アメリカのデューク大学のープレストン・ロバート・ティッシュ脳腫瘍センタの研究チームは、臨床段階にある新型ワクチンが、脳腫瘍のなかでも最も悪性度の高い多形性膠芽腫(GBM)の患者の寿命を大幅に伸ばす可能性があるとの研究結果を「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー」に発表しました。

ワクチンは、多形性膠芽腫を悪化させる「EGFRvIII」と呼ばれる遺伝子をターゲットにしたもので、同研究チームが18人の患者に対してワクチンの接種を行ったところ、平均生存期間は26か月と、予想の15か月を大幅に上回る結果となりました。
また、18人の無進行生存期間は14.2か月と、ワクチン接種を行わなかった17人のグループの6.3か月の2倍以上となりました。さらに、ワクチンを接種したグループの約半数で免疫反応が活性化され、1人をのぞくすべての患者で腫瘍マーカーを持ったがん細胞がなくなったとの結果も出ています。
実験のデータはワクチン接種を行うことにより余命が大幅に延長されたことを示唆していますが、研究グループは「サンプル数が少なすぎるため、確信を持って結論することはできない」と、さらなる研究の必要性を説いています。