動脈硬化を進行させ、脳血管障害や心筋梗塞などを発病させます。脳血管障害、心筋梗塞では、場合によっては発病後数時間あるいは数日のうちに亡くなるということも少なくなく、日本人の死因の第2位、3位を占めるほどになっています。

野菜や果物で男性の食道がんリスクが低下:厚生労働省研究班

野菜や果物の摂取量が多い男性は、食道がんになるリスクが低いとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が発表した。

合計摂取量を推定して3グループに分けると、摂取量「高」のグループは「低」に比べリスクがほぼ半減。摂取量が1日当たり100グラム増えるとリスクは約10%低下した。特にキャベツや大根、小松菜などで関連がみられた。

調査は岩手など8県の45−74歳の男性約3万9000人を、1995年から平均で約8年追跡。この間に116人が、日本人の食道がんの大半を占める扁平上皮がんになった。

扁平上皮がんは男性に多く、飲酒や喫煙との関連が強いのが特徴だが、こうした習慣があっても野菜や果物を取る効果がみられた。「喫煙し、1日に日本酒換算で2合以上飲酒する」グループの場合、野菜と果物の摂取量が「高」だと、「低」「中」に比べリスクが約3分の1に低下したという。(shikoku.news)

食道がん
食道の内面を覆っている粘膜の表面にある上皮から発生する悪性腫瘍です。 食道の上皮は扁平上皮でできているので、食道がんの90%以上が扁平上皮がんとなります。喫煙や飲酒、熱い食事などの習慣がが危険因子と考えられています。

まず、食物を飲み込む際に、しみたり、つかえたりするなどのといった症状が現れます。初期には、物を飲み込む際にしみる程度ですが、進行すると食道の狭窄により、食物の通過障害や嘔吐がみられます。

尿崩症が起きる仕組みを解明:新薬開発に期待

大量の尿が出て脱水状態に陥る病気「尿崩症」が起きる仕組みを、東京医科歯科大などが解明し、科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」電子版に発表した。
尿から水を吸収する役割を果たす物質の移動に、不可欠なたんぱく質を突き止めた。この仕組みを利用することによって、尿崩症の新薬開発が期待できるという。

脱水時は一般に、細胞に水分を取り入れるたんぱく質「アクアポリン」が尿細管の細胞内部から細胞の表面へ移動し、尿から水を吸収する。しかし、尿崩症患者は、脱水状態でもアクアポリンが細胞表面に移動せず、尿からの水の取り入れができないため、脱水状態が続くとみられる。

研究チームは、アクアポリン移動の仕組みを分子レベルで調べた。通常はアクアポリンを細胞内部にとどまらせる「柵」の働きをするたんぱく質「トロポミオシン」が、脱水をきっかけにアクアポリンと結びつき、柵の役目をしなくなり、アクアポリンが自由に移動できるようになることが分かった。

研究チームの野田裕美・同大助教は「トロポミオシンの量や働きを調節することで、今まで治療できなかった患者のための新薬が開発できるかもしれない」と話している。(毎日.jp)

尿崩症
脳の下垂体から分泌される抗利尿ホルモンが減少し、多尿、口の渇き、皮膚の乾燥、倦怠感などの症状が現れる病気です。また、抗利尿ホルモンは正常に分泌されていても、それに反応する腎臓に障害があると、ホルモンを正常に受け取れなくなり、症状が現れる場合もあります。

特定の遺伝子が難治性白血病の再発の一因に

抗がん剤などが効かずに再発してしまう難治性白血病は、特定の遺伝子が再発の一因となっていることを、東京大の黒川峰夫教授(血液内科学)らが突き止め、7日付の米専門誌「セル・ステム・セル」に発表した。この遺伝子の働きを抑える新薬や治療法を開発すれば、再発を防ぎ、白血病の根治につながる可能性があるとしている。

黒川教授らは、難治性白血病で活発に働いている遺伝子「EVI1」が、赤血球や白血球のもとになる造血幹細胞でも働いていることに注目。この遺伝子が同じ幹細胞である白血病幹細胞の働きにも関与していると推測し、マウスで実験した。

白血病のマウスから「EVI1」を取り除いたところ病気の進行が遅れるなどの効果が見られ、取り除かなかったマウスと比較して約1カ月長生きした。この結果から、「EVI1」の働きの抑制が治療につながると判断した。(47news)

白血病について
骨髄や脾臓など血液をつくる器官で、未熟な白血球系細胞が無制限に増殖し、正常な白血球の増殖を阻害するもので、造血気のがんといえる病気です。

白血病では、肝臓、脾臓、リンパ節、腎臓、脳など全身の臓器に白血病細胞が増殖します。病気自体は少ないものの、発症すると出血や細菌感染が起こり、生命の危機に陥ります。

白血病は増殖する細胞の種類や進行状態で急性と慢性に分かれるほか、異常の発生部位によって骨髄性とリンパ性に分かれます。成人の急性の8割と慢性のほとんどが骨髄性ですが、小児では急性のリンパ性が主となります。

ピロリ菌の除菌で胃がん再発リスクが1/3に

胃の粘膜にいる細菌「ヘリコバクター・ピロリ」を除菌すると、胃がんの再発が3分の1に減るとの研究を北海道大第三内科の浅香正博教授らがまとめ、英医学誌「ランセット」に発表した。
ピロリ菌は、胃かいようや十二指腸かいようを起こすことが知られているが、胃がんの原因になるかどうかは議論が分かれていた。この研究は、胃がんの予防効果を明確に示す世界初のデータとして注目を集めそうだ。

浅香教授らは、全国51の医療機関で内視鏡治療を受けた早期胃がん患者のうち、ピロリ菌感染が判明した505人の協力を得て、治療後、抗生物質でピロリ菌を除菌した群と、除菌しない群に分け、3年間、経過を観察した。
除菌しない群では、250人中24人に、内視鏡治療をした部分以外の場所に胃がんの再発がみられたが、除菌した群では255人中9人しか再発しなかった。

ピロリ菌の除菌の保険適用は胃、十二指腸かいようの患者に限られている。浅香教授は「保険適用を感染者全体に広げ、胃がん予防に役立てるべきだ」と話している。(YOMIURI ONLINE)

ピロリ菌について
正式名称をヘリコバクター・ピロリといいます。螺旋状の形をしていて、胃の粘膜に住みついています。胃の中に入ってきた細菌は通常、胃酸によって殺されますが、ピロリ菌は持っている酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変え、アルカリ性のアンモニアで胃酸を中和して、胃酸の殺菌作用を逃れているのです。

ピロリ菌は胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因になることがわかっています。ただし、ピロリ菌が陽性でも潰瘍が起こらない人、陰性でも潰瘍を起こす人がいて、ピロリ菌だけが原因とはいえません。他の因子(ストレス、食生活、体質、喫煙など)も関係していると考えられています。