食後高血糖改善薬として広く用いられているαグルコシダーゼ阻害薬のボグリボース(商品名:ベイスン)に、糖尿病予備軍である耐糖能異常(IGT)の段階で投与すると、2型糖尿病の発症を抑制するという、新しい効能・効能が加わりました。ただし保険適用となるのは、「耐糖能異常」で、食事療法および運動療法を3〜6ヶ月間行っても改善しない人のうち、高血圧、脂質異常症のいずれかの基礎疾患がある患者に投与した場合、となっています。

IGTの段階でボグリボースを使用することは糖尿病への悪化を予防するだけでなく、動脈硬化も防ぐことにもなります。長い目で医療費削減の大きいことから、厚生労働省の今回の決定は画期的と評価されています。
Lancet誌には、順天堂大大学院の河盛隆造教授らによる多施設共同試験の結果が掲載されており、それによると、ボグリボースが高血圧、脂質異常賞、肥満、糖尿病の家族暦といった危険因子を持つ2型糖尿病の発症を優位に抑制していました。
今回のように、疾患の発症予防に治療薬の適応が拡大されるケースはまれですが、過去には抗血小板薬だるアスピリン(バイアスピリン)でも狭心症などの発症抑制で保険適用しています。ただし、薬事承認で効能効果として認められた、2型糖尿病の家族歴や肥満を有する人への投与については、現時点では保険適用の対象とはなっていません。